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株式会社よりそう | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2020年1月27日

株式会社よりそう 代表取締役 芦沢 雅治氏

事業部とカスタマーセンターを
フルフラットにして、
顧客の声をビジネスに反映させ
イノベーションを加速させたい。

株式会社よりそう
代表取締役  芦沢 雅治

株式会社よりそう

社会の課題解決を目指し起業
困っている人が多い葬儀領域に着目

株式会社よりそう

幼少の頃から、格差や貧困など“世の中の不”に対する課題意識を持ち、自分が何らかの形で解決できないかと考えていました。その想いから、アメリカ留学中に学んだインターネットの知識をもとに、2009年、当社の前身となる「みんれび」を創業したのです。誰もが自分らしい選択ができる社会を実現したいとの想いから、介護や歯医者といった生活に密着した分野の情報ポータルサイトを立ち上げたのが最初です。

その中でも、葬儀社の情報サイトに大きな反響がありました。人はいつ亡くなるかわからないですから、いつでも電話でお問い合わせいただけるよう、僕が24時間365日、夜は携帯電話を持って“コールセンター代わり”を担当しました。お客様は葬儀のことを誰に相談していいかわからず、藁にもすがる思いで電話をかけてこられます。「丁寧な対応がうれしかった」と感謝の言葉をいただいたことに感動し、また、今後高齢化が進む日本や世界で葬儀領域は大きな課題になると感じ、葬儀領域に本格的に取り組むことにしたのです。

当初は葬儀社の情報提供と紹介を行っていましたが、葬儀費用の不明瞭な現状を変えたいと思い、明瞭な価格設定の葬儀サービスを自社開発し、2013年より提供を始めました。2018年には、エンディング領域のサービスをワンストップで提供する「よりそう」のブランド展開を始め、同6月に社名も「よりそう」に変更しました。

高田馬場の雑居ビルの一室がスタート
9坪に7~8人が肩寄せ合って働く

株式会社よりそう

実は起業前、高校時代の友人10人とNPO法人を立ち上げたのですが、ボランティアでは事業継続が難しいと痛感し、会社を設立した経緯があります。NPO法人のメンバー1人と、留学時代の日本人の友人が創業メンバーに加わり、共同経営の形で会社を立ち上げました。自宅での起業も検討しましたが、僕の性格上引きこもりがちな不健全な生活になってしまうと考えて4階建ての雑居ビルの一室をオフィスとして借りました。高田馬場を拠点にしたのは、僕の住まいも高田馬場にあり、引っ越し費用もなかったからという単純かつ切実な理由からです。

9坪のオフィスに、社員7~8人が肩寄せ合って仕事をしていました。誰かが立ち上がると、その気配で皆がハッと顔を上げる。それくらいの狭さでした。入口に仕切りを設け2人がやっと座れる会議室を作りましたが、トイレがすぐ近くにあって音がすごく響いたのを覚えています。事業が次第に大きくなり、スペース的に限界になったので、2年後、同じ高田馬場にある別のビルに移りました。

まずビル8階の一室に入居し、その後、7階が空いたのでワンフロアを増床。このときコールセンターを立ち上げました。8階を会議スペースにして、7階の執務室に営業、ウェブ制作、コールセンターのスタッフが働いていました。

当初、コールセンターへの問い合わせは1日数件程度。僕自身、葬儀業界での経験がなかったので、最初はお客様の要望に応えられず、なかなか受注には至りませんでした。他のスタッフも、葬儀業界での経験者というより、社会性のある仕事にやりがいを感じたり、葬儀領域の市場のポテンシャルに魅力を感じたりして入社してきた人がほとんどです。まずはお客様のニーズをくみ取るために、提携する業者の方々に話を聞いたり、現場に顔を出したりして、お客様に寄り添うためにはどうすればいいのかを必死で勉強しました。やがて初めて受注できたときは、うれしくて泣きました。 

7階の執務室ではコールセンターのスタッフが増え、それ以外の営業やウェブ制作などのスタッフも増えて、スペース不足が深刻な状態でした。当社には来客も多く、業務提携する葬儀社の方や、葬儀や法要の際に僧侶を手配する「お坊さん便」というサービスに登録する僧侶の方、投資家の方など様々なお客様がいらっしゃいます。8階の打ち合わせスペースも手狭になっていました。また、駅から徒歩15分という立地もお客様や社員の負担になっていたのです。スペース不足と立地の不便さを解消するため、2017年3月、現在のHI五反田ビルへと移転しました。

五反田を選んだのは、このエリアにオフィスを構えるベンチャー企業が増えていると聞いたからです。他のベンチャー企業の方々と情報交換できるのは魅力的に感じましたね。

顧客接点のコールセンターがビジネスの要
機能停止せずに移転する方法を模索

株式会社よりそう

第一陣として、コールセンター以外のオフィス職がビルの4階に移転し、2018年10月にコールセンターが2階に移転しました。移転を2段階に分けたのは、コールセンターを動かすには万全の準備が必要だったからです。当社のコールセンターは24時間365日稼働で、一時的にでも止めることはできません。人が亡くなるタイミングは選べませんから、いつでも電話対応できる体制を整えておく必要があるからです。このビルの2階が空いたタイミングと、コールセンター機能を維持しながら移転できる準備が整ったのが2018年10月だったのです。これでようやく拠点を一つにすることができました。今度は駅徒歩5分という便利な立地であること、そして全員が同じビルで働けるようになることを喜ぶ社員が多かったですね。

顧客接点を担うコールセンターは、当社のビジネスの要です。エンディング領域のすべてを取り扱う当社の事業の特性上、コールセンターのスタッフに求められる知識の幅は広く、外部委託ではクオリティが保てないと考え、直接雇用している点が特徴です。通常はブースで区切るのが一般的なコールセンターの形かもしれませんが、当社では社員同士が連携しやすいよう、セキュリティを抜けた先はオープンな職場環境にしています。例えば、お葬式の際にお坊さんもあわせて手配したいという相談に対しては、「お坊さん便」のチームと連携することでよりお客様のご要望に応えることができます。こうした有機的なコールセンターが当社の強みです。

この新しいオフィスでも人員が増えていて、移転時に40名だった社員は100名に増えました。業務委託も合わせると130名です。2021年2月までに200名体制にする計画なので、すでに移転を検討せざるを得ない状況です。五反田から離れたくないのですが、適当な物件が見つからないのが悩みです。

いつかはグーグルやフェイスブックのように、自由空間が多く、社員が快適に働けるオフィスを作るのが理想です。できれば、事業部とカスタマーセンターを同じフロアに配置し、気軽な意見交換やコミュニケーションが生まれる空間を作りたいと考えています。顧客の声を素早くビジネスに反映させることで、イノベーションを加速させ、成長のスピードを上げていく。そんなオフィス空間を作っていきたいですね。

上記の記事の内容は BZ空間誌 2019年冬季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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