オフィス大量供給期を迎えるも、 物件確保を急ぐ企業が多数。
二次空室も早期に消化
2018年は、昨年の約2倍の新築ビルの供給があり、空室率の上昇と賃料相場の下落が予想されていた。その見通し自体は今も変わらないものの、2018年およびそれ以降の新築ビルの成約の進捗は、今のところ当初の見通しよりも好調に推移していると言える。
新築ビルの成約に伴い、現入居ビルに二次空室が発生するが、こちらも全体的に引き合いが強い。最近の特徴として、二次空室が発生する物件のリーシングの開始時期が、かなり早くなってきていることが挙げられる。新築ビルへの移転の場合、既存ビルと比較すると、早めの決定と公表がなされる傾向がある。それでも従来は、6ヶ月前の解約予告通知があってから、次テナントの募集を開始するのがセオリーであったが、新築ビルによる二次空室物件では、1年以上も前から潜在的に次テナントの探索活動を開始し、早々に内定にこぎつける物件が増えてきた。強気に出られるマーケット環境のうちに、次テナントを確保しようというオーナー側の動きである。
賃料相場が下落するまで様子見しようというテナント企業も、もちろん見受けられる。しかし、マーケットの状況が、貸し手有利なことを承知の上で、早期に物件確保に動くテナント企業も相当数見られる。好調な企業業績と、昨今の働き方改革の流れの中で、オフィス環境を改善しようというトレンドが、オフィスマーケットの需要面を支えていると思われる。
賃料の増額改定が増加
賃貸借契約の更新や再契約時の賃料改定においても、このような市況を背景に、増額改定の事例が非常に増えている。空室が少なく、賃料相場が上昇していることに加え、ここ数年、定期借家契約が増加していることも、要因として考えられる。従来型の普通借家契約は自動更新のため、契約内容の見直しを長年していないケースも多かった。しかし、定期借家契約の場合は更新がなく、新たに契約を締結するという形式のため、必然的にその時々の賃料相場がベースとなるからである。
今のところは、旺盛な需要により、東京のマーケット環境はタイトである。しかし、今後も新築ビルの供給が続く市場では、徐々に潮目が変わっていくと考えられ、まさに今はその転換期だと言えるだろう。
ビル営業本部 松本 淳史
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
主要3区大規模ビル | 35,000円~50,000円/坪 | 全体的に、まとまった空室が非常に確保しづらい状況。 | |
主要3区中小規模ビル | 26,000円~30,000円/坪 | 全体的に空室は少ないが、築年数が経過した物件なら、ある程度の選択肢はある状況。 | |
周辺7区大規模ビル | 24,000円~36,000円/坪 | 東京西側エリアに特に空室が少ない状況だが、池袋エリアは募集物件が多い。 | |
周辺7区中小規模ビル | 17,000円~26,000円/坪 | 東京西側エリアに、特に空室が少ない状況。 | |
23区内大規模ビル | 17,000円~23,000円/坪 | 東京西側エリアが特に空室が少ない状況だが、中心部ほどの賃料上昇は見られない。 | |
23区内中小規模ビル | 12,000円~17,000円/坪 | 全体的に空室は少ないが、築年数が経過した物件には、ある程度の選択肢も。ただし東京西側エリアには、やはり空室が少ない。 | |
立川 | 11,000円~18,000円/坪 | 空室率は横ばいだが需要は根強く、空室は着実に消化されている。今後はエリア内での移転により、新規空室が若干見込まれる。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
(注)主要3区=千代田、中央、港周辺7区=新宿、渋谷、文京、豊島、品川、台東、目黒23区内=左記10区を除く東京都内
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。