主要エリアの空室率は低水準で推移。空室不足がより一層深刻化。
グレードA・Bともに賃料上昇が継続
シービーアールイー(株)の調査による、2019年6月期の大阪グレードAの空室率は、対前期(同年3月期) 比0.3ポイント低下の0.2%、グレードB は対前期比0.1ポイント低下の0.8%と、空室率の低下が続いている。さらに、オールグレードの空室率も、対前期比0.1ポイント低下の1.2 %と、空室不足がより一層深刻化している。
エリア別の空室率を見ても、「梅田」の0.2%をはじめ、「堂島」「淀屋橋」「新大阪」は1%未満で推移している。「本町」「中之島」においても1%台となっており、軒並み低水準である。
この空室率の低さを背景に、限定的な空室に対して、複数の企業が賃借意向を表明し、競合する状況が発生している。こうした場合には、賃貸条件を含めた内容で入居者選定を行うこともあり、賃料相場を押し上げる格好となっている。そのため、想定成約賃料は、グレードA が25,200円/坪(対前期比+3.5%)、グレードBが14,000円/坪(対前期比+2.2%)と上昇を続けており、グレードAは12期連続、グレードBについては21期連続で上昇をしている。今後も、賃料の上昇傾向は継続すると見られるうえ、上昇のスピードも加速する可能性が考えられ、注視する必要がある。
大阪都心部に待望の新規供給
来年、「淀屋橋」エリアにおいて、「オービック御堂筋ビル」が竣工を予定している。これを皮切りに、大阪では大型開発が見込まれており、「梅田」「淀屋橋」の大型開発に加えて、「本町」「新大阪」にも複数棟の供給が予定されている。2022年には、「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」が竣工し、2024年以降には、「うめきた2期開発」が控えるなど、テナント企業にとっては、待望の新規供給となるだろう。
しかし、裏を返せば、これらの供給がなされるまで空室は限定的であり、テナント企業にとっては、苦しいマーケットが継続することが予想される。
そうした中、オフィススペース改善の一つの方法として、コワーキングスペースやシェアオフィスを活用する企業も見受けられるようになってきた。昨今のキーワードである「働き方改革」と併せて、オフィスの在り方を見直す機会と言えるかもしれない。
関西支社 林 健
- 現在募集中の大阪府の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
梅田 大規模ビル |
23,000円~35,000円/坪 | 引き続き空室率は低く、新規に募集に出る空室も少ない状況。また、募集が出ると複数企業による引き合いが起こっている。 | |
梅田 中小規模ビル |
17,000円~24,000円/坪 | 大規模ビルと同様に新規募集が少ない状況。 | |
淀屋橋・本町 大規模ビル |
17,000円~30,000円/坪 | 建て替えのビルがあり、周辺ではさらに空室消化が進んでいる。 | |
淀屋橋・本町 中小規模ビル |
12,000円~16,000円/坪 | 大規模ビルと同様に、建て替えビル周辺においてさらに空室消化が進んでいる。 | |
難波・心斎橋 大規模ビル |
12,000円~25,000円/坪 | 建て替えのビルがあり空室は消化しているが、金融機関の統合などにより一部空室も出ている。 | |
難波・心斎橋 中小規模ビル |
10,000円~13,000円/坪 | 大規模ビル同様に空室は消化しているものの、テナントの入れ替えなどもあり空室消化は緩やか。 | |
周辺都市 大規模ビル |
10,000円~13,000円/坪 | まとまった面積の空室については、中心部と併せて検討する企業も多く、引き合いが増えている。 | |
周辺都市 中小規模ビル |
9,000円~11,000円/坪 | 全体的に空室消化が続いており、中心部ほどではないものの賃料も緩やかに上昇傾向。 | |
事務所兼倉庫 市内・北摂・東大 |
4,500円~7,000円/坪 | 空室の少ない状況が続いている。特に北摂・東大阪・大阪市内は非常に強い需要のため、賃料も上昇傾向。 | |
倉庫・配送センター 郊外 |
3,500円~4,200円/坪 | 大阪ベイエリアに一部空室が存在するのみで、内陸を含め空室がほとんどない状況。成約賃料も上昇傾向。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。