優秀なエンジニア採用の切り札として、フレキシブルオフィスの柔軟性を大いに活用したい。
子どもに最適な塾を探せる学習塾検索サイトを運営する株式会社DeltaX。2022年、6人でスタートしたこの会社は、約2年で50名のスタッフを抱えるまでに成長した。急成長を遂げる同社が拠点としてきたのは、一貫してフレキシブルオフィスである。採用計画とも密接に関連するスタートアップのオフィス戦略について黒岩代表に訊いた。
株式会社DeltaX
代表取締役社長
黒岩 剛史氏

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インターネットの利便性を追求し、自分が満足できるサービスを開発
DeltaX(デルタエックス)は、全国10万以上の学習塾の中から最適な塾を探せる日本最大級の塾検索サイト「塾選」を運営しています。お子様がいるユーザーと塾の架け橋となり、学習塾への問い合わせに対して塾側にチャージするビジネスモデルです。
このサービスの前身となる「ベスト塾ガイド」がスタートしたのは2020年4月。きっかけは、自分の子どもが塾に通う年齢になり、当時あった塾検索サイトを利用したものの満足のいく体験ができなかったことでした。親としては子供に合った塾を選びたいですから、例えば塾からどのように勉強をしてその進路にたどり着いたのかは重要です。しかし、塾検索サイトにそうした情報は掲載されていません。私は新卒で入社したリクルートをはじめ、キャリアのほとんどをインターネットメディア領域で歩んできて、その利便性を熟知しています。自分が満足できるサービスがないなら、自分で作ろうと思ったわけです。
当時、私はシンガポールでインターネットメディア会社のRaizzin Pte Ltdを経営していました。ちょうどコロナ禍で行動が制限され、改めて自分の人生を考え直す中で、新たなビジネスを始めたいという思いになっていたことも背景にありました。そこで私が社外取締役を務めていたゴンドラという会社に話をもちかけ、同社が運営主体となり、Raizzinが開発を担当するという協業体制で「ベスト塾ガイド」をスタート。その後、この2社の共同出資で2022年6月にDeltaXを設立しました。ゴンドラからベスト塾ガイド事業を譲り受ける形で、2023年3月に「塾選」としてリニューアルスタートした、というのがこれまでの経緯です。
急成長する初期段階の会社には、柔軟性のあるフレキシブルオフィスが便利
設立当初、DeltaXは銀座にあったゴンドラのオフィスを間借りしてスタートしました。ゴンドラ出身の営業担当3名、Raizzin出身のメディア担当(開発担当)2名、さらに私を含めた6人体制でした。全国の学習塾にメディア掲載の営業をかける必要がありましたが、コロナ禍でオンライン営業が一般的になり、少ない人数で効率良く営業することができました。オンラインMTGの浸透は、私たちには追い風だったと思います。
2023年にWeWork 神谷町トラストタワーに拠点を移し、4名分のデスクを借りました。さらに今年4月にWeWork日比谷パークフロントに移り、8名の個室を2部屋借りています。現在、メンバーは業務委託も含めて50名ですが、ほとんどのメンバーがフルリモートなので席には余裕があります。全国に住むメンバーが東京に来た時や、家庭の事情で家で仕事がしにくい時など、各自の働き方に合わせて出社して働けるようにしています。
我々のような初期段階の会社には、フレキシブルオフィスの柔軟性がマッチしていると考えています。毎月のように人が増え、しかもフルリモートで出社するタイミングが決まっているわけではないので、必要なスペースや席数を定めるのは簡単ではありません。その点、フレキシブルオフィスなら必要に応じて共有スペースを使うことも、会議室を借りることもできます。
また、いつでも部屋を増やせるのもフレキシブルオフィスの利点。神谷町から日比谷に移った際に実感しました。人員増と、共有スペースではクライアントの社名を出すような打ち合わせが難しいというセキュリティの側面から、もう少し広い部屋を借りる必要が出てきました。3月の1週目にWeWorkに問い合わせたところ「神谷町では場所がない」との返事でしたが、他の拠点で空き部屋を探してもらい4月1日からの業務開始に間に合わせてもらいました。通常のオフィスでは原状回復や契約期間といった問題が発生しますが、フレキシブルオフィスなら会社の成長スピードに合わせて拡張できるのがありがたかったです。
エンジニア採用にテレワークは必須、新卒採用する場合との大きな違い
実は、最初の会社を立ち上げた2006年頃に、オフィスを借りようとして苦労した経験があります。渋谷を皮切りに人が増えるたびにフレキシブルオフィスを転々とした後、新卒採用で大幅増員を図ることになりました。会社設立からわずか1年半で新橋でオフィスを探そうとするも、決算書が1期分しかない会社にオフィスを貸してくれるところはありません。信用がないからです。それで、借り入れでお世話になった銀行に「オフィスが借りられないんです」と相談し、銀行の口添えでようやく借りることができました。自分たちがお願いしても一切ダメなのに、銀行が言えば貸してくれるのか――と複雑な思いでした。
当時も今も初期段階であることは共通していますが、一方で大きな違いもあって、それは今は新卒採用を行っていないことです。DeltaXは出資を受けているため、経験豊富なエンジニアを採用することができています。最近のエンジニアの採用にフルリモートは必須条件であり、全員分の席を確保する必要がありません。逆に、新卒採用を強化する段階になったら、育成の観点からみんなが集まれるオフィスが必要になってくるだろうと考えています。
事業としては、今後も掲載教室数を増やし、学習塾への問い合わせを増やしていければと思っています。ただし、問い合わせだけ増えても入塾につながらなければ、学習塾にとっては負担が増えるだけです。入塾につなげられるかは学習塾によって大きな差があるので、DeltaXとして入塾率を上げるためのサポートをすることも検討しています。Webサイトからの問い合わせに対して学習塾側からは電話で折り返しをしているなど、いまだアナログで効率が悪く、ユーザーに不便を感じさせている場面も多くあります。我々としては、学習塾が本来の教える仕事に集中してもらえるようデジタルの側面から業務改善のサポートをし、ユーザーにも便利なサービスを提供していきたいと考えています。
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