神戸:空室率は低下。コロナ禍で進むオフィスの見直し。
神戸のオフィスマーケット
神戸における2020年3月期の空室率は、0.3ポイント低下して1.5%となった。春先の移転や出店の動きで中小規模の空室を押さえるケースが散見され、今期の空室率は最低値を更新した。金融機関の集約などによる解約も一定程度見られたものの、それらは来期以降に顕在化すると思われる。
想定成約賃料は対前期比0.4%(50円/坪)上昇して11,850円/坪となった。引き続き賃料の底上げが緩やかに進んでおり、各物件でおおむねリーマンショック前の水準まで戻してきている印象だ。
4月現在、まだ新型コロナウイルスによる影響はそれほど出ていない。しかし需要の弱まった商業テナントの解約が数年来続いていることや、2021年には3年ぶりの新築となる「神戸阪急ビル東館」と「GLION Awa-s Building」の竣工も控えていることから、今後はよりダイナミックなテナント移動が起こってくることが想定される。物件の選択肢が増えることは望ましいが、コロナ禍を契機に、働き方やオフィスの在り方の見直しが始まっており、神戸拠点の位置づけも問われるだろう。
京都:依然、需給は逼迫。待たれる新規供給。
京都のオフィスマーケット
京都における2020年3月期の空室率は、2019年9月期から変わらず0.5%であった。依然として拡張移転や立地改善移転および事務所新規開設ニーズは多い。一方で、空室がほとんどない状態のため、希望に沿う物件が見つからないといったケースが多く散見される。主要オフィスエリア内の大型空室予定については、公に募集される前から次のテナント候補が決まっていることが多く、空室が顕在化することは極めて少ない。
想定成約賃料は、前期に比べて2.1%(330円/坪)上昇して、15,940円/坪となった。引き続き、賃料上昇は続いており、今期も過去最高を更新している。また、この様な状況を背景に、現入居テナントへの継続賃料の値上げ要請も強まっている。
前期に増して新規開発を検討している事業者は増えており、オフィスマーケットのヒアリング調査は絶えない。ほとんどが計画段階であり直近では、相変わらず物件を探しにくいマーケットが続くことが予想される。テナントは希望の優先順位を付け、早く動くことが必要となる。
作成日:2020年4月末 関西支社 松田 梓 / 今福 健一
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
三宮~神戸 大規模ビル |
15,000円~18,000円/坪 | 一部ビルの空室予定が出ているが、現空室ベースでの空室率は低水準。 | |
三宮~神戸 中小規模ビル |
9,000円~15,000円/坪 | 大規模ビルと同様に、多少のテナントの入れ替わりはあるものの空室率は低水準。 | |
姫路 | 8,000円~13,000円/坪 | 需給ともに動きが少ない。 | |
明石・加古川 | 8,000円~9,500円/坪 | 需給ともに動きが少ない。 | |
阪神間 | 9,000円~12,000円/坪 | 開発計画はあるものの、現時点での空室率は低水準。 | |
四条烏丸 大規模ビル |
20,000円~25,000円/坪 | 満室稼働の物件が多く、空室予定も少ない。 | |
四条烏丸 中小規模ビル |
12,000円~17,000円/坪 | 引き続き空室は少なく、空室予定も少ない。 | |
京都駅前 | 18,000円~22,000円/坪 | 引き満室稼働の物件が多く、空室予定も少ない。 | |
倉庫・配送センター・工場 兵庫 |
3,300円~4,000円/坪 | 神戸エリアの大型物件は湾岸部、内陸部ともに空室が少ない状態が続いている。中小型物件も空室は限定的であり賃料も横ばい~上昇傾向。 | |
倉庫・配送センター・工場 京都 |
3,800円~4,300円/坪 | エリア、面積を問わず空室が少ない。テナントが希望するスペックに合致しない建物の場合、テナント誘致に苦戦する事例も見受けられる。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。