名駅・栄の需要拡大は継続。名古屋でも初の空室率1%切り。
オールグレード過去最低の0.9%
国税庁が公表した、今年度の全国路線価において、愛知県は7年連続で上昇した。東海エリアの最高価格は名古屋駅前であり、全国 4位の価格。最も高い上昇率は、20%を超えた中区栄三丁目の大津通となった。
景気回復やインバウンドにより、「名駅」「栄」エリアの需要拡大が続くなか、シービーアールイー㈱の調査による、2019年6月期の名古屋オールグレードの空室率は、対前期(同年3月期)比0.1ポイント低下の0.9%となり、当社調査において、初の1%割れを示した。低下の要因としては、新規開設需要の継続に加え、速やかに拡張をしたい企業が、空室を残していた「名古屋東」エリアのビルへ移転した事例が複数見られたこ とが挙げられる。この結果、同エリアの空室率は、対前期比1.9ポイント低下の2.0%となった。
「名駅」エリアの空室率は、対前期比0.2ポイント上昇の0.7%となった。リニューアル実施後に、再募集を行ったビルの影響等が要因である。「伏見・丸の内」エリアの空室率は、対前期比0.1ポイント上昇の0.9%と、「名駅」エリア同様、若干の上昇となった。効率化を求めた事務所の集約が、散見された結果と言える。両エリア共に、新規開設や館内増床等の拡張ニーズは依然強く、長期空室となる可能性は低いと考えられ る。「栄」エリアの空室率は、前期と変わらず、0.8%となった。
グレードA・B共に賃料は上昇
ビルのグレード別に見ると、グレードAの想定成約賃料は、対前期比0.9%プラスとなった。同グレードの空室率は、全く空きがない0%となっている。グレードBの想定成約賃料は、対前期比0.8%プラスとなり、空室率は、前期と変わらず1.0%を示した。
「働き方改革」「人材確保」をキーワードとする、企業の移転需要が継続している。半面、名古屋のオフィスエリア全体が、低水準の空室率を示す状況下で、物件確保のためのスピードは加速し、募集前にテナントが決定する事例が、継続して発生している。2020年以降は、複数の新規オフィスビルの竣工が予定されており、移転を検討したい企業は、正しい情報を適切なタイミングで収集し、速い意思決定ができる準備をしておく必要がある。
名古屋支店 武田 稔
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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名駅 | 18,000円~32,000円/坪 | リニア開発に関係する移転需要が旺盛であるが、空室は極めて少ない。 | |
名駅西 | 13,000円~16,000円/坪 | 名駅(東)エリアの染み出し需要が発生。もともと少ない空室も消化された。 | |
伏見 | 13,000円~17,000円/坪 | 築浅物件に限らず、マーケット全体で空室が減少。解約が出た直後に成約となるケースも散見される。 | |
栄 | 13,000円~16,000円/坪 | タイトなマーケットに変わりはないが、中長期的ではあるものの開発予定案件が複数存在。 | |
丸の内 | 12,000円~16,000円/坪 | 桜通沿いの築浅物件はほぼ空室のない状況。増車需要で駐車場確保もしづらい傾向に。 | |
周辺都市(岐阜) | 8,000円~13,000円/坪 | 岐阜エリアは引き続きテナントの動きが少ない状況。空室を長期間抱える物件もある。 | |
周辺都市(三河) | 9,500円~13,000円/坪 | 刈谷・三河安城エリアで即入居可能な空室はほとんどない。しかし、来年以降に刈谷エリアにて複数の新規供給予定があるため、市場が動きだす可能性あり。 | |
周辺都市(三重) | 8,000円~11,000円/坪 | 四日市エリアは近鉄四日市駅周辺を中心に需要が堅調である。一方、津エリアは空室率・賃料水準に大きな変化はなく、テナントの動きも限定的である。 | |
周辺都市(静岡) | 9,000円~12,000円/坪 | 1990年代以降に竣工したオフィスビルについては空室が減少傾向にある。 | |
倉庫・配送センター | 2,800円~3,800円/坪 | 依然として引き合いは強い半面、空室が少ない状況が続いている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。