前回の記事では、リーシングマネジメントの役割と、オフィス市場が変化する中で「選ばれるビル」になるための考え方をご紹介しました。実際の現場では「募集はしているが、なかなか決まらない」「仲介会社に任せているものの、状況が見えにくい」といった、運用プロセスの不透明さに対する懸念が多く寄せられます。特に空室が長期化しているビルでは、立地や築年数といった表面的な理由に帰結させがちですが、その背景には、市場ニーズとの乖離や「オーナー様自身の気づき」の不足が潜んでいます。 今回は、CBREのリーシングマネジメント最前線で数多くのビルを再生させてきた担当者の知見をもとに、空室が長期化するビルの共通点と、資産価値を最大化させるための戦略的アプローチを掘り下げます。

塩見 沙織(しおみ さおり)
シービーアールイー株式会社
リーシング
ランドロードレプリゼンテーション部
ディレクター
【無料DL】リーシング成功のための基本チェックリスト
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Q1. 空室が長期化しているビルには、どのような特徴が見られますか?
一言で言えば、「マーケットの進化スピードと需給の変化から取り残されている」ことです。
・「周辺の需給バランス」に対する認識のズレ
ビルスペックが、現在のエリア供給の中でどのポジションにあるかを客観的に把握できていないケースです。周辺の空室率や成約賃料の推移をデータとして捉え、競合に対して「今、何をプラスすべきか」を判断するマーケット視点が不可欠です。
・「時代」へ寄せていく判断
天井高、OAフロア、カードキー対応など、現代のテナントが求める「標準スペック」に達していないビルです。「古いから無理だ」と諦めるのではなく、今のマーケットに寄せていく勇気が必要です。
・戦略性を欠いた募集資料と認知不足
優れた物件でも、存在を知られなければ存在しないのと同じです。図面1枚の資料では魅力は伝わりません。私たちは複数の切り口から戦略的資料を用いて市場で正しく認識される状態をつくります。

Q2. 実際のビルオーナー様からは、どのような課題を耳にされますか?
多くのオーナー様が、自社物件の「現在地」が見えないことに不安を感じていらっしゃいます。
表面的には「立地が悪いから仕方ない」「築年数が古いから決まらない」といった言葉が出てきますが、深掘りしていくと、本当の課題は“情報不足”にあるケースが非常に多いと感じています。例えば、相場が今いくらなのか、周辺の競合ビルがどんな条件で成約しているのか、テナントが本当に求めている設備・仕様は何か、こうしたマーケット情報を仲介会社任せにしてしまっているため、結果としてリーシングの主導権を握れず、「言われるがままに条件を下げてしまう」という状況に陥っているオーナー様も少なくありません。また、よく聞く声として、「内覧数は多いのか少ないのか判断できない」 「なぜ申し込みに至らなかったのか理由が分からない」 といったものがあります。内覧後のフィードバックが十分に共有されず、他物件との比較データもないままでは、改善策を打つことも、次の一手を考えることもできません。
その結果、同じ募集条件・同じやり方を続けてしまい、気づかないうちに機会損失を積み重ねてしまっているケースも多いのが実情です。さらに言えば、課題に薄々気づいてはいるものの、前任者の判断を否定することになる、今までのやり方を変える決断ができない、といった理由から、あえて向き合わずに来てしまったオーナー様もいらっしゃいます。だからこそ、第三者として客観的に現状を整理し、「何が課題で、どこを変えればいいのか」を可視化することが、今のオーナー様には強く求められていると感じています。

Q3. 同じ立地条件でも稼働率に差が出るのはなぜでしょうか?
「立地が悪いから埋まらない」という言葉は、実はオーナー様が真の課題から目を逸らすための「免罪符」になってしまっていることが少なくありません。
稼働率の差は、「ソフト面での戦略投資」に現れます。 例えば、有効面積を削ってでも共用ラウンジを設置し、その付加価値で坪単価をアップさせ、数年で投資回収を完了させる。あるいは、駅距離をカバーするために専用バスを運用したり、建物内に魅力的なアメニティを用意したりする。ハード(立地)の弱点をマーケット分析に基づいたソフト(企画・運用)で補完する「攻め」の姿勢があるかどうかが、稼働率に直結します。

Q4. リーシングマネジメントを依頼することで、具体的にどのようなサポートが受けられますか?
私たちは、単なる媒介業者ではなく、オーナー様の資産価値を最大化させる「戦略パートナー」です。
・知度を高める広報活動と「語れる」内覧対応
1,600人もの外部仲介ネットワークへの周知に加え、現場ではプロのエージェントが物件の優位性を論理的にプレゼンし、成約に向けた動機付けを確実に行います。
・物件資料のブラッシュアップ
図面1枚の資料から、ターゲットに刺さる「多構成の戦略的募集資料」へと刷新。仲介業者が自信を持ってエンドユーザーに提案できる「武器」を提供します。
・高稼働・価値向上への戦略立案
エリアの需給バランスを分析し、常識を覆すソリューションを提案します。例えば、「ペット同伴OKのオフィス」への転換。画一的なビルが並ぶ中で、あえて特定のライフスタイル需要を取り込み、空室解消と賃料アップを同時に実現した事例もあります。こうした「エッジの効いた」企画に加え、改修コストの算出から投資回収シミュレーションまでを一気通貫で策定し、高稼働と資産価値向上を両立させます。

Q5. オーナー様へのメッセージ
テナントのニーズは時代とともに大きく変化しており、「何から手をつければよいか分からない」と感じているオーナー様も多いと思います。まずは、その変化を正しく捉えることが重要です。 これまで大型開発中心と思われていた大手デベロッパーも、近年は中小規模ビルや100坪前後の物件に本格的に取り組んでおり、非常に洗練された物件を市場に投入しています。 その結果、これまで同規模ビル同士で競っていた市場に、豊富な知見を持つ“プロ”が参入してきており、競争環境は大きく変わっています。 だからこそ、従来と同じ発想・同じやり方のままではなく、信頼できる専門家の力を借りて戦略を見直すことが必要です。 同じコストをかけるのであれば、確かな実績と企業規模を持ち、市場に対して責任を持ってコミットできるパートナーにぜひ相談してほしいと思います。
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