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オフィス構築の新潮流

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2018年6月12日

はじめに

女性や高齢者の労働市場への参加率が高まり、ミレニアル世代が社会の中核に上がりつつある中、より自由度の高いオフィス環境=ワークプレイスがますます求められている。従来とは異なるワークプレイスタイプを検討・採用する企業も増え始めている。しかし、フリーアドレスなど新たなワークプレイスを導入したオフィスでも、働き手のニーズに十分マッチしているとは必ずしも言えないケースも多い。

今日注目を集めているアクティビティベース型(ABW)のワークプレイスは、固定席がないという点ではフリーアドレス型と類似している。しかし、従業員が、その日のそれぞれの仕事の目的や内容に合わせて、様々なタイプのスペースを選択できるという点で、大きく異なる。

CBREでは、ABWを導入した東京本社で働く従業員を対象に、働き方に関する調査を行った。本レポートは、その調査結果をもとに、ABWが実際どのように従業員の働き方や意識を変えたかを考察したものである。

働き方の自由度や、従業員の健康がますます重視される中、ABWを初めとする、働き手を重視したワークプレイスは、今後のオフィスのあり方を考える上でのスタンダードになっていくと考えられる。

企業のオフィスに関する課題

働き手の意識の変化や人手不足を背景に、従業員の働きやすさを重視する姿勢は企業の間で広がりつつある。

CBREが毎年実施している「オフィス利用に関する意識調査2016」によれば、企業がオフィスを選ぶ際に重視する項目のトップ3は、「立地・交通利便性」、「コスト」、「耐震性」となった(Figure 1)。この3つが上位に挙げられる傾向は、ここ数年変わっていない。

しかし一方、「従業員にとって何を重要と考えるか」という設問に対する回答結果は、オフィスの中でどのような執務環境=ワークプレイスを提供するかということについて企業側の意識が変化していることを示唆している。同設問に対する回答のトップ3は、「交通利便性(89%)」、「室内環境の質(73%)」に次いで、「フレキシブルな働き方*(40%)」であった。「フレキシブルな働き方」を選んだ企業の割合は2015年調査の15%から大幅に増え、トップ5からトップ3にランクアップしている(Figure2)。

*「フレキシブルな働き方」=フレックス勤務や、在宅・その他オフィス以外でのリモートワークなどが可能な就業環境

Figure 1:企業がオフィスを選ぶ際に重視する項目
Figure 2:企業が考える従業員にとって重要と思われる項目

オフィス構築の新潮流

実際、昨今はフリーアドレス型を初めとして、従来とは異なるワークプレイスのかたちを検討・採用する企業が増えつつある。とは言え、新たなワークプレイスのこれまでの導入事例の中には、コスト削減のみを目的としたものも多い。従業員にとっての働きやすさやフレキシビリティを提供するという趣旨のワークプレイスは、日本においては今まさに広がろうとしている状況だ。

ワークプレイスを、従来からの「固定席型」、「フリーアドレス型」、そしてその発展形である「アクティビティベース型」の3タイプに分類し、それぞれが企業の課題(コスト効率性、組織のフレキシビリティ、個人のフレキシビリティ)に対応可能か否かをまとめたのがFigure 3である。

コストのみならず、従業員の働きやすさという観点からも、3つ目のアクティビティベース型がこれからのオフィスの新潮流と言える。

Figure 3:ワークプレイスの特長

固定席型

現状でもっとも多くの企業が採用している、従来型のワークプレイス。部署ごとに全従業員の個人デスクが用意されるため、個人にとっても、組織にとってもフレキシビリティに欠ける。

人員の増減や組織変更の際には内装工事などのまとまったコストが発生する。

フリーアドレス型

ここ数年で普及しつつあるワークプレイス。固定席はなく、従業員全員が席を共有する。全従業員数分の席を用意する必要がない。そのため、外出の多い営業職が多い職場などの場合は、固定席型に比べてオフィス面積を2~3割削減することも可能。組織変更なども行いやすい。

しかし、席のタイプの選択肢は固定席型とほとんど変わらない。そのため、従業員はほぼ1日中、同じ場所で働くことになりがちで、実質的に固定席型と変わらないというケースも多い。

一度はフリーアドレスを導入したものの、結果的に固定席型に戻すような事例も散見されている。

アクティビティベース型(ABW)

フリーアドレス型の発展形で、欧米やアジアに続いて日本でも注目を集めつつあるワークプレイスタイプ。ワークプレイス全体を全従業員で共有するという点はフリーアドレス型と同じ。

ただし、様々な席のタイプが用意されているため、従業員は働き方や仕事の内容に合った環境を選択することができる。

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オフィス構築の新潮流
アクティビティベース型ワークプレイス(ABW)- CBRE東京本社を事例として

目次

  • はじめに
  • 企業のオフィスに関する課題
  • オフィス構築の新潮流
  • オフィスの使い方を変えるワークプレイス
  • 働き方を変えるワークプレイス
  • 会社の選び方を変えるワークプレイス
  • 心身の健康観・ウェルネスを変えるワークプレイス
  • まとめ

作成:2017年10月

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