空室率は5%を下回り、賃料上昇が加速
2014年の札幌市の移転傾向として、郊外から市内中心部への流入に加えて、地下鉄さっぽろ駅周辺への立地改善や設備改善を動機とする移転事例が多くみられた。2014年9月に竣工した「札幌三井JPビルディング」は、広いフロアプレートを希望する企業群の集約移転の受け皿として満室に近い状態で竣工した。市内ではコールセンターのほか、業務請負やIT関連企業からの引き合いが多く、拡張移転や館内増床が目立つ。
この結果、市内の新規需要面積は新規供給面積7,691坪を上回って14,181坪と大きく伸長した。また2014年末時点の空室率は2013年末に比べて2.7ポイント低下の4.5%となり、リーマンショック以前の水準よりもさらに改善した。
2015年には「明治安田生命札幌大通ビル」1棟の新規供給の予定があるが、2014年末時点で残り数フロアと、こちらも満室に近い高稼働で竣工する見込みである。引き続き企業のオフィス床需要は旺盛であるが、ワンフロアで150坪以上確保できる空室は少なくなっており、2016年は新規供給の予定もないため、オフィス需要の潜在化が懸念される。暫くは他社解約予告の段階で空室を確保しなければならず、分室やフロアが分散する事例もみられるであろう。
市内の賃料水準は2013年を底に上昇に転じた。2014年には対前年比4.3%上昇して10,340円/坪となり、坪当たり1万円の水準を回復した。2015年は人気の高い札幌駅前通のビルを中心に、賃料上昇のスピードは加速すると思われる。
各グレードの定義
グレードA
〔立地〕立地東京:主要5区中心、大阪、名古屋:主要区内 〔規模〕貸室総面積:6,500坪以上、延床面積:10,000坪以上、基準階面積:500坪以上(大阪、名古屋は350坪以上)〔築年数〕11年未満
グレードAマイナス
〔立地〕東京23区内 〔規模〕貸室総面積:4,500坪以上、延床面積:7,000坪以上、基準階面積:250坪以上 〔築年数〕新耐震基準に準拠したビル
グレードB
〔立地〕東京23区内、大阪市内、名古屋市内 〔規模〕東京23区内:原則として延床面積2,000〜7,000坪未満、基準階面積200坪以上/大阪市内、名古屋市内:原則として延床面積2,000坪以上〔築年数〕新耐震基準に準拠したビル
オールグレード
〔立地〕CBREが独自に設定した全国13都市のオフィスエリア内 〔規模〕延床面積1,000坪以上〔築年数〕新耐震基準に準拠したビル