マーケットは引き続き逼迫。 成約賃料の上昇も継続。
オールグレード空室率最低値を更新
2020年1月末、「淀屋橋」エリアに、「オービック御堂筋ビル」が竣工した。2018年9月竣工の「なんばスカイオ」以来の新築大型オフィスビルの供給となったが、大阪の空室状況は、引き続き逼迫している。
CBREの調査による、2020年3月期の大阪市内中心部のオールグレード空室率は0.7%と、前期(2019年12月期)に続き、調査開始以来の最低値を更新した。特に「梅田」「中之島」エリアの空室率は0.1%、「堂島」エリアは0.3%など、各エリアで極めて空室が逼迫した状況にある。
想定成約賃料の坪単価も、上昇が続いている。今期の大阪中心部全体の平均は14,610円/坪と、前期より470円/坪 (3.3%)上昇している。旺盛なテナント需要を受け、数少ない貴重な募集区画を、複数テナントが取り合うという状況が3月までは多かった。
新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの影響については、特に影響を受けやすい小売外食・運輸交通・観光宿泊等の業種のテナントが、移転の検討中止や、申し込みを入れていた商談をキャンセルするなどの動きが見受けられる。しかしながら、平時と変わらない動きを検討する企業も一定程度はあり、数少ない募集床は消化されているというのが現状である。
賃貸オフィスは、景気動向に対して遅効性があると言われている。景気後退から半年遅れぐらいで、影響が及ぶ可能性は高いと思われる。しかしながら、上述の通り、空室率は過去最低値を更新しており、今年から来年にかけて、新規供給は非常に限定的であることや、一定程度は、賃借の検討を継続するテナントがあること等を併せて考慮すると、当面は、大幅な空室増加や賃料下落は考えにくいと想定される。
ただし、2022年以降は、数年にわたり、新規大量供給が予定されている。2022年春竣工予定の「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」(オフィス貸床面積約27,000坪)のリーシングは、順調に推移している模様だ。しかし、今後の景気後退が不可避の現状において、この先のリーシングはどのよ うになるのか、また、新築ビルへの移転に伴う二次空室や、その他の新築ビルのリーシングについては、不透明感が漂いつつある。各ビルオーナーの価格設定への対応が、今後注目されるだろう。
作成日:2020年4月末 関西支社 国枝 亮
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
梅田 大規模ビル |
25,000円~36,000円/坪 | 需給が非常にタイトな状況は変わらず、賃料は依然上昇を続けている。 | |
梅田 中小規模ビル |
19,000円~25,000円/坪 | 大規模ビルと同様であり、梅田駅からの距離に応じてその傾向は一層強まる。 | |
淀屋橋・本町 大規模ビル |
20,000円~30,000円/坪 | 2エリアとも需給が非常にタイトな状況は変わらないが、淀屋橋の空室不足は大阪市内の主要エリアの中でも突出している。 | |
淀屋橋・本町 中小規模ビル |
15,000円~20,000円/坪 | 依然、需給はタイトではあるが、一部のビルでは入居者の入れ替わりが発生している。それに伴いエリア相場が上昇を続けている。 | |
難波・心斎橋 大規模ビル |
16,000円~25,000円/坪 | 築年数・規模・立地により差はあるが、築浅ビルを中心に賃料上昇が著しいビルも目立つ。今後、下限値の上昇がさらに進むと見られる。 | |
難波・心斎橋 中小規模ビル |
14,000円~18,000円/坪 | 大規模ビルと同様に、築浅・駅近物件に対する需要は高い。実際に空室となる前段階での成約も多く見受けられる。 | |
周辺都市 大規模ビル |
13,000円~18,000円/坪 | 都心部の賃料上昇に伴い需要を集めており、割安感から成約も多く見られる。しかし、賃料上昇も発生しており、稀少性は増している。 | |
周辺都市 中小規模ビル |
12,000円~15,000円/坪 | 各エリアの特色がテナント需要とマッチし空室消化が進んでいる。需給もタイトになりつつあり、テナントサイドのエリア選定に広がりが見受けられる。 | |
事務所兼倉庫 市内・北摂・東大 |
5,000円~7,500円/坪 | 汎用性が高い物件の需要は依然として高く、早期に満室となる傾向。低い空室率が続いていることで賃料も上昇傾向にある。 | |
倉庫・配送センター 郊外 |
3,600円~4,300円/坪 | LMT、既存物件ともに空室が少ない。テナントサイドの選択肢は引き続き限定的な状況が続く見通し。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。