賃貸オフィス・賃貸事務所の記事

情報通信業 I社

ケーススタディ

2009年10月15日

 集約移転の成否を左右したのは「情報」と「契約条件」。
50%もの賃料コスト削減と好物件の確保、相反する要件を両立できた訳。

米国の低所得者向け住宅ローンの焦げ付き問題、いわゆる「サブプライム問題」が表面化し、東京株式市場を大きく揺るがした2007年。この時期を皮 切りに世界的な金融危機が始まり、日本でも多くの企業の経営状況が下降線を辿り、人員削減やコスト削減の一環としてオフィス移転に乗り出してきた。

時を同じくして、業績不振によりステークホルダーから経営のスリム化を求められていたI社も、都内ターミナル駅に隣接する高層ビルからのオフィス移 転を決断した。オフィス賃料削減と企業イメージを崩さない好立地への移転。果たして相反する2つの要件は両立できるのだろうか?

コスト削減効果とオフィスグレードを兼ね備えた物件を探せ!

SEをはじめ、営業部門の社員を多く抱えるI社は、グループ数社との連携を取りながら、システム構築の分野でこれまで順調に業績を伸ばしてきた企業 だ。しかし、景気悪化の中、多くの企業でIT投資の抑制が加速する状況下で、同社も厳しい経営状況下で大幅なコスト削減が急務となった。そこで、その施策 として移転によるオフィス賃料の削減に目をつけたのだ。

I社管理本部部長のG様は当時を振り返り、このように語っている。
「我が社の各部署および関連各社は、同じビル内での異なる階層も含めて、8ヵ所に分散していました。ですから今回のオフィス移転を機に、全社員を1フロア に集約することで、賃料コストはもとより業務も効率化できるのでは、という経営陣の意図がありました。そこで課題となったのが、取引先やステークホル ダー、社員に対して“都落ち”の印象を与えるようなオフィス移転をいかに避けるか、という点です。しかし、移転先の条件は集約移転を考えると最低1000 坪以上。この面積を、営業活動の利便性を下げず、ステークホルダーに対してマイナスイメージを与えないような立地で確保する必要がありました。」

要件は明確。方策とゴールが見えないオフィス移転プロジェクト

これまでのI社は関連会社を含め8拠点・計1500坪を使用し、坪単価平均は約3万円かかっていた。つまりオフィスコストは月額で4,500万円。 株主に向けて、株価に対しての着実な利益成長と、大幅なコスト削減計画をオフィスコスト削減効果で明示するためには、オフィスコストをこれまでの30%削 減をすることが同社の絶対条件であったため、拠点集約に臨むこととなった。

そして、それらを裏付ける具体的なデータ収集も必要となった。また、今回のプロジェクトはオフィス移転までの期限は設けられておらず、マーケットが変動する中でタイミングの良し悪しも含めて継続的に移転先を探すという、先の見えないものだった。
加えて、企業イメージや社員のモチベーション、通勤/営業活動を考えると、これまで同様、山手線内の駅エリアで出来る限りオフィスグレードの高い好条件物件への入居が望ましい。

このように移転先オフィスの条件は明確にあったが、要望通りの移転先が見つけられるか、そもそも全ての要望を叶える移転は現実的に可能なのか、先行き不透明な状況だったのだ。

迅速かつ的確な物件候補。支えたのは「一番情報」と「コストシミュレート」

途方にくれたI社は、移転のコンサルティングなら、と紹介されたシービーアールイー(以下CBRE)に協力を依頼した。

CBREは、まずI社のニーズの本質を探り、物件選定における可能性や比較材料を引き出すことを目的に8拠点の現状確認を実施。1拠点にオフィス統 合する効果を最大化するために、レイアウト効率の向上による面積削減を提案。共有スペース(会議室、応接室等)の使用状況や業務支援・生活支援機能(備 品、出力機、給茶機能等)の集約見直しを図ることにより、500坪の面積削減が可能となった。

