オールグレード空室率は過去最低の0.7%に。グレードA成約賃料も最高値を記録。
賃料の上昇傾向が継続
シービーアールイー(株)の調査による、2019年12月期の名古屋オールグレードの空室率は、対前期(同年9月期)比0.2ポイント低下の0.7%となり、同年6月期に記録した最低値を、さらに下回る結果となった。
今期も引き続き、テナントの新規開設や拡張移転ニーズは強く、市場の空室は限定的である。館内増床ができず分室を出すケースや、他エリアへの移転を決めたケ ースも散見された。また、前期にまとまった面積の解約が発生したビルでは、すでに4割以上のスペースが内定となっている。
今期のグレードAの想定成約賃料は、対前期比+1.8%の27,800円/坪となり、2005年の調査開始以来の最高値を記録した。マーケットにおけるタイトな需給バランスを背景に、周辺相場と比べて割安感があった一部のグレードAのビルでは、賃料を引き上げる動きが見られた。また、グレードAの空室率は、前期同様の0.1%で変わらず、空室がほぼない状況が続いている。
今期も、グレードAのみならず全てのグレードにおいて、想定成約賃料は8期連続の上昇となった。オールグレードは、対前期比+1.6%の13,690円/坪、グレ ードB は、対前期比+1.5%の13,900円となっている。
主要エリアは軒並み空室率低下
エリア別に見ると、「名駅」エリアの空室率は、対前期比0.1ポイント低下の0.5%となった。引き続き、テナント企業が同エリアを希望する傾向は強いが、空室が限定的で賃料水準も高いため、「伏見・丸の内」「栄」に検討エリアを広げるケースも見受けられる。ただし、空室率は、「伏見・丸の内」が0.7 %、「栄」が0.8 % と、いずれも対前期比0.2ポイント低下しており、選択肢が大幅に増えるわけではない。
2019年の年初は空室がほぼ皆無であったが、夏頃以降、中・大型の空室が発生した。しかしながら、おおむね現テナントの退去前に後継テナントが決定しており、空室消化のスピードは依然として速い。
今年竣工予定のビルでも、すでに大方のテナントは決定している。今年の新規供給は極めて少ないため、当面、貸し手優位の状況が続くとみられる。2021年以降 に予定されている複数の開発計画や二次空室の動向に、テナント企業の注目が集まっている。
名古屋支店 池田 倫大
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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名駅 | 18,000円~32,000円/坪 | 空室率は過去最低値を更新。少ない空室に需要が集中する傾向にある。 | |
名駅西 | 13,000円~16,000円/坪 | 名駅(東)エリアの滲み出し需要が発生。もともと少ない空室も消化された。 | |
伏見 | 13,000円~17,000円/坪 | 築浅物件に限らず、マーケット全体で空室が減少。解約が出た直後に成約となるケースも散見される。 | |
栄 | 13,000円~16,000円/坪 | 中長期的ではあるものの、開発予定案件が複数存在。即入居可能な物件は希少。 | |
丸の内 | 12,000円~16,000円/坪 | 桜通り沿いの築浅物件にはほぼ空室がない。駐車場確保も、増車需要でしづらい傾向にある。 | |
周辺都市(岐阜) | 8,000円~13,000円/坪 | 岐阜駅前の空室は引き合いが少ない状況。岐阜駅北側の物件で、大型の空室消化が見られた。 | |
周辺都市(三河) | 9,500円~13,500円/坪 | 三河安城エリアの新築も順調に空室消化中で問い合わせも多い。それに伴う二次空室は限定的。 | |
周辺都市(三重) | 8,000円~11,000円/坪 | 近鉄四日市駅周辺・津駅周辺ともに築浅・駅近物件の需要が強い。新規供給もないため、引き続き空室が少ない状況が続くだろう。 | |
周辺都市(静岡) | 9,000円~12,000円/坪 | 小さい面積の引き合いが多く、新規空室は消化されてきている。 | |
倉庫・配送センター | 2,800円~3,800円/坪 | 需要が多く、新規供給物件も順調に成約となり、空室が少ない状況が続いている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。