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株式会社ネストエッグ | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2022年1月25日

2016年、日本で初めて銀行口座と連携できる自動貯金アプリ「finbee(フィンビー)」をリリースしたネストエッグ。その起業の背景には、2018年の改正銀行法の施行があったという。創業から5年、フィンテックの領域が大きな広がりを見せる中、大学卒業後、銀行マンとして働き、IT企業、海外の銀行と渡り歩いてきた同社社長の田村 栄仁氏に、事業とオフィスの変遷について語ってもらった。
株式会社ネストエッグ 代表取締役社長CEO 田村 栄仁 氏

金融機関が抱える課題を解消し、
ユーザーに新たな貯金体験を提供。
広がるフィンテック領域で、
ビジネスの可能性を探っていく。

株式会社ネストエッグ
代表取締役社長CEO 田村 栄仁
 

株式会社ネストエッグ

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オープンバンキング時代に向け 自動貯金アプリをリリース

株式会社ネストエッグは、銀行口座と連携できる日本初の自動貯金アプリ「finbee(フィンビー)」を開発し、その提供と運営を行っているフィンテック企業です。親会社である株式会社インフキュリオンに所属するメンバーたちと、 2016年4月に創業し、同年12月にフィンビーをリリースしました。

私はもともと大学を卒業した1996年に三和銀行(現 三菱UFJ銀行)に入行し、その後、IT企業で金融サービスの立ち上げに携わったり、縁のあったインドネシアのローカル銀行などで、キャリアを積んできました。一時は独立し、金融と異なる分野でも事業を行っていましたが、会社員時代も独立していた時も悶々と課題を感じていたのが、金融の世界です。金融業界はかねてより規制産業と呼ばれ、新しいサービスの立ち上げに際してはハードルが高い側面がありました。しかし2018年の銀行法の改正で、APIを活用した外部とのデータ連携がしやすくなり、その改正銀行法の施行に向けて事前に立ち上げていたのが、ネストエッグという会社であり、フィンビーというアプリというわけです。

フィンビーは、ユーザーが持っている銀行口座と連携でき、別に用意する貯金用口座に自動でお金を取り分けていくアプリです。ユーザーが実現したいことやほしいものに合わせて目標金額や貯金期間、ルールを設定でき、積み立て貯金はもちろん、フィンビーから届くお題や自身で決めたルールをクリアできたら貯金ができたりと、日常生活における体験や習慣を通し、楽しく貯金できるのが特徴です。また、 AmazonなどのECサイトとも連携でき、ほしいものをフィンビーで一括管理することもできます。

投資や融資で収益を得る金融機関にとって、貯金は、利息を払って預金を集める「コスト」に分類される機能です。そのため、銀行がそれらに充てられる時間やリソースには限りがあり、一方では改正銀行法の施行に伴い、デジタルチャネルを拡大しなければならないというジレンマを抱えていました。フィンビーは現在14の銀行と連携していますが、そのような課題を解消するアプリとして、提携先の金融機関から対価をいただくことで、これまでになかった新たな貯金サービスをユーザーに無料で提供できるビジネスモデルとなっています。

立ち上げ当初の「助け」となった 間借りスペースでの創業

株式会社ネストエッグ

ネストエッグの立ち上げ当初は、親会社のインフキュリオンの九段下にあったオフィスに間借りをしていました。まずは2席だけ用意してもらい、まわりは当然インフキュリオンのメンバーばかり。当時のインフキュリオンはコンサルティングをメインの事業にしていましたが、私が外回りに出る時など、無理を言って業務を手伝ってもらったりもしていました。申し訳ないことに、あの頃は間借り代も支払ってなかったと思います。それで、我々が創業して1ヶ月ほど経った頃、間もなくしてインフキュリオンが紀尾井町のオフィスビルへ移転することになり、我々もそちらへ移ることに。親会社の動きに合わせた移転となりましたが、その時に我々専用のスペースをつくってもらい、のちの増員や外部の協力会社の方の利用を想定し8席を確保してもらいました。

ただし、間借りをさせてもらう立場ですから、贅沢は言えません。我々の執務室は、インフキュリオンのオフィスで余った一角をパーテーションで仕切った空間で、形状も四角形でなく変形型。隣のサーバールームからは常にサーバーを冷やす音が聞こえたりと、執務室としては快適とは言えませんでしたが、窓があったので開放感があり、それが救いでしたね(笑)。とは言え、紀尾井町にある歴としたオフィスビルであり、会議室もインフキュリオンと共用で使わせてもらえたので、まだ何もプロダクトを持たない駆け出しの我々にとって間違いなく「助け」になっていました。紀尾井町というロケーションや、ビルの立派な外観やエントランスなど、対外的に信用を築く面でもメリットがあったと思います。一方、当初8席だった執務室は、しばらくすると10名で使うようになり、手狭になってしまいました。さらなる増員を検討していましたし、何より間借りのオフィスでは、面接に来た方に成長企業とは思ってもらえないですよね(笑)。それで弊社単独での移転を考え、 2018年9月に人形町のオフィスビルへ移ることになりました。

増員に向けてオフィスを移転 メリットを実感した人形町

株式会社ネストエッグ

自分たちのオフィスを探すといっても強いこだわりはなく、条件としていたのは、20~25名分ほどの席を確保でき、その後の人員計画に対応できることぐらいでした。実際、仲介業者さんに紹介された物件のうち、最も理想的に思えたオフィスは諸事情でキャンセルしましたし、人形町のオフィスも2番目か3番目に勧められた物件で、エリアも狙っていたわけではありませんでした。ただ、結果として2年ほどいた人形町は、地方銀行の東京支店が数多く集まる室町に近く、打ち合わせや営業に歩いていけるメリットがありました。また、新幹線が使える東京駅が近く、中央区にしては賃料相場も比較的リーズナブル。社員たちからは当初、「どうして人形町?」と言われたりもしましたが、飲食店が充実していてランチにも困らず、個人的には大好きな街になりました。

親会社の事業転換と想定外のコロナ禍 小所帯でビジネスを広げていく

人形町で2年を過ごしたあとは、一旦インフキュリオンが入居していた紀尾井町のビルに戻り、2021年に入ってから、インフキュリオンとともに麹町へオフィスを移転しました。人形町を離れることになった理由は二つあり、一つはインフキュリオン・グループ全体でエンベデッド・ファイナンス(埋込型金融)など、フィンテックの領域に注力するようになり、共同で取り組むプロジェクトが増えたこと。もう一つはコロナ禍でメンバーがリモートワークに移行し、当初想定していたオフィスの規模を、3分の1ほどに縮小できると判断したからです。

フィンビーは、現在、銀行口座を連携したユーザーによる貯金総額が260億円を突破し、新たな提携に向け金融機関と交渉を続けています。本音を言えば増員したい気持ちもありますが、我々のビジネスモデルは人を増やせば増やすほど売り上げが伸びるというものではなく、今は増員のタイミングを見計らっているところです。

現在、従業員は役員も含めて12名という小所帯です。しかし、電子決済等代行業者として登録している弊社は、その条件としてオフィスを構える必要があり、リモートワークの拡大とともにオフィスが不要になるとまでは考えていません。また、通勤を伴わないリモートワークは楽な半面、打ち合わせの件数が増え、社員たちには別の負担をかけています。今後はそのような問題点を解消すべく、リモートワークとオフィスをうまく組み合わせながら、ネストエッグとして新しい働き方を模索していこうと思います。いかに小所帯でビジネスを広げ、回していくか。しばらくはその観点で頑張ります。

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上記内容は BZ空間誌 2021年冬季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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