また併せて、豊富なマーケットデータからさまざまな物件情報を提供した。具体的な物件に基づいて話をすることで、入居のイメージを具現化し、I社の ニーズを固めていった。と同時に、移転コストシミュレーションにより、実際に移転をした際のコストメリットを示すことによって、株主説明や役員稟議に提出 するための効果データも提示したのだ。

「他社からの情報提供も勿論ありましたが、CBREさんからの空室物件情報はスピーディな上にマーケットにまだ出回っていない物件、いわゆる「空室 の一番情報」が多く、CBREさんの後に他社から同様の物件提案を受けることもしばしばでした。また、物件単体の情報に限らず、マーケット全体の動向を把 握できるデータも提供していただき、エリア比較や時間軸での比較を通じて、中長期的な視点をもって、タイミングも含めた移転の検討を行えるようになりまし た。」(前出G様)

1年目でコスト回収、2年目から利益!好物件獲得のカギは、利害調整と交渉にあった!

また、I社の移転が成功した大きな要因として、CBREが候補物件の中から移転先を決める際のアドバイスに留まらず、契約を交わす際に借主・貸主双 方のリスクとメリットを考慮し、複雑な契約内容の調整を行ったことが挙げられる。借主と貸主双方の要望を満たす契約を交わすことは、互いの利益確保や円滑 な関係構築の面で、長い目で見た場合非常に重要である。

借主側のコスト削減効果の実現と、貸主側の利益確保を両立させるため、CBREは契約期間5年の定期借家契約を締結することを提唱。その期間の中でフリーレント期間を盛り込み、段階的に賃料をスライドさせていくという計画を提案した。
スライド幅については、綿密なシミュレーションにより、I社のコスト削減目標を実現すると共に、先行きが不安なオーナーにとってもトータルで見た場合の利益確保を実現する数字に落とし込んでいった。

結果として、双方合意の元で互いにメリットのある契約を結ぶに至った。このような現実的な着地点を提示し、オーナー・テナント間の複雑かつ時間を要する交渉を、多くの経験と実績に基づき双方納得した結論にまとめ上げることが出来るのも、CBREならではであった。

すべての条件を兼ね備えた好立地・好物件への移転に成功

結果として、I社は山手線内の主要駅近隣に1フロアで1000坪を有するオフィスへ移転し、当初の希望を上回るオフィスコストの50%もの削減と、好立地の好条件ビルへの移転を成功させた。前述のG様はこう語っている。

「我が社の要件が厳しかっただけに、本当に条件通りの移転が成功するのか、という不安が最初はありました。これをスムーズに進め、かつ期待以上のコ スト削減効果を達成できたのは、CBREさんがスピーディな候補物件の提示と、定期的なマーケット情報提供を長期間継続してくれたおかげです。何度も話し 合うことでコミュニケーションを密に取り、我が社のニーズを的確に把握してくれていたので、契約調整時も非常に安心感をもてました。」

マイナスイメージのない好立地に移転をしたため、取引先やステークホルダーに対する信用を損なうことなく、また社員の通勤や営業活動にも大きな影響 は出ていない。さらに面積だけでなく、利便性を配慮した形状の整ったフロアに移れたことで、効率的なレイアウトが可能になりスケールメリットを最大限に活 用。社内の情報共有やコミュニケーションも、以前より円滑に行えるようになったようだ。

他カテゴリの記事を読む

関連記事

成長ベンチャーに訊く|ITベンチャー vol.2

ケーススタディ

2019年11月19日

今回の「成長ベンチャーに訊く」は、ITベンチャーの第二弾。 ココナラの代表取締役南氏とGMOペパボの取締役CIO野上氏のお二人にご登場いただく。 ...

株式会社神鋼環境ソリューション|事業拠点構築ケーススタディ

ケーススタディ

2019年10月18日

神戸製鋼グループの神鋼環境ソリューションは、2017年3月のIHI環境エンジニアリング(IKE)の廃棄物処理施設関連分野との業務提...

京セラ株式会社|事業拠点構築ケーススタディ

ケーススタディ

2019年9月24日

世界中に拠点を広げる、日本が世界に誇るグローバル企業「京セラ」が、関東に点在していた3ヶ所のR&D拠点を横浜市の「みなとみ...