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株式会社福田組

ケーススタディ

2013年10月31日

地元運輸事業組合とのパートナーシップで
カタチになった、的確なスキームでの物流団地事業プロジェクトとは。

近年、テレビやネットによる通販のショッピングスタイルが激増したことにより、物流スタイルも大きな変革を迎えることになった。メーカー各社の戦略によって、物流団地の立地条件や位置付けが多様に変化していく中で、これまでとは異なる観点での拠点選びと、物流団地の事業プロセスが必要となっている。この激動する物流団地開発にこれから求められるポイントとは? 建設プロジェクトに携わる現場の声を取材した。

株式会社福田組
上席執行役員
開発事業部長内山 文雄

新潟を拠点にする福田組が 福岡での物流団地建設に参画

道路、鉄道、港湾、エネルギー関連施設など建設会社として多岐にわたるプロジェクトを展開している株式会社福田組。その創業は1902年。新潟市で土木建築請負を行う個人企業として業務をはじめるが、1949年に新潟県下で初となる道路舗装部門を発足させると、その後の急速な高速道路事業の発展とともに、そのフィールドは新潟を中心に東日本一帯へと拡大。東北新幹線大宮~盛岡間の建設や、国内最大級の風力発電施設「むつ小川原ウィンドファーム」など数々の大型事業や独自路線のプロジェクトを手がけるまでに成長した。

新潟県に基盤を置くその福田組が、このほど福岡県運輸事業協同組合連合会(以下、連合会)の働きかけで着手したのが、福岡県古賀市篠林地域の物流団地開発だ。幹線道路に面しており、福岡市、北九州市という2つの政令指定都市からのアクセスに優れた古賀市篠林は、福岡エリアの物流基盤を築くには抜群の好立地でありながら、長らく開拓がすすまない土地だった。長きにわたる不景気のため、農地としても開発用地としても需要がそれほど大きくなかったためだ。しかし、多様化する物流事業の発展に伴い、次第に物流拠点として注目を集めるようになっていった。

そして、今回のプロジェクト・古賀市篠林地域物流団地開発計画の目玉として挙げられるのが、複数の企業が協力体制で臨む“集団化事業”という取り組み方だ。物流産業においては、環境対策、安全対策、トラック輸送サービスの高度化・高付加価値化に加えて、物流コスト削減といった事柄が解決すべき課題として挙げられることが多い。それらの乱立する課題を解消する一つの方策として、この集団化事業が業界内外で注目を集めているのだ。これは組合企業が一団となって物流団地建設を行うことで、経営基盤を強化して安定した物流サービスを展開しようというもの。その画期的なプロジェクトにおいて、開発申請から建設工事までの業務代行を福田組が執り行うことになった。

土地利用計画
周辺の主要施設
計画の概要
開発予定地の位置 福岡県古賀市青柳字篠林1111番1他
開発面積 190,763㎡(57,705坪)
分譲面積 137,0703㎡(41,464坪)
都市計画区域 準都市計画区域
用途地域 なし
建ぺい率・容積率 建ぺい率:60%・容積率:200%(予定)
建物用途 倉庫・配送センター・トラックターミナル等(付随する事務所、駐車場等含む)の施設建設
開発許可 2012年9月許可取得済
引渡し時期 2014年6月予定

 

集団化事業という 新たなプロジェクトのカタチ

新潟に拠点を置く福田組にとって、大きな“地の利”があるわけでもない九州のプロジェクトに乗り出したのはどういう経緯があったのだろう。

 「私どもの開発のベースは、やはり土地勘のある新潟が主体です。ですから、このたび古賀市でのプロジェクトに参画することに関しては社内でも少なからず驚きがあったと受け止めています。九州において、これ

だけ大規模なプロジェクトに参画するのは会社としては初めてのこと。CBREから紹介を受けた連合会様から集団化事業の話をいただいたことが発端ではありますが、良いパートナーシップが組めたからこそ、この企画へ参入することができたと思っています。この古賀市篠林エリアが物流団地開発の適地であるということも、事前に物件情報の提案をしたCBREからのマーケット調査報告により認識していました。必ずニーズがあると感じましたので、お受けすることにしたのです」とは、福田組上席執行役員、開発事業部長の内山文雄氏。

