築浅物件の高稼働が続く中、今年の大量供給に期待が高まる。
空室率はやや低下
シービーアールイー(株)の調査によると、2022年12月期の仙台市内の空室率は2.4%と、前期(同年9月期)より0.1ポイント低下した。引き続き、100坪以上の大型空室は少なく、20~30坪の小型空室は、価格帯を問わず、多い状況が続いている。
既存の100坪以上の空室では、長期募集となっている物件がある一方、新規募集物件において、ビルグレードの割に安価な物件は、すぐに申し込みが入るという動きもある。100坪以上を求める企業がいないのではなく、常に情報収集し、求める条件に合う物件が募集に出た際に、いち早く動く企業が増えているものと思われる。
今から4年前の2019年、翌年に久々の新築ビル竣工を控えた当時、マーケットは過熱し、空室消化は急速に進んだ。大型空室への移転がかなわない企業は、一時しのぎで、館内の小規模区画を借り増しし、募集賃料は、大型ビルを中心に引き上げられていった。最近の空室消化の傾向は、その当時の状況と似ているものがある。違いがあるとすれば、募集賃料は上昇しておらず、翌年竣工するビルと競合になることを避けるため、物件によっては、賃貸条件の柔軟な対応、長期フリーレントの付与といった形で、テナントを入居させることを最優先にしているビルオ ーナーが複数あることだろう。
今後の市場を左右する大量供給
ここ数年で竣工した物件は、いずれも1年程度で満室、またはそれに近い状態となり、築浅物件は、高稼働な状況が続いている。それだけに、2023~24年に竣工する物件も、比較的早期に成約していくことが予想できる。しかし、やや供給過剰という印象があり、順調に空室を消化できない場合は、マーケット全体の賃料が低下することも想定される。
地元企業ではなく、主に東京に本社を置くデベロッパーが、開発を主導している現在の状況では、想定よりも低い収益率になると、他の都市に目が行き、仙台での開発が止まってしまう可能性もある。
各ビルオーナーが、早期リースアップを考えて、様々な施策を講じることはもちろんだが、テナント側でも、働く環境を見直し、従業員のQWL(Quality of Working Life)が高まれば、自然と活気が生まれ、さらに魅力のある街へと変貌していくだろう。
仙台支店 山本 和良
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