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資産除去債務に関する会計基準の適用開始

平成22年4月1日以後に開始する事業年度から上場企業など一定の会社については資産除去債務に関する会計基準が強制適用されます。資産除去債務に関する会計基準については、以前概要をご説明しましたが(※金融商品の時価開示及び将来の資産除去費用の負債計上義務化[掲載月:2009年11月12日])、今回はもう少し具体的な内容についてご説明します。

なお、資産除去債務に関する会計基準が強制適用される一定の会社とは以下の会社をいいます。

  • 金融商品取引法の適用を受ける会社(上場企業、社債・CPなどの有価証券発行会社、株主数が500以上の会社)並びに子会社及び関連会社

  • 会計監査人を設置する会社(会社法上の大会社と任意に会計監査人を設置する会社)及びその子会社
    )会社法上の大会社とは、資本金5億円以上もしくは負債総額200億円以上の株式会社をいいます。

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1.資産除去債務に関する会計基準の概要

資産除去債務とは「有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって生じ、当該有形固定の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるものという」と定義されております。資産除去債務に関する会計基準では、その義務が発生したとき(有形固定資産を取得等したとき)に将来の有形固定資産の除去に要する費用を見積もり、その現在価値を債務として計上し、同額を有形固定資産の帳簿価額に加えることを求めております。将来の有形 固定資産の除去に要する費用は現時点で支出するものではないため、将来の支出を現在の価値に直す(割引計算)必要があります。

資産除去債務計上後の処理について、有形固定資産に加えられた金額については減価償却を通じて耐用年数期間にわたり費用配分します。そして、時の経過による資産除去債務の調整額(利息費用)を、その発生時の費用として処理します。利息費用は、期首の資産除去債務の帳簿価額に当初負債計上時の割引率を乗じて算定します。

なお、現在価値を算定する際に使用する割引率は、貨幣の時間価値を反映した無リスクの税引前の利率、例えば利付国債の流通利回り等を利用します。

【具体例】
×1年4月1日に有形固定資産(取得価額10,000・耐用年数4年)を取得し使用を開始しました。この有形固定資産は使用後に除去する法律上の義務があり、その将来の除去費用は500と見積られています。なお、実際の除去費用は515でした。
割引率は3%、減価償却方法は定額法、決算日は3月31日とします。

各年の仕訳
各年の費用計上額及び資産・負債残高

(1)法令で要求される資産除去債務

法令で要求される資産除去債務のうち重要なものとして以下のようなものがあります。

  • アスベストの除去費用

    (イ)アスベスト
    アスベストとは、天然に産する鉱物繊維のことで、クリソタイル(白石綿)、クロシドライト(青石綿)やアモサイト(茶石綿)などがあります。耐熱性、耐薬品性、絶縁性等に優れているため、建材、電気製品、自動車、家庭用品などに使用されていましたが、飛散したアスベスト繊維を吸入することによる肺がんや中皮腫、アスベスト肺(肺の慢性線維症)といった健康被害が懸念されるようになり、現在では、アスベストの使用や処分に関してさまざまな規制が設けられています。

    (ロ)資産除去債務に該当するかどうかの判定
    建築物の解体時におけるアスベスト除去作業は石綿障害予防規則や廃棄物処理法等で要求されるものです。これらの義務は建築物の取得又は建築によって生じるためアスベストの除去費用等は資産除去債務に該当すると考えられます。

  • PCB廃棄物の処理費用

    (イ)PCB
    PCB(ポリ塩化ビフェニル)は、化学的に安定していて絶縁性がある、熱分解しにくいなどの特性から、電気機器の絶縁油、熱媒体、シーリング材などに幅広く使用されてきました。しかし、昭和43年にPCBの毒性が明らかになり昭和49年までに使用・製造が禁止されました。ところが、密閉機器での継続的な使用は禁止されていなかったため当時から使用を続けているトランス、コンデンサ、蛍光灯安定器等については現在もPCBが使用されている可能性があります。これらのPCB使用電気機器についてはPCB特別措置法により平成28年7月までの処理が義務付けられています。

