コロナ禍でも企業の動きが活発化。空室率は再び低下。
潜在的空室は増加傾向
シービーアールイー(株)の調査によると、2021年3月期の横浜市オールグレードの空室率は1.7%と、対前期(2020年12月期)比0.4ポイント低下した。2度目の緊急事態宣言が発令され、その期間中は、現地内覧に制限がかかるなどの影響があった。しかし、移転計画の中止や延期が相次いだ昨年とは異なり、検討段階にあった各企業の動きは活発化し、各エリアともに空室の消化が進んだ。一方、拠点の縮小や統合に伴う、部分解約や全部解約による撤退の動きも散見され、潜在的な空室は増加傾向となった。
みなとみらいは最低水準の空室率に
エリア別に見ると、「横浜駅周辺」エリアの空室率は、対前期比0.7ポイント低下の4.0%となった。近隣企業による借り増しに加え、館内増床移転も見られた。サービスオフィス事業者や、住宅系不動産会社の増床意欲は堅調である。
「みなとみらい」エリアの空室率は、エリア内のIT企業による新規需要もあり、対前期比0.2ポイント低下の0.3%と、調査開始以来、最低水準となった。賃料は、ほぼ横ばいで推移したが、今後予定されている大型区画の解約や、今年9月と11月に竣工予定の新築ビルによる新規供給の影響で、空室率の上昇が見込まれ、調整局面を迎えると推測される。
「関内」エリアは、前期と同水準の空室率で推移している。安い賃料相場を背景に、エリア外からのコスト削減のための移転事例も出てきている。建て替えが予定されている物件であっても、モデルルーム用途や、期間限定プロジェクトを受注した企業の需要を、うまく取り込む受け皿となっている。
「新横浜」エリアは、100坪以上のまとまった面積の募集が、徐々に見られるようになってきた。空室が長引く物件がある一方、優良物件に対する需要は依然として高く、空室率は前期とほぼ変わらず、低水準を維持している。
「川崎」エリアでは、空室率が上昇傾向にある。貸し手側には、早期契約締結に向けたキャンペーンの実施を含め、賃貸条件を見直す動きが広がりつつある。2021年4月竣工の「JR川崎タワーオフィス棟」は、満室稼働となっており、市場に与える影響は限定的である。しかし、既存物件の空室消化は進んでおらず、大型の解約も予定されているため、今後の市況の動きを注視する必要がある。
横浜支店 富川 貴由
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