増床・新規開設需要が引き続き 増加するも、依然空室は払底。
すべてのグレードで賃料上昇が継続
シービーアールイー(株)の調査による、2019年9月期の名古屋オールグレードの空室率は、前期(同年6月期)から横ばいの0.9%であった。複数の小規模な空室が発生した一方、まとまった面積が確保できるビルでは、統合や立ち退き移転等の需要により、空室が短期間に消化された。引き続き、ビルのグレードアップや拡張ニーズが旺盛だが、受け皿不足は深刻化している。
「伏見」エリアに今期竣工したビルは、ほぼ満室状態でオープン。また、自社ビルへの移転が理由で、まとまった面積の募集を始めたビルでは、具体的な引き合いが複数顕在化しており、空室は比較的短期間に消化されるとみられる。
今期のグレードAの賃料は、対前期比+1.5%の27,300円/坪となった。2007年12月期の過去最高値27,350円/ 坪も、年内には超えると推測される。また、グレードAの空室率は0.1%となり、ほぼ空室はない状況。新規供給の予定が極めて少ないため、2021年までは0%台で推移する と予想される。
今期も、7期連続ですべてのグレードで賃料が上昇した。名古屋オールグレードの賃料は、対前期比+2.8%の13,480円/坪となり、2007年12月期の実績に対して1.2%の上昇が予想される。グレードBの賃料は、対前期比+2.6%の13,700円/坪となった。
継続賃料の値上げ要請が本格化
テナント企業の増床や新規開設の需要は、引き続き増加している。依然、「名駅」エリアを希望する傾向は強いが、同エリア内に空室を有する物件は、おしなべて賃料水準が高い。そのため、「伏見」「栄」エリアが、受け皿として検討されるケースが見受けられる。しかし、これらのエリアも、空室が発生すると、館内増床等のニーズを取り込み、水面下で早急に消化されるケースが非常に増えている。
こうした状況を背景に、オーナーによる、テナントに対する継続賃料の値上げ要請が本格化している。前述したような空室率であることから、テナントは、値上げ要請を受け入れざるを得なくなるケースが少なくない。
2020年以降は、名古屋でも複数の新規供給が予定されている。テナント企業は、このような状況を直視して、市場を分析し、中長期的なオフィス戦略を早急に策定していくことが、今後ますます重要になっていくであろう。
名古屋支店 近藤 実
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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名駅 | 19,000円~33,000円/坪 | リニア開発に関係する移転需要は一段落しつつあるが、需給はさらにタイトな状況に。契約更改時の賃料改定も散見される。 | |
名駅西 | 14,000円~17,000円/坪 | 新幹線口からのアクセスの良さから、需要は強い傾向。空室は限られている。 | |
伏見 | 13,000円~18,000円/坪 | 築浅物件に限らず、マーケット全体の空室率は低い状態が継続。水面下の空室情報を如何に入手できるかが移転の鍵に。 | |
栄 | 13,000円~17,000円/坪 | 一部で空室が発生したものの、空室率は依然低い状況。エリア内には中長期的な開発予定案件が複数存在する。 | |
丸の内 | 13,000円~16,000円/坪 | 桜通沿いの築浅物件はほぼ空室のない状況。館内入居企業の増床ニーズも強く、空室が一切公募されないといったケースもある。 | |
周辺都市(岐阜) | 8,000円~13,000円/坪 | 岐阜エリアは引き続きテナントの動きが少ない状況である。岐阜 駅北側では大型の空室消化が見られた。 | |
周辺都市(三河) | 9,500円~13,000円/坪 | 刈谷エリアにて来年3棟の新規供給あり。問い合わせなど反響は多い。三河安城エリアでも新規供給予定あり。来年は、動きのあるエリアになりそう。 | |
周辺都市(三重) | 8,000円~11,000円/坪 | 四日市エリアは近鉄四日市駅周辺の物件を中心に高稼働を維持。津エリアに関しては、駅徒歩圏内の物件に需要が偏り、エリア全体では大きな動きが見られない。 | |
周辺都市(静岡) | 9,000円~12,000円/坪 | 拠点閉鎖する業種群があり新規空室が発生してるが、その空室についても引き合いがある。 | |
倉庫・配送センター | 2,800円~3,800円/坪 | 既存物件は小牧・名古屋港など供給不足が続く。新築案件も問い合わせが多い。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。