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日本のリテール環境を関連するマクロ指標からみていく。緊急事態宣言が発出された4月7日から5月27日の間、外出の自粛や店舗の休業が要請され、多くの実店舗が休業ないしは営業時間の短縮をおこなった。その結果、4月の小売業販売額は前年同月比13.9%減、5月は同12.3%減となった〔図3〕。2ヶ月連続の二桁減は、比較可能な1980年以降はじめてである。ただし6月はマイナス幅が縮小して同1.2%減と持ち直している。

〔図3〕

4月の全国百貨店売上高は前年同月比72.8%減だった。統計を開始した1965年1月以降最大の減少幅となった。5月は同65.6%減と改善、6月は同19.1%減とマイナス幅が大幅に縮小、回復の傾向にある。ただし、百貨店売上高を下支えしていた免税売上はほぼ消滅している(4月:同98.5%減、5月:同97.5%減、6月:同90.5%減)。

緊急事態宣言解除後しばらくは、ソーシャルディスタンスを守りながらの営業とならざるを得ない。そのため、感染拡大前の売り上げに戻るには時間を要するだろう。

緊急事態宣言発令中の人々の消費動向をみると、店舗の営業を自粛していた影響が出ているほか、不要不急の消費を控える傾向にあったことが分かる。4月と5月の家計消費状況調査3(品目別)〔図4〕では、営業が自粛されていた遊園地や映画、演劇が前年同月比で90%を超えるマイナスとなっている。また、多くの飲食店が営業自粛ないしは短縮をしていたため、外食での「飲酒代」や「食事代」が大幅なマイナスとなっている。外出自粛などの影響から、「背広服」と「婦人用スラックス」も大幅なマイナスとなったが、5月の「婦人用スラックス」は前月比24.1ポイント改善している。宣言解除後にリベンジ消費があったことを示唆している。

〔図4〕

一方、「口紅」「ファンデーション」「乳液」といった化粧品の5月のマイナス幅は、4月よりも大きくなっている。感染予防策として外出時のマスクの着装が求められており、メイクアップ化粧品への関心が薄れている可能性がある。

消費者のマインドも、過去にない冷え込みをみせた。4月の消費者態度指数(季節調整値、2人以上の世帯)は、対前月比9.3ポイント低下の21.6ポイントとなった。現在の調査方法となった2013年4月以降で過去最低を記録、下げ幅も過去最大だった。

ただし、5月以降は持ち直しの兆しがみられている。5月の消費者態度指数は同2.4ポイント上昇の24.0ポイント、6月はさらに改善し同4.4ポイント上昇の28.4ポイントとなった。6月の上げ幅は2013年4月以降で過去最大。5月下旬に緊急事態宣言が解除されたことで、経済の持ち直しに対する期待が指数を押し上げたようだ。7月も同1.1ポイント上昇の29.5ポイントとなった。内閣府の消費者心理判断は「依然として厳しいものの、持ち直しの動きが続いている」となっている〔図5〕

〔図5〕

リテーラーの出店ニーズや賃料上昇などを牽引した、インバウンド需要の回復には時間を要しそうだ。4月の訪日外国人数は前年同月比99.9%減の2,900人、5月はさらに下回って同99.9%減の1,700人となった〔図6〕。単月の訪日外国人数として、統計をはじめた1964年以降、過去最少を更新している。6月も同99.9%減の2,600人となり、9ヶ月連続で前年同月を下回った。感染拡大を抑えるために外国人の入国を規制していることなどが大きく影響している。また、観光庁が公表した2020年1-3月期の訪日外国人旅行消費額は、前年同期比38.6%減の7,071億円となった。国・地域別のシェアでは中国が34.2%と引き続きトップだったが、消費額は同43.1%減の2,416億円と大きく落ち込んだ。

〔図6〕

政府は今後、感染者数が少ない国を対象にビジネス客から入国規制を緩和するとしているが、観光客の受け入れ時期は目途が立っていない。ただし、大手旅行会社がGoogleと共同で調査した「次期人気旅行先Top20」で日本が一位になるなど、今後の海外旅行先として外国人から支持されていることが伺える。欧米に比べて新型コロナウイルスの感染者数が抑制されていることのほか、安全かつ清潔な環境などが好感されているとみられる。

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上記内容は BZ空間誌 2020年秋季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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