    また、平成14年にPCBを使用していないはずのトランスやコンデンサ等についても微量のPCBで汚染されていることが判明しました。汚染の原因は絶縁油を再生する過程で誤って混入したため等です。これらの電気機器については絶縁油中に0.5mg/kg超のPCBが検出された場合PCB廃棄物としての処理が必要になり、絶縁油中に0.5mg/kg以下のPCBしか検出されなかった場合には、PCB廃棄物には該当せず通常の産業廃棄物として処理することができます。

    (ロ)資産除去債務に該当するかどうかの判定
    PCB使用電気機器等から生じるPCB廃棄物の処理義務はPCB特別措置法等で要求されるものです。これらの義務はPCB使用電気機器等の取得によって生じるためPCB廃棄物の処理費用等は資産除去債務に該当すると考えられます。

  • ダイオキシン類含有付着物の除去費用

    (イ)ダイオキシン類
    ダイオキシン類とは、塩素を含む有機化合物のうち、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)及びポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)の総称で、人に対して、がんや奇形を引き起こす可能性があるといわれています。ダイオキシン類は廃棄物焼却炉を稼動させることで焼却炉内部に徐々に付着してしまうため、労働安全衛生法やダイオキシン類対策特別措置法で廃棄物焼却施設の解体についてさまざまな規制が設けられています。

    (ロ)資産除去債務に該当するかどうかの判定
    廃棄物焼却炉の解体時におけるダイオキシン類含有付着物の除去作業等は労働安全衛生法等で要求されるものです。これらの義務は廃棄物焼却炉の取得又は建築によって生じるためダイオキシン類含有付着物の除去費用等は資産除却債務に該当すると考えられます。

  • 土壌汚染

    (イ)土壌汚染
    土壌汚染とは、鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質が土壌に含まれることにより人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものをいいます。

    (ロ)資産除去債務に該当するかどうかの判定
    土壌汚染対策法等により、有形固定資産の除去時に有害物質の除去が義務付けられている場合、有害物質の除去に係る費用は資産除去債務に該当するものと考えられます。

(2)契約で要求される資産除去債務

契約で要求される資産除去債務として以下のようなものがあります。

  • 定期借地権
    定期借地権には一般定期借地権・事業用定期借地権・建物譲渡特約付借地権の3種類がありますが、一般定期借地権及び事業用定期借地権については借地契約終了時に建物を解体・撤去し更地にして引き渡すことが契約で定められています。
    借地期間終了時に建物等を解体・撤去する義務は建物等の取得又は建築によって生じるため、解体・撤去に要する費用は資産除去債務に該当するものと考えられます。

  • 建物賃貸借契約書に原状回復義務が規定されている場合
    (イ)資産除去債務に該当するかどうかの判定
    建物賃貸借契約書に借主の原状回復義務が規定されている場合、その義務は契約で要求される法律上の義務になるので、原状回復に要する費用は資産除去債務に該当すると考えられます。建物賃貸借契約に基づく原状回復義務としては借主が行った内部造作の撤去義務が代表的です。

    (ロ)簡便的な処理方法
    建物の賃貸借契約において、賃貸借契約に関連する敷金が資産計上されているときは資産除去債務の負債計上及びこれに対応する除去費用の資産計上に代えて、敷金の回収が最終的に見込めないと認められる金額を合理的に見積もりそのうち当期の負担に属する金額を費用に計上する方法が認められています。
    この処理方法は実務上の負担を考慮して設けられた簡便的な処理方法であるため、時間価値は考慮しないで計算するものと考えられます。

    (ハ)合理的に見積ることが困難な場合
    建物の賃貸借契約の場合、自動更新条項が付されていたり、付されていなくても当事者間においては更新する意図があるなど原状回復義務の履行時期を見積ることが困難となるケースが多くなります。
    いろいろな状況を総合的に勘案しても資産除去債務の金額を合理的に見積ることが困難な場合には、資産除去債務を計上せず、合理的に見積ることができない理由等を財務諸表に注記します。
    なお、上記(ロ)の簡便的な処理方法のケースにおいても、償却期間を算定することが困難であるなど合理的に見積ることが困難な場合には注記を行う必要があります。

