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セーフィー株式会社 | 成長ベンチャーに訊く

ケーススタディ

2020年1月27日

セーフィー株式会社 代表取締役社長 代表取締役社長 佐渡島 隆平氏

プラットフォーム事業として
拡大とともに、社員数は瞬く間に増加。
これからは、腰を据えて、
「快適で楽しいオフィス」を目指します

セーフィー株式会社
代表取締役社長  佐渡島 隆平

セーフィー株式会社

クラウド技術とAIを活用した映像解析
プラットフォームサービスを展開

セーフィー株式会社

セーフィーはクラウド録画型映像プラットフォーム「Safie」の開発・運営および関連サービスを提供する会社です。わかりやすく言えば、防犯カメラとか監視カメラということですが、実際には様々な映像の活用方法が想定できます。例えば顔認証技術を利用して、多層のフロアの中から特定の社員がどこにいるかを見つけるとか、工場などでワーカーの動きを見ながら、オペレーションの効率的な動線を検証するといったことが容易にできます。あるいは、建設現場や資材置き場の状況をリアルタイムに確認したり、工事の進捗状況を自動的に映像化して、レポートとして残しておく。飲食店やCVSなどでは顔認証と購入履歴をPOSデータとして連携させて、いつ、どこで、誰が、何を食べたといったデータを蓄積できるし、接客の改善などにも応用できるのです。

私はもともと、ソニーの関連会社として顔認識技術を開発するモーションポートレート㈱で仕事をしていました。その頃、家を建てた際に、防犯カメラをつけようとしたのですが、そこで提示されたのはアナログのカメラ2台を使った高額な請求書でした。その時、アクションカメラからの高精細な映像データをクラウドに蓄積して、AIで解析することでより賢くなるシステムを廉価で提供するサービスを思いついたのです。そこで同僚である森本と下崎という技術者2人に相談したところ、クラウドを利用して簡単にできるという答えが返ってきました。それが起業を思い立つきっかけとなったのです。

本来なら社内で事業化することもできたのですが、起業というスタイルを採ったのは、ソニーのデバイスに依存するのでなく、どこの製品でも利用できる、よりオープンな環境で使えるものにしないと広がらないと思ったからです。会社には出資という形で応援してもらえたことで、色々なメーカーのカメラとつながることができ、オープンプラットフォームとして加速していくことができました。そこで、先の2人の技術者を含めた3人ですぐに設立準備に取りかかりました。晴れて設立にこぎつけたのは2014年10月のことです。

急成長ベンチャーが直面する
厳しいオフィス探しの現実

セーフィー株式会社

設立に際してオフィスを借りようと思っても、世間の風は冷たく、なかなか貸してくれません。ただ、ソニー通りと異名を取る五反田界隈では、元ソニーの関連会社の社員であり、投資もしてもらえることが信用してもらえたのか、駅前のシェアオフィスを借りることができました。他では借りられなかったし、時間が優先。デスクと椅子とPCさえあれば仕事はできるし、とりあえず5人ほど入れるスペースが確保できれば事足りる。手狭になったら借り増せばいいという感じでしたね。実際、同じレンタルオフィスの中で3回借り換えました。ですが、2017年初めに10人程度だった社員が1年で30人くらいになり、これ以上増床すると割高になるということで、一般のオフィスビルに移転することにしたのです。

移転先は、同じ五反田界隈の約50坪のビルでした。会社のブランドの象徴であるロゴマークにはこだわりましたが、執務空間の内装には100万円しかかけませんでした。会議室があって、エントランスにロゴがあって、観葉植物が少しあれば、といった程度でした。我々にとってはオフィスがものを作るわけではない。プロダクト・ファーストですから、格好にこだわるより、まずは出せるものを出すというスピードを重視していました。レイアウトは、エンジニアが思考に集中できるように、あるいはカメラの映像の検証がしやすいように、壁や窓を向いて座り、管理部門や営業は通路側に並んでいました。

実を言うと、設立時は、プラットフォーム事業に特化した30人程度の少数精鋭の事業形態にしたいと思っていました。我々がファームウェアを書いて、それを色々なメーカーがアプリケーションに応用して広がっていくビジネスモデルを想定していたのです。しかし、大手メーカーのOEMを手がけるにつれ、当社の優位性をより広く知らしめなければならない。そのためには相当数の人員の労力が必要だということがわかってきたのです。そこで当初の方針を変更して、拡大路線をとったのがこの頃でした。その結果、入居して半年で次のビルを探し始め、結局1年弱で再度、移転することになりました。その間、オフィスはすし詰め状態で、会議室を外部に借りていました

移転先を探すに当たり社員にアンケートを取ったところ、家に近く、ランチや帰りの飲み屋に困らない五反田がいいという意見が多数を占めました。我々にとってもベンチャー企業が集積する「五反田バレー」でもあるし、目黒や恵比寿、渋谷などより割安感のある五反田はありがたいことでした。しかしそれでも、急拡大したベンチャーにとってのオフィス探しは、前年の財務諸表では与信も通らずに、門前払いにされるといった悲しい現実が幾度となくありました。そうした中、ようやく見つけたのが現在のビルでした。

今回こだわったのは、80名にもなった社員のコミュニケーションの取りやすさ。リラックススペースやランチが一緒にできるソファー席などを設置し、寛げるようにゲームを置いたりしています。また、社員にはお母さんも多いので、子供を連れてこられる環境も作っていたのですが、すでにもうスペースがなくなってきています(笑)。

「映像から未来をつくる」グローバルカンパニーを目指す
「最高に楽しい」オフィスのあり方

我々が目指しているのは、「映像から未来をつくる」こと。見たものを情報化し、AIによる解析を加えることで、そのバリエーションは無限に広がります。例えば、夜中の交差点で、右折の車が1台もいないのに、信号には右の矢印が出続けるといった無駄を省けば、道路はより効率的に走れますよね。そうした判断をAIに委ねることで実現できるのです。世の中のあらゆるものを制御できれば、人間個人の意思決定をより有効なものに導けるよう関与することになるのです。そのためのインフラとしての、テクノロジーやハードウェアを我々がそろえておけば、アプリケーションはアイディアの数だけ生まれる可能性があります。

そのインフラづくりが我々の使命でしょう。その実現のためには、さらに多くの人が必要であり、器としてのオフィスも重要になりますね。社員は今年の10月現在で80名に達し、100人は目前となっています。ですから次のオフィスで、ようやく腰を据えて業務を遂行できる環境にできるかな、と期待しています。その時には、今までのように近い将来を見据えてすぐに引越しをしなければならないようなぎりぎりサイズのオフィスではなく、大きなスペースを社員の遊び場などとして有効活用しながら、人が増え「どんどんスペースをうめていく」ようなオフィスづくりが、今後の理想です。

上記の記事の内容は BZ空間誌 2019年冬季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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