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金融系企業 F社

ケーススタディ

2009年7月16日

オフィス縮小計画を、ポジティブな移転計画へ!
「移転コストシミュレーション」が導く、好立地移転でのコスト回収術。

予想外の急激な市況冷え込み ~放置されたオフィススペース~

2007年春に発覚した、米国の「サブプライム問題」を皮切りに、世界経済を取り巻く環境がこの1~2年で激変したのは周知の通りである。

過度な貸付に端を発し、日本のバブル崩壊の数倍の規模で突如米国を襲った経済危機は、瞬く間に世界に拡がり、2008年秋には世界有数の金融グルー プであるリーマン・ブラザーズが倒産。同時期から、ここ日本でも大きな景気低迷の影響を受けている。中でも、金融業界における打撃は大きく、人員削減やオ フィスの縮小、事業撤退など、各社で厳しいコスト削減が断行されている。

F社は、個人向け金融商品の取り扱いをメインに、順調に事業を伸ばしてきた中堅企業だ。業績好調だった2007年には、今後の事業拡張を見込んで東 京都心の神谷町に400坪のオフィスを確保。400坪のうち、2割を占める約80坪は、事業拡張計画に伴い新規スタッフを配置するスペースとして想定して いたのだ。

しかし、翌年2008年から激化の一途を辿る景気低迷に見舞われ、新規事業の計画は頓挫。予定していた新規事業のための採用・増員は取りやめになり、約80坪のスペースはほぼ使われることのない「セミナースペース」として放置されることになってしまった。

緊急課題となった余剰スペースの削減。“したくてもできない”ワケ

同社は、大小さまざまな企業がひしめく、高額賃料エリアの神谷町に立地しており、入居しているビルも坪単価¥53,000-と高額だ。単純計算で、 毎月¥4,240,000-もの賃料がほとんど使われていない余剰スペースに浪費されていることになる。当然、コストの無駄を省くべく80坪分の余剰ス ペース対策を検討したものの、いくつかの課題が大きなネックとなってしまった。同社 総務部長のS様は、その理由をこう振り返っている。

「ポイントとなる問題点は2つありました。まず、1つ目は、定期借家契約を結んでおり、まだ2年間の契約期間が残っていたため、解約には違約金の支 払いが伴うこと。2つ目は、代替案として模索していた外部に余剰スペースを転貸する道も、賃料が高額であるということと、期間が縛られているという条件が あったため、閉ざされてしまったことです。」

解約をするには、多額の違約金がかかる。かといって転貸をしようにも、ビルオーナーの了承を得ることが容易ではないというのが実情である。たとえ、 了承を得ることができたとしても、賃料が高額であることに加え、契約期間が定期借家契約の残存期間に限られる、という条件が転借人に重くのしかかるため、 転貸は期待できなかった。

現状を早急に解決しなければならないものの、違約金の回収プランも浮かばず、無駄なコスト浪費を止める術もないまま、担当者は八方塞がりの状況に陥っていた。

プロの視点により導き出された“意外な解決策”

F社が移転コンサルティングに精通したシービーアールイー(以下CBRE)に現状の打開策について相談したのは、2008年末のこと。そこで、最も コストメリットの高い選択肢として同社に提示されたのは、なんと意外にも「現在入居しているビルを解約し、新たなビルへと移転する」というものだった。

CBREは、同社が当時入居していた神谷町のビルの、¥53,000-という高い坪単価から、余剰スペースのみの解約は多額の違約金を取られるた め、得策でないと判断。転貸も、前述のとおり高額な賃料のために期待は薄い上、転貸先を探している間も膨らむコストはかさむばかり。その一方で、景気低迷 によって賃料が下がっている“今”だからこそ、好立地の同グレードビルへ、コストを抑えた移転が可能であることを示唆したのだ。

イニシャルコスト回収プランをはじき出す「移転コストシミュレーション」

入居条件比較

選択肢は「移転」に絞られた。ここで問題となるのが、移転に伴う違約金とイニシャルコストの回収プランであるが、CBREが提示したのは、オフィス激戦区である大手町・丸の内エリアのAクラスビルへ移転という、さらに驚きの提案だった。

具体的には、大手町・丸の内エリア広域で、面積・坪単価ともに削減するパターンとして、Aビル(面積320坪・坪単価3万9000円)とBビル(面 積350坪・坪単価4万円)の2つの選択肢に加え、オフィスエリアはA・Bと異なり立地のイメージは落ちるが、坪単価が現行の6割近くまで削減されるパ ターンとして、Cビル(面積350坪・坪単価3万1000円)を提示された。

ここで、同社の移転成否のカギを握ったのが「移転コストシミュレーション」と呼ばれる移転コストの予測ツールだ。

CBREでは、上記の3パターンで移転コストシミュレーションを実施。
すると、ロケーション的な魅力も備えている大手町・丸の内のAパターンのビルで、移転のイニシャルコストや現行ビルの定借違約金となる2年分の賃料を加えても、現行のオフィス維持費をたった2年で回収できることが明らかになった。

もともと、400坪のうち約80坪が、新規増員を見越した余剰スペースだった同社にとって、2割近い縮小率であればまったく抵抗感はない。そこで同 社は、必要面積に見合ったAビルへの移転を決意。賃料月あたりにして、¥8,720,000-もの削減効果を生み出すことに成功したのだ。

移転によるオフィスコスト累計比較

ネガティブなオフィス縮小計画を、ポジティブな移転計画へ!

前述の、同社総務部長S様は、そのときの驚きをこう語っている。
「移転ができれば理想的という考えはあったものの、今回はイニシャルコストに加えて、違約金を支払う必要もあったので、最初から諦めていました。そのた め、賃料を下げたにもかかわらず、同グレードのビルに移ることができたのには大変驚いています。短期でのコスト回収プランを具体的に数値化してもらえたの で、安心して移転の意思決定をすることができました。オフィス縮小ともなれば、社員のモチベーションやブランディングの低下につながるのではないかと懸念 していましたが、神谷町から大手町・丸の内エリアへの移転が功を奏し、社外的にも社内的にもむしろポジティブな印象を与える効果がありました。通勤の便も 良くなり、社員満足度も向上しました。」

同社の移転を成功に導いた要因として、CBREのもつ最新オフィスマーケット情報も外せない。「コスト削減」というクライアントの条件に対し、ビル グレードを下げずに大手町・丸の内エリアに移転するという結果を生み出したカギは、常にマーケット状況を把握し、正確な賃料動向を掴んでいるということ。 また賃料動向にとどまらず、一般には公開されていない情報を把握し、この市況下ならではの有利な契約条件を引き出すことによって、グレード、条件共に優良 な物件を確保できたからこそ可能な提案であった。

クライアントの課題に対して、幅広い選択肢の中からベストな提案を行い、実行する。シンプルに見えるソリューションは、膨大なノウハウの蓄積に支えられている。

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