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トラスコ中山株式会社

ケーススタディ

2014年6月4日

取扱アイテム100万点以上という、業界屈指のスケールを誇るトラスコ中山。
さらなる拡大と在庫即納にこだわった、物流構築の独特の方法論とは。

多様化し続ける工場用副資材(建築現場や工場で使用される機械工具・物流機器等)を、必要なときに必要なものを必要なだけ即納するという物流システムを構築したトラスコ中山。業界では最後発の企業だったからこそ工夫を重ね、現在の全国ネットワークと地域ニーズに対応する物流体制を築き上げたという。時流の“合理化”“効率化”だけにとどまらない独自の物流拠点戦略から今後の展望まで、同社物流部部長、佐々木伸昌氏に聞いた。

佐々木 伸昌 氏

トラスコ中山株式会社
執行役員 商品本部 物流部
部長 佐々木 伸昌 氏

トラスコ中山は、工場や建築現場などモノづくりの現場で使用される機械工具や物流機器などの工場用副資材(以下プロツール)の卸売りを行う専門商社だ。約2,000社のメーカーのアイテムを取り扱うだけでなく、専門商社ならではの目線で企画開発されたプライベートブランド「TRUSCO」も好評だ。毎年約3,000アイテムが新しくラインナップされるという脅威の展開力も大きな魅力となっている。そして、驚くのはその取扱アイテムの数。実に100万アイテム以上を取り扱い、その中から現在22万9000アイテムを『オレンジブック』と名付けられたプロツール総合カタログに掲載。うち21万3700アイテムの在庫を常に社内に保有し、即納率90%という驚くべき供給体制を整えている。顧客からの「必要なときに」「必要なものを」「必要なだけ」というニーズに応えるべく、独自の物流システムを構築しているのが大きな特徴といえる。

「プロツール流通業界内でも、当社は取扱商品の種類の多さと、群を抜く在庫保有を誇っています。そして一番の強みは、ドライバーやスパナなど数百円の備品ひとつから発注できる手軽さと、当日、もしくは翌日にはお届けするという納品スピードです。販売店さん自身が在庫を抱え、欠品になったら都度発注して在庫を補充するという販売スタイルは、これだけ商品が細分化し、さらに要求されるスピードがタイトになっている現代では通用しなくなっています。そこで、在庫と即納にこだわり強みを発揮している当社を、販売店さんは在庫倉庫やバックヤードとする感覚で便利にご利用いただいているのだと思います」(トラスコ中山株式会社 執行役員 商品本部 物流部 部長 佐々木伸昌氏)。

ニーズの多様化、しかも即納への要求が高まる現代、卸売業の武器である在庫と物流システムを追求するトラスコ中山。もちろん、一朝一夕にその体制が構築できたわけではない。ニーズに応え、事業をここまで拡大させてきた戦略とは、いったいどのようなものなのだろうか。

オレンジブック

 

"スキマ"を埋める商品展開力と即納にこだわる在庫出荷が強み

その秘訣をうかがうと、意外にも会社設立の背景にヒントがあった。「当社は機械工具卸売の業界では最後発。ですから、他社さんが大口受注や高額商品の市場を押さえているなか、事業を展開していくほかありませんでした。当社が扱えたのは、誰も手を出さない小ぶりで廉価で小ロットな商品。だからこそ即納にこだわり、お客様への細かなサービスと共にお届けするのをモットーにしてきました。よく“スキマ”“企業と揶揄されたものですが、実はそれが現在の当社の強みに繋がっているのです。取扱アイテムを増やす多彩な商品展開力と即納というサービスが、“スキマを埋めて広げていく事業スタイル”として構築されたのだと思います」。

プラネット東海(愛知県岡崎市)

同社のビジネスを成立させる物流展開も、独自のスタイルだ。創業時から、まず全国に営業拠点となる支店を広げていき、1店ごと在庫を持つ独立採算制を取り入れた。これを積み重ねていくことで事業を拡大し、さらに各支店ごとに地域特有の売れ筋情報と在庫管理のノウハウを蓄積していった。取扱アイテムの増加とともに、当然、各支店の在庫だけではまかないきれなくなってくるが、それを解消するため全国十数エリアに物流センターを配置。現在は、さらに拡大した取扱アイテムに対応するため、エリアセンターの上位に位置する全国3ヶ所のコアセンターを設け、厚みのある物流ネットワークを構築している。