しかし、開発申請を行う中で全国的に農地法の規制が厳しくなったことで、申請作業に遅れが生じたほか、埋蔵文化財調査に予想外の時間と手間がかかるなど、作業の進捗は遅延を重ねることになった。古賀市の協力もあり、農地転用の開発許可を得ることができたものの、事業に着手するまで苦労は絶えなかったという。

(仮称)古賀篠林地域物流団地開発計画

「景気が乱高下するうえ先行きの読みにくい時代ですから、こういったプロジェクトに乗り出すのは非常に難しい時期だと感じていました。ですが、連合会様をはじめとした体制に手応えを感じていましたし、事業を進める上での確実性や効率化などの集団化事業によるメリットに大きな魅力を感じていました」。

これからの時代に問われる 物流団地の役割とは

ネットショッピングの需要の激増で、ここ数年、物流サービスは変革の時期を迎えている。そこで、古賀市の物流団地開発においては「物流品質の向上」と「物流の合理化」が大きな目的として設定されることになった。広大な土地を活用した保管・運搬のみならず、商品組立加工、仕分けピッキング配送、カーゴレンタルなど、今後ますます多様化するニーズに対応可能な充実した施設と、複数の物流事業者による共同事業を視野に入れることで、物流経路の短縮化も実現しようという試みがなされているのだ。そうすることで、二酸化炭素排出量の削減と物流コストの削減、さらにはユーザーへの安定した輸送サービスの実現が可能になる。

「そのためにも、24時間365日の稼働は必須条件で、その際に何よりも配慮をしなければならなかったのが、近隣住民の方々にご迷惑がかからない物流団地を造るということでした。その上で、効率的な動線(道路配置)と、土地を最大限に有効活用できる区割りを施し、時代にフィットした物流団地を目指しています」。

土地の効率化と有効利用、その上で地域の暮らしとの共存こそが、これからの物流団地のあり方という考え方だ。この共存は、さらに新たな雇用を創出する大きなポイントにもなる。現在の想定では物流団地内で約350名の雇用が必要であるという試算が出ている。地域の雇用機会を拡大することで、地元の活性化に加えて、古賀市の自主財源創出など、地域が活気づくプロジェクトとしても期待が寄せられている。これには古賀市市長も自身のブログで「19ヘクタールの広大な敷地の物流団地には、15社が進出する予定で、新規雇用も見込んでいます。古賀市としましては楠浦工業団地以来、12年ぶり6番目の工業団地として地域活性化につながると期待しています」とコメントしており、大きな期待が寄せられていることが見て取れる。

今後、必要になってくるのは 先読みのできるプロジェクト

新たな物流団地のカタチを創出するプロジェクトだが、規模が大きなこともあり、開発に際しての苦労は絶えることがないという。

「農地開発に伴う申請や、埋蔵文化財調査による想定外の作業が膨らんだことで、プロジェクトの進行が遅れてしまったことは想定外でした。特に現在の物流業界は猛烈なスピードで展開しているので、工期の遅れは先々までの計画を立てて購入していただいている進出予定企業様に計画を見直していただく必要が出てしまいました。土木工事は自然相手の仕事ですから仕方のない部分もあるのですが、やはりスケジュールの管理は経験を積んでも難しい部分ではあります。従来では弊社のような企業規模ですと、こういった大規模なプロジェクトへ踏み出すことは、リスクが高すぎてチャレンジすることのハードルが非常に高いのですが、連合会様と固くグリップした万全の体制があったからこそ着手することができたと言っても過言ではありません」。

最後に、今回のプロジェクトによって見えてきた、新たな事業ビジョンを内山氏にうかがってみた。

「今回は連合会様の後ろ盾もあって、事前に造成した物流団地を購入していただくことを決めることができましたが、こういった入口とゴールが確約しているスキームは、今後主流になってくるのではないでしょうか。これまで行われてきたような長期の大規模プロジェクトは、先読みが必要な現代にマッチしなくなっています。ゴールが見えている上で、投資資金立替をしないで行う新しい“事業スキームを創る”ことが、大規模プロジェクトでは必要と感じています」。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2013年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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