時代の変化を追い風に事業を拡大。企業風土や社員の交流を大事にしたい。
企業のDXなど、ビジネスの場で新たなシステムに触れる機会が増えている。業務を効率化する一方、その操作や扱いに戸惑う人も多いのでは? 2018年に創業したテックタッチ株式会社は、そんな状況を変え、あらゆる人がシステムを使いこなせる社会を目指すスタートアップ。代表取締役CEOの井無田氏にその事業内容やオフィスについて訊いた。
テックタッチ株式会社
代表取締役CEO
井無田 仲氏
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誰もが、「システム」を簡単に使える社会を目指して
テックタッチは、Webシステムの画面上に操作ガイドを表示できるデジタルアダプションプラットフォーム「テックタッチ」を提供している会社です。ブラウザの拡張機能からリアルタイムでナビゲーションを呼び出すことができるので、マニュアルを読まなくとも、その場でWebシステムを扱えるようになります。業務のDXに伴って新しいシステムを導入したものの、使い方が社員に浸透しない、操作を覚える負担をかけてしまう、また、情報システム部門への問い合わせの増加やシステムへの投資対効果が出ないといった課題解決のソリューションとなるのが「テックタッチ」なのです。
創業は2018年3月。翌年にサービスの提供を始め、現在7期目を迎えました。まだ若い会社ですが、従業員の多い大手企業や行政機関を中心にご導入いただいており、ユーザー数は600万人(2024年8月時点)を超える方々に利用されています。
現在のサービスを考えた経緯としては、様々な要因がミックスされていたと思います。一つは、私が新卒だった金融機関で、IT部門が開発したシステムに使いづらさを感じたこと。次に、その後勤めたIT企業で、私もアプリの開発に携わるようになり、いざ自信たっぷりにリリースしても、思いのほか評価されなかったというのもあります。その時、プロダクトの作り手と使い手の間にあるギャップを感じ、その差をなくしたいと意識するようになりました。また、私の父親も事業を営んでいたこともあり、金融機関で働いていた頃から、いつかは自分も起業したいと思っていました。金融機関には7年ほど勤めましたが、2011年3月に東日本大震災が起こり、いつ何があっても後悔のない人生を歩みたいと考えるように。震災翌週には辞表を出し、何かでとにかく起業したいと沖縄で雑貨店を開店しようとするも断念したこともありました。その後、2012年に修行のつもりで就職したのが、先ほどのIT企業です。転職時はITの知識がなく苦労しましたが、アプリでの新規事業立ち上げを複数経験させてもらったのが、今とても活きています。
小さなレンタルオフィスから著名ビルへ移転し、製品を発表
共同創業者の日比野淳(テックタッチ取締役CTO)とも、前職で出会いました。私は会社に4年間在籍したあとに独立し、アプリビジネスのアドバイザーの仕事を始めましたが、エンジニアの日比野と久々に飲んだのです。2018年初めに彼が退職するというので、「それなら一緒にやろうよ!」と合流したのが、テックタッチの起業につながる原点です。とはいえ、その時点ではまったくのノープラン。しばらくの間は日比野と二人、ビジネスプランを練る日々が続き、3月に港区乃木坂で3名用の小さなレンタルオフィスを借りて会社を設立しました。翌月にはもう1名入社することも決まっていて、さあこれからだと盛り上がる一方、実は創業4日目にして、当初のプランを方向転換する状況に。スタートアップ企業の中でも最速のピボットだったと思います(笑)。結局、その1名が入社後、3人で再度ゼロから考えたサービスが、現在の「テックタッチ」になりました。
開発に1年ほど取り組み、本製品版をリリースしたのが2019年2月。その間も乃木坂のオフィスで3人部屋から6人部屋へ移動したり、時にはその両方を借りたり、スタッフは増えていきました。そして、リリースを2ヶ月後に控えた2018年12月には、千代田区にある霞が関ビルの30名程度のキャパシティのサービスオフィスへ。誰もが知る著名なビルで、社員が5名当時の移転でこんなに投資をしていいのかドキドキしましたが、その住所を営業資料などに記載できることに大きなメリットを感じました。
霞が関ビルには、社員が70名近くになるまでの4年間、増床しながら入居していました。かつては短期間で移転を繰り返すことが、スタートアップ企業のステータスと見る向きもあったと思うのですが、その都度コストがかかります。私としては非効率と感じていましたし、オフィスを移転せずリーズナブルに拡張できることは、現在の港区汐留のシェアオフィスを選んだ理由の一つです。
事業の拡大に伴って増える社員、安定期はまだまだずっと先
現在のオフィスに移転した第一の理由は、電話ブースが必要になったからです。コロナ禍以降、リモートの商談が増え、近くにいる社員の声が干渉してしまうことも増えました。それを防ぐために、電話ブースをつくるか、それを備えたオフィスへ移転するか検討した結果です。また、リモート勤務が増えたにも関わらず、広いオフィスを維持する投資効率の悪さも懸念点になっていました。
現在、社員は120名。開発部門はフルリモート勤務で、営業などのビジネス部門は月のうち40%は出社する体制にしています。シェアオフィスなのでリーズナブルに拡張でき、占有スペースのほかにも共有スペースが使え、共用の電話ブースも多い。コロナ禍でオフィスに求める条件や働き方は変わりましたが、企業としての雰囲気づくりや、社員たちの交流は大切にしていきたいです。
そのため、社員同士でランチに行く際には費用の一部を会社が負担したり、一緒に行くメンバーを募るシステムを開発したり。また、リモート勤務も含め、社員同士をランダムで選出し、毎月30分間、1on1で話すシステムもつくりました。
DXやAIの普及など、私たちの事業領域は今後も拡大し、提供するサービスも増やしていきます。それに伴い、かなりのスピードで増員していきます。成長を続ける私たちの安定期は、まだまだ先になりそうです。
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