一般的な企業であれば、物流センターの拡充とともに各支店の在庫をなくし、さらに物流センターそのものもできるだけ統合・集約しようとするのが通常の経営戦略ではないだろうか。しかし同社は、そのいずれの手法も採っていない。全国の支店は、一部近隣に物流センターができた場合を除けばそのまま残し、地域ニーズに対応するストックできめ細かなサービスを提供。社内在庫からの即納体制を整えるため、エリアセンター、そしてコアセンターと物流拠点の構築を進めていったからこそ、トラスコ中山独自の物流システムがつくり上げられたといえる。拠点数は全国で100ヶ所にのぼり、日本全国どの地域でも即納を可能にしている。

施設は自社所有、自社設計そのメリットを最大限に活かす

支店を繋ぐように物流センターを連携させたことで、インフラとして機能するようになった現在では、日本全国にその物流ネットワークが繋がった。しかし一方で、地域ごとにストックする商品の量と新商品のバランス、カタログによる直接的なプロモーションなど、つねに知恵を絞り、在庫の回転率を下げない努力は惜しまないという。ややもすると、そういった各拠点の日々の棚卸しや工夫は、全体として効率が悪いようにも思えるのだが、「確かに現在は高速交通網が発達していますから、それを活用して配送を行えば、即納だけなら数ヶ所の拠点で十分対応できるかもしれません。しかし、当社ほど取扱アイテムの点数が多いと需要には必ず地域特性が発生し、商品を集中させて効率化しようとすると、とんでもない規模の物流センターが必要になります。しかも先にお話しした通り、当社の事業拡大は取扱アイテムの拡大とイコールであり、商品数はこれからも増え続けます。ですから、必ずしも物流機能の集約が効率的とは言えないのです」。逆に言えば、地域ニーズをしっかりとつかんでいる企業だからこそ成立する物流ネットワークであり、そこには“効率を度外視してでも、地域の顧客へのサービスレベルを担保したい”“という同社ならではの思いも込められている。「当社の事業は、お客様との信頼関係の上に成り立っていると考えていますから、その部分に関しては採算が取れるかどうかは別次元の話なのです」。

一方で、これら数々の拠点施設は、自社所有、自社設計のものがほとんどだという。「当社では、アイテムの保管場所の空間利用効率や、施設の使いやすさを非常に重視しています。商品自体が特徴のあるものばかりですから、天井の高さから階段の蹴り上げの高さまで、フィットしたものでなければ大きなストレスになります。物流拠点の数が多い分、その中での効率性や合理性は突き詰めて考えていかなければなりません。ですから自分たちで自由にできる施設所有や、利用に即した独自の設計にこだわっているのです。もう1点、自社で所有することの理由は、自身の施設を自ら運用することで生まれる責任感です。仕事に対して高い意識を持ってもらう。数値として表せるものではないのでしょうが、結果として投資効率は極めて高いと考えています」。

 

さらなる物流拠点の拡充を目指して

同社は現在、昨年秋に竣工した岡山の新センター(プラネット山陽)をはじめ、大阪・堺(プラネット南大阪)、佐賀・鳥栖(プラネット九州)と西日本の主要エリアに新たなセンター開発を展開している。プラネット山陽は地上9階建てで、太陽光発電設備も搭載。在庫数は竣工時の6万7000アイテムから順次拡充していく予定だ。平成27年4月に完成予定のプラネット南大阪は、既にコアセンターとして稼働中のプラネット神戸と大阪湾岸線で繋がる好立地。神戸と南大阪との連携で、コアセンターからさらにワンランク上の、フルフィルメントサービスの提供を目指している。同じく、九州地区にも利便性を一気に拡充する1万1309平方メートル規模のプラネット九州が平成27年1月に完成予定。それぞれに西日本の重要エリア、機動力の要となりそうだ。もちろん、西日本だけではない。詳細はまだ未発表ながら、関東・東日本マーケットの大規模センターの計画も着々と進行しているという。

物流拠点を拡充する一方で、課題もまだまだ残されているのだとか。 「当社が扱うプロツールは、わずか数センチの細かいものから大型商品まで多種多様。しかも、その商品の種類は増え続けています。現在90%の在庫出荷率ですが、残りが10%あるのも事実。例えば、極めて長くそして細い異型物などは、まだまだ満足のいく対応ができていません。拡大する商品群の、どのようなものでも在庫を置き、翌日にはお届けする体制をつくり上げていく。なぜ、それを推進するかと言えば、それこそが他社には出来ない当社ならではのサービスであり、武器だからです」。

残り10%をも追いかける顧客へのサービスの追求。トラスコ中山の物流戦略、そして物流拠点展開に、“おわり”が訪れることはないようだ。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2014年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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