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東北 - 賃貸不動産市場 2019年12月期

空室率は3期ぶりに低下するも、 需要の停滞感が継続。

募集賃料は二極化

シービーアールイー(株)の調査による、2019年12月期の仙台市内中心部の空室率は1.8%となった。依然として、希望に合う物件がなく、館内で一部借り増しを行う企業は多いものの、前3期に比べると、動きも落ち着いてきたように見える。

募集賃料の動きを見ると、ハイグレード物件では、大型空室は希少性からか、募集条件を現行から引き上げるケースが多い。一方、やや竣工年数を経て、適切なリニューアル等を行っていない物件の賃料は、平均かそれ以下で推移している。

移転を希望する企業でも、賃貸条件面や、耐震等のビルスペックの点で、求める水準に達しないため、動きたくても動けないケースが多い。

新築ビルは順調にテナントを誘致

グレードAのビルや、それに準じたビルは、引き続き、館内入居企業に賃料の値上げ交渉を行っている。これまでは、値上げ要請を受け入れ、入居し続ける企業がほとんどであったが、最近は値上げ要請を機に、選択肢になかった市外へ移転したり、自社ビルを建てる企業も見られるようになった。このような要因で空室が出た物件は、募集条件も周辺と比べるとやや高めとなり、誘致に時間がかかる場合が多く、テナントが退去した後も、しばらく成約できないケースも増えている。

こうした流れは、マーケットがピークを迎えつつあることを示している可能性もある。しかし、それらの動きとは別に、今年竣工予定のビル3棟については、賃料設定が高めでも、順調に誘致が進んでいる。移転の場合は、現行賃料が一つの目安となるため、極端な変動があると難しいが、新規開設の場合は、立地やBCP等のメリットがあれば、移転よりはハードルが低いと思われる。

全国主要都市の空室率が極端に低いこともあり、企業側が複数のエリアから、開設場所を選定するケースも増えてきた。そのような企業は、物件単体のグレードもさることながら、人材集めのため、その街にどのような魅力があるかということも、選定基準の一つとしている場合が多い。企業を呼び込むには、魅力ある街への変貌が不可欠であり、街全体として活性化する必要がある。

仙台支店 山本 和良

相場表

種別 賃料(共益費込み) 需給の動向 空室率
推移
仙台市中心部 13,500円~16,500円/坪 空室率は引き続き低位で推移しているが、大型ビルや築浅のビルは募集賃料の引き上げにより誘致に時間を要するケースが増えている。来年竣工予定のビルはBCP 対応から引き合いが多く、順調に誘致が進んでいる。募集中の物件は高額なハイグレード物件か、グレードで劣る物件となり選ぶ側が決めきれず、動きが鈍化している。 横ばい
郡山市 9,000円~11,000円/坪 金融機関の撤退、震災関連企業の縮小等で新規空室が出るも、空室率は横ばい。テナントの動きも多くなく、賃料も横ばいである。 横ばい
盛岡市 9,000円~11,000円/坪 市内の企業の市外への移転、減床などがあり、空室率は上昇。市内での移転の動きは停滞気味で、賃料相場も横ばいである。 上昇
倉庫・配送センター・
注文建築
3,000円~5,000円/坪 仙台市内のマルチテナント型施設は満床となり、供給がタイトな状況はより加速。新規供給が待たれる。他県でもマルチ施設への入居が進み、堅調。
空室率推移凡例:  上昇 上昇 やや上昇 やや上昇 横ばい 横ばい やや低下 やや低下 低下 低下

※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。

文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。

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上記内容は BZ空間誌 2020年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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