首都圏
新規需要は底堅いが、空室面積は1年で倍増
今期(2023年Q3)の首都圏大型マルチテナント型物流施設(LMT)の空室率は8.9%で、前期Q2の8.2%から0.7ポイントの上昇となった。今期の新規供給は23.4万坪と、前期(24.4万坪)とほぼ同水準。新たに竣工した10物件のうち2棟は満床で稼働したが、それ以外は空室を多く残して竣工し、Q3の竣工時稼働率は3割程度にとどまった。新規需要は17.1万坪と、過去最高を更新した前期(22.5万坪)を下回ったものの、昨年の四半期平均(12.2万坪)を上回る水準で、依然として底堅いと言える。
新規需要は引き続き物流会社による契約が中心で、1棟借りのケースが複数確認されたほか、館内増床やまとまった面積で契約する事例もみられた。取扱荷物は宅配便やEC関連の他、アパレル、スポーツ用品、消費財、飲料、機械・部品、家電など様々だった。
築1年以上の物件の空室率(既存空室率)は2.1%で、前期から横ばい。新たに築1年以上となった2022年Q3竣工物件のうち2棟が空室を残しているが、2022年Q1に空室を残して竣工した7物件のうち1棟で大型のテナントが決まって満床となったため。それでも、新規供給に新規需要が追い付いていないことから、首都圏の空室面積は1年前から倍増し、約55万坪となった。特にこの1年で新規供給が多かった神奈川と茨城方面で空室が積み上がっている。
首都圏のQ3の実質賃料は4,520円/坪で、対前期比で0.2%上昇した。首都圏でトップレントとなる1物件が竣工したことが主な理由。また、空室の消化が進んだ国道16号エリアの埼玉や東京都下では賃料が上向いている。一方、茨城を中心とした圏央道の外側エリアでは賃料が引き続き弱含んでおり、空室が長引いている物件でも賃料が下方調整されるケースがみられる。
Figure 2 : 首都圏 LMT物流施設 需給バランス
Figure 3 : 首都圏LMT エリア別空室率
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