賃貸物流倉庫・大型貸し倉庫の記事

大阪湾岸部の賃貸物流事情

都市別特集

2006年6月8日

WinーWinの現場が語る、大阪物流マーケットと施設開発

シービー・リチャードエリス株式会社
大阪本社 物流営業部 ゼネラルマネージャー
北村 健次

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未曾有の竣工ブーム海と空へのアクセスのよさが魅力

大阪湾の沿岸部では、今後数年間、大型物流施設の建設ラッシュが続きます。大阪港を中心に、具体的な開発案件が10ヵ所近く。さらに、物流投資家による1万坪クラスの不動産購入計画も見受けられ、これらの土地にも、物流施設が建ち上がってくるでしょう。AMBによる尼崎の3万坪はすでに昨年稼働し始めましたし、今年も住之江でラサールによる4万坪が11月、プロロジスパーク尼崎の4万坪が年末竣工と、大型開発が目白押し。大阪湾全体における賃貸倉庫の新規供給をトータルすると、この数年で27万坪にも及ぶ規模になると推測しています。この建設ラッシュは、2004年のプロロジスパーク大阪の竣工を皮切りに始まったのですが、これまで大阪では、短期間にこれだけの大量供給となったことはなく、まさに未曾有の事態といっていいものです。

大阪湾岸部というエリアのメリットは、なんといっても大阪湾を臨む大阪を中心とした大消費地に近いこと。また、もちろん荷を海からダイレクトに受け入れられるのも大きな特徴です。航空貨物についても近隣にエア関係の通関事務所がありますし、関空から30分、神戸空港から30分という極めて恵まれた立地特性を有しています。ただし陸路については、それらに比べると若干弱い。阪神高速によるアクセスは容易であるものの、名神や中国道を利用するトラック幹線輸送に若干の不便を感じるエリアといえます。北摂エリアの茨木市に近畿自動車道、名神高速道、中国道の結節点があり、関西全体や西日本の物流拠点として陸路を多用する場合、そちらのエリアのほうが優位だといえます。いずれにせよ、これまで北摂、東大阪エリアが担っていた関西物流集積地の役割を、大阪湾岸部が取って代わるのか否か、注目すべきところです。

充実の最新設備既存施設にもニーズはあり

この状況を後押しする背景には、物流形態の変化、時代の要請があります。物流の視点から見ると、もともと大阪湾岸部は、営業倉庫企業が自社で倉庫を構え、顧客の荷を預かるといった事業が主流のエリアでした。決して特定業者の専用物流センターがあったエリアではないのです。では、今なぜ、大阪湾岸部がもてはやされているのでしょう。

最も大きな物流ニーズの変化は、必要とされる面積。大阪湾岸部に新たに供給される物流施設は、基本的にワンフロアが広いのが特徴です。北摂エリアや東大阪エリアにある既存施設のほとんどが大きくても1,000坪程度。他は中小企業の物流施設の集積により300坪前後の小型施設が乱立。現在に至っては大型倉庫を開発する土地そのものがないのが実状です。ですから、これらのエリアでは、延床面積でさえ1万坪クラスの大型施設を見ることはまずありません。そんな中、エリアのポテンシャル的に、大型化する現在の物流ニーズに応えきれないわけです。また、仮に既存施設で3,000坪を確保できたとしても、その多くは多層階になってしまいます。この場合、エレベータ等により倉庫としての有効面積が少なくなる、縦の搬送が増える、管理工数が増える、作業に必要な人員が増えるなど、不都合なことが多い。物流では縦への動きは極力減らした方がいいですから、ワンフロアの面積が増えれば、保管効率、作業効率が上がっていきます。大阪ではこれまで、こうしたニーズに応える器がなく、小規模な倉庫への分散や多層階倉庫の利用で対応してきました。今後、大型物流施設が提供されていくことで、移転・集約が進むのは必然といえるのではないでしょうか。

また、施設の大きさや広さが生み出すメリットは、フロアの大きさだけではありません。例えばトラックの接車。ランプウェイ形式をとり、各階にトラックが乗入れ可能な施設においては、接車バースにかなり余裕があり、トラックの入出庫が頻繁な企業には大きなメリットです。特にビルド・トゥ・スーツ型の施設で1社で使用するとなれば、全体敷地を含めこの空間を非常に有効に使うことができるでしょう。

これら投資家が供給する施設のほとんどが定期借家契約の形態をとっている訳ですが、この契約形態についても、少しずつ認知され始め、ビルド・トゥ・スーツ型の施設は別としても、5年から10年程度の契約を締結しているケースが散見されるようになってきました。これは、新しく供給された施設が長期間の使用に耐えうる施設であるとの判断によるところが大いに影響していると判断されます。

ただし、みんながみんな新築の大型物流施設を必要としているかといえば、決してそんなことはありません。グレードや機能面でこれら最新の施設を選択するケースはありますが、昔ながらの立地は捨てられない、既存施設で十分に対応可能であるというニーズももちろん存在しますし、個別の事情により従来型の施設が選択されるケースもあります。既存倉庫の全てが淘汰されるということにはならないでしょう。

大阪物流の激変西日本の拠点として期待

投資家の進出により大型物流施設の大量供給が実現することで、大阪における従来までの物流地図が大きく変化する可能性は十分にあるでしょう。

好調な輸入貨物量の増加や、物流効率化を目的とした拠点統合ニーズの顕在化、またメーカーや卸業の物流アウトソーシング化が進みつつある状況を鑑みれば、それに対応する施設に対する需要はおのずと高まってくることが想定されます。ただ、27万坪という供給は前代未聞で、見通しがつきにくいのも確かです。今後大阪においては、北摂や東大阪等大阪内陸部からの移転も考えられるのですが、大阪だけでなく、西日本の拠点として考えた場合、中四国や東海地区をも視野に入れた統合も起こる可能性があります。逆に、そこまでのムーブメントが起こらなければ、今後新たに供給される施設が埋まることは考えにくいのかも知れません。

現在のところ、新築大型物流施設のテナント誘致状況は好調に推移しています。いよいよ本番を迎える新規供給の埋まり具合によって、今後5年間ぐらいの方向性が見えるのではないでしょうか。今、ただ一ついえることは、計画中の全施設が完成する頃には、大阪物流マーケットに激変が起きているということでしょう。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2006年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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