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賃貸オフィス・事務所の記事

東北 - 賃貸不動産市場 2018年3月期

築浅・大型で賃料上昇傾向。 手頃な賃料の物件に需要が集中。

大型需要も堅調

シービーアールイー㈱調査による、2018年3月期の仙台市中心部の空室率は3.6%と、対前期(2017年12月期)比で0.3ポイント低下し、2期連続の低下となった。

引き続き、市内における拡張移転・館内増床といった、前向きな理由での動きが多かったほか、郊外自社屋から市内への移転、ソフトウェア開発やコールセンター拠点の新規開設といった、大型面積を使用する事例も見られた。こうした動きが、今期の空室率低下の大きな要因となった。

新規開設の活発な動きは、宮城県と仙台市の積極的な企業助成制度の賜物と言える。と同時に、他の地方都市においては、仙台市以上に空室率が逼迫しており、比較的空室在庫がある仙台市が、検討しやすかったという一面もあると考えられる。

仙台市内では、大型面積を確保できる物件の数は多くないものの、大型面積の解約が時折発生しており、需給がうまく循環しているように思われる。現在は、築年数が経っていても、賃料が手頃な物件に人気が集中している。市内の築年数の浅い物件や、大型ランドマークビルは、募集賃料の上昇が続いているため、テナントにとっては、今までと同じ予算で移転するのが難しい状況となっていることが背景にある。そのため、増員等、拡張が必須の企業では、現状と同水準の賃料の物件を早めに押さえていくケースが増えている。

増額改定の動きが拡大

今年3月末時点では、市内におけるオフィスビル新規供給についての正式な発表は出されていない。他の地方都市に比べて空室在庫があるといっても、着実に消化が進んでいる。空室率の低下に伴い、賃料水準も上昇が続くと予測され、よく耳にするオーナーサイドから入居テナントへの賃料増額交渉の話は、今後は大型ビルだけでなく、中小ビルへと範囲が拡大していくものと考えられる。テナント企業は、オフィスマーケットの動向について、日頃から注視していく必要があるだろう。

東北地方の他県でも、空室率は低水準で推移しており、大型面積を必要とする企業にとっては、動きが取りづらい状況である。募集区画が少なくなった物件に関しては、少しずつではあるが、募集賃料の値上げも始まっている。

仙台支店 後藤 拓己

相場表

種別 賃料(共益費込み) 需給の動向 空室率
推移
仙台市中心部 13,000円~16,000円/坪 空室率は前期よりわずかながら低下し、さらにタイトなマーケットとなった。依然として拡張、新規開設等の前向きな需要が多く、そのほとんどが仙台駅徒歩圏内に集中している。移転を目論むも、希望する面積を一括で確保できないために、現入居ビル内の空室を分室として館内増床する例も増えている。新規供給が具体化していない現在、空室率はさらに低下し、相対的に賃料水準は上昇するものと思われる。 横ばい
郡山市 9,000円~13,000円/坪 一部大型移転に伴う二次空室の発生があったが、引き続き空室は多くはなく、需要も安定している。そのため賃料相場に大きな変動はなく推移している。 -
盛岡市 9,000円~11,000円/坪 エリア外からの新規出店などにより、小規模面積を中心に空室消化が進んでいる。駅周辺を希望する企業が多いが、空室が少ない状況が続いている。 -
倉庫・配送センター
既存
3,000円~5,000円/坪 中・小型倉庫の空室は消化が進み、改めて空室が枯渇する状況となっている。年初から各企業の活発な情報収集が続いている印象。大型案件についてはやや様子見が続いているものの、優良空室情報が出れば意思決定が早い傾向は変わらず。 -
空室率推移凡例:  上昇 上昇 やや上昇 やや上昇 横ばい 横ばい やや低下 やや低下 低下 低下

※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。

文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。

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上記内容は BZ空間誌 2018年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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