クリエイターが集まる札幌を舞台に
地元の発展に寄与するビジネス展開を目指す。
1995年、パソコン黎明期にインターネットを通じた「音」主体のビジネスをスタートさせたクリプトン・フューチャー・メディア株式会社。東京ではなく札幌をビジネスのステージとし、「初音ミク」を世界中でブレークさせた同社のチャレンジは30年の間にどう成長したのか、その道程を代表取締役の伊藤博之氏に伺った。
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社
代表取締役
伊藤 博之氏

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「音の商社」として創業30年、初音ミクで大ブレークを果たす
クリプトン・フューチャー・メディアは、1995年に札幌で「音の商社」として創業しました。当初のビジネスは、パソコンを利用して楽曲制作を行うDTMのソフトウェアやサウンドライブラリーの輸入販売でした。
音の素材は音楽制作だけでなく、効果音としてゲームやデジタルコンテンツを作る際にも利用できるので、そのクリエイターの方々にネット配信で提供することを思いついたのが、創業のきっかけです。私自身、電子楽器を揃えて自宅で音楽を作るなど、クリエイティブに興味があり、さらには大学勤務を通じて一般の方よりも早くからインターネットの可能性に気付いていたことも幸いでした。
2000年頃、携帯電話の普及に伴う着メロや着うたの配信が転機となり、その後、パソコンの一般ユーザーにもクリエイティブ志向が浸透したことがビジネスの追い風となりました。今日では音源のほか、キャラクターやCG制作にもビジネスを拡大。DTMに必要なソフトウェアでは世界最大規模の品揃えを誇っています。
こうした過程で、当社の名を世に広めてくれたのが「初音ミク」の存在でしょう。初音ミクは、歌詞とメロディーを入力すると歌わせることができる歌声合成ソフトウェアです。大勢のクリエイターが初音ミクで作った音楽をインターネット上に投稿したことで、世界中でイラストや動画等の創作の連鎖が起こり、ムーブメントを巻き起こしました。
北海道のポテンシャルを信じて、札幌にこだわったオフィス移転
インターネットビジネスなので、創業時のオフィスは来客などを意識せず、利便性はほとんど無視して選びました。メンバーはデザイナーやプログラマーといったクリエイティブ系が多く、約20坪のスペースを5人くらいで使用。ただここは、夜中に残業していると不思議な現象が起こる物件で、正直早く引っ越したかったです(笑)。そこで3年ほど経った1998年に、今度は利便性を考えて、地下鉄で通えるオフィスに移りました。約70坪に、20人くらいのメンバーがいましたね。その後2007年に初音ミクが発売されて以降、急に人が増えだしたので、10年目の2008年に約140坪くらいのオフィスに移転しました。人数は50人くらい。その後さらに手狭になったので、4年後の2012年、70人規模にまで増えた際に、現在のオフィスへ引っ越して現在に至っています。
何度も移転しながらも、札幌にはずっととどまっています。インターネットで情報発信ができるし、ECでも製品の販売が可能なので、地域のハンディキャップは何とかなると考えていました。それに札幌には情報系の大学が比較的多くあり、関連するウェブの優秀なエンジニアやプログラマーが多数、住んでいることもメリットです。
より働きやすい環境を目指して、2023年にオフィスをリニューアル
2012年に移転した後、2023年にリニューアルして現在の形になりました。業務スペースを、集中作業が中心の「もくもくゾーン」と、口頭での相談がしやすい「がやがやゾーン」に分けて作業の効率化を図っているのが特徴です。席はパーテーションで区切っていますが、同じ作業の担当者同士を背中合わせにすることで、振り向けばすぐに相談できるレイアウトにしています。基本的には固定席で、飾りつけは自由なので社員各々の個性が反映されています。
社内にはカフェスペースと和室もあり、休憩時や軽い打ち合わせに使えるほか、テレワーカーが出社した際の席にもなります。軽食やアイスを手頃な価格で購入できる社内販売コーナーもあり、社員に好評です。その他、人間の動きをデジタル的に収録するモーションキャプチャールームや、ソフトウエアの検証室などがあることは、当社ならではと言えるでしょう。将来的には、社内外の人たちが一緒に雑談したり、コラボレーションできたりする場を創りたいと思っています。
地元と一体の成長を夢見て、地域プロジェクトを積極的に展開
私は、クリエイティビティは地域の資源だと思っています。音楽やイラスト制作だけではなく、素敵なまちづくりや地場産業の振興もすべてクリエイティブな行為です。その具現化のため、当社が培ってきた「コンテンツ」と「技術」の力を応用して、札幌を舞台に創造的な発想や技術力で次の社会・未来を創ろうとする人たちの交流の場「No Maps」という地域プロジェクトを展開しており、私はその実行委員長を務めています。
その他にも、北海道を応援するキャラクター「雪ミク(初音ミク)」を主役とするフェスティバル「SNOW MIKU」を毎年開催しています。これは2010年の「さっぽろ雪まつり」で、初音ミクを雪像化したことがきっかけです。こうした活動を通じて、地元の発展とともに事業を成長させることが、創業以来の願いであり、目標でもあるのです。
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