業績好調企業の前向きな動きにより、空室率はやや低下。
大型空室の不足
CBREの調査によると、2022年3月期の仙台市内の空室率は2.8%と前期(2021年12月期)より0.1ポイント低下した。
テレワークの普及から、今期も引き続き、縮小移転や館内での契約区画の一部返却といった事例が多く見られた。
また、今期は自社ビルが竣工するまでの間、一時利用していた企業の解約による空室の発生や、昨年竣工した新築ビルへの移転に伴う、二次空室の発生により、空室が増えていくものと予想されていた。しかし、IT企業を中心とした、業績が好調な企業の市内拡張移転や新規開設、郊外から市内中心部への移転といった動きが活発で、発生した空室以上の需要があり、空室率が低下する結果となった。
郊外からの移転は、社員の通勤利便性の向上、市内中心部に事務所を構えることでの採用強化といった理由が見られる。
空室の消化により、大型面積が確保できる物件の希少性が増している。特に、200坪を超えるような空室となると、その希少性により多くの引き合いが集まり、テナントの退去前に、後継テナントが決まる状況が続いている。
このような需要の高さから、賃料は、コロナ禍前の水準とほぼ変わらず推移している。稼働率の高いビルでは、募集賃料の値上げをするケースも見られる。
今後の新規供給への期待
昨年竣工した「JR仙台イーストゲートビル」「ミレーネT仙台ビル」では、順調にテナントが決まっている。高価格帯の物件ではあるが、好立地であることや、高いBCP性能が、テナント企業に評価されている。そして、まとま った面積が確保できることも、優位に働いた。2020年以降に竣工したビルは、いずれも高い稼働率となっており、新築ビルの人気の高さが見てとれる。
2023年以降は、「(仮称)ヨドバシ第一ビル」「アーバンネット仙台中央ビル」など、複数の新規供給が予定されている。テナント向け非常用発電機の設置や環境配慮型など、今日の企業が求める設備が整っているビルが多く、人気が高まることは想像に難くない。さらに、大型面積を確保しづらい現状では、これらの新築ビルをタ ーゲットとした企業の動きが加速していくものと思われる。
仙台支店 後藤 拓己
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