財務諸表に関する注記の例

当社は、本社オフィスの不動産賃貸借契約に基づき、オフィスの退去時における原状回復に係る債務を有しているが、当該債務に関連する賃借資産の使用期間が明確でなく、将来本社を移転する予定もないことから、資産除去債務を合理的に見積ることができない。そのため、当該債務に見合う資産除去債務を計上していない。

2.適用初年度の実務的な処理方法

資産除去債務に関する会計基準の適用初年度については、基本的に以下のような手順で作業が進められると考えられます。

(1)資産除去債務の認識

全ての有形固定資産や全ての賃貸借契約書を確認して資産除去債務の有無を確認する。

(2)資産除去債務の測定

資産除去債務に該当するもののうち、金額が重要で、かつ、金額を合理的に見積ることが出来ると判断したものについては資産除去債務の金額の見積り作業を行う。

(3)会計処理

適用初年度における期首残高の算定は次のように行い、両者の差額は適用初年度におい原則として特別損失に計上する。

(イ)適用初年度の期首における既存資産に関連する資産除去債務は、適用初年度の期首時点における将来の資産除去費用の見積り及び割引率により計算を行う。

(ロ)適用初年度の期首における既存資産の帳簿価額に含まれる除去費用は、資産除去債務の発生時点における将来の資産除去費用の見積り及び割引率が、適用初年度の期首時点と同一であったものとみなして計算した金額から、その後の減価償却額に相当する金額を控除した金額とする。

【具体例】
有形固定資産の取得・使用年月日を平成20年4月1日とし、年月日以外は上記1の具体例と同じとします。

(4)開示

  • 貸借対照表上、資産除去債務のうち一年以内に履行が見込まれるものは流動負債に、その他のものは固定負債に計上します。

  • 損益計算書上、資産除去債務に関連する費用は原則として減価償却費と同じ区分に計上します。

  • キャッシュ・フロー計算書上、資産除去債務を実際に履行した場合、その支出額については「投資活動によるキャッシュ・フロー」の項目として取り扱います。

  • 資産除去債務について、次の事項を注記する必要があります。
    (イ)資産除去債務の内容についての簡潔な説明
    (ロ)支出発生までの見込期間、適用した割引率等の前提条件
    (ハ)資産除去債務の総額の期中における増減内容
    (ニ)資産除去債務の見積りを変更したときは、その変更の概要及び影響額
    (ホ)資産除去債務は発生しているが、その債務を合理的に見積ることができないため、貸借対照表に資産除去債務を計上していない場合には、当該資産除去債務の概要、合理的に見積ることができない旨及びその理由

3.適用2年目以降の処理

適用初年度に資産除去債務の処理方法を判断すれば、2年目以降は同じ処理を継続して行えばよいというわけではありません。2年目以降についても以下のような事象が生じた場合には資産除去債務の修正をする必要があります。

  • 将来の有形固定資産の除去費用に重要な見積りの変更が生じた場合

  • 資産除去債務の合理的な見積りが出来るようになった場合

  • 資産除去債務が新たに生じた場合

著者プロフィール

木村 篤志(きむら あつし)氏
木村会計事務所 代表

1973年生まれ。1999年税理士登録。大手会計事務所を経て2005年に独立開業

※免責事項
本稿の内容について、契約の内容や事実関係によって結論が異なってくる場合がありますので、実際の事案では、必ず専門家に相談することが必要です。
なお、本稿に記載されている事項については平成22年4月に施行されている税制および同時点で一般的に妥当と認識されている事由に基づき執筆しており、今後税制その他の事由に変更があった場合には記述内容が変わることがあります。
執筆者および当社は本稿の説明についていかなる責任も負うものではありません。

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