2006年から07年にかけ、それまで停滞感の強かった賃料改定状況が大きく変化し、「増額改定ブーム」ともいえる事態に及んだことは、市場関係者にとっても記憶に新しいところではないだろうか。ところが08年に入り、市況は突然マイナスへとシフト。米国におけるサブプライム問題を発端に、金融不安は世界的な広がりを見せており、我が国でも不動産会社の大型倒産が相次ぐなど、不動産マーケットは一気に冷え切ってしまったといっても過言ではない。
そんな中、現在の賃料改定事情は、いったいどのような動向となっているのだろうか。下のグラフは、弊誌に同梱した賃料改定に関する読者アンケートを実施号毎にまとめたもの。市況の二極化が叫ばれつつも回復の兆しが賃料改定にも表れ始めた05年末。その潮流が確実となり、新聞等のメディアにも「オフィス賃料値上げ」の記事が躍った07年春。そして08年秋は、米大手証券会社リーマン・ブラザーズの経営破綻とほぼ同時期と見てもらえれば、時々の背景をおおよそ捉えてもらえるものと思う。
まず気が付くのは、どのような市況下でも変化の見られないテナントの態度と、市況により大きく揺れ動くビルオーナーの対応だろう。また地域を東京に限定すると、やはりテナントの傾向は全国とほぼ同じなのに対し、ビルオーナーの方は、全国のグラフとはまた違った結果が示されている。年毎、エリア毎で大きく変化するオーナーサイドの弱気度・強気度が、如実に表れているといえよう。 このようなマインドは、実際の賃料改定にどのように影響するのか。次ページ以降、シービー・リチャードエリス総合研究所(株)が毎年実施している全国各地の賃料改定状況調査を掲載する。同読者アンケートに加え、さらに詳細な動向分析をご覧いただきたい。
アンケート質問内容
現在入居中、もしくは所有のオフィスビルについて、次回(直近)の賃貸借契約更新時において、どのように賃料改定交渉をしようとお考えですか?(あくまで予定、希望で結構です。)
■ 貴社は
- テナントである
- オーナーである
■ 賃料は
- 据え置く
- 減額(○○%程度)要求する
- 増額(○○%程度)要求する
- 先方の要求に従う
- その他
アンケート有効回答数
2008年秋実施 | 2007年春実施 | 2005年冬実施 | |
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テナント | 104 | 71 | 146 |
ビルオーナー | 101 | 86 | 150 |