集約による効率化で競争力アップ
AMBセンコー株式会社
常務理事 西日本営業本部副本部長
川崎 正人 氏
複合一貫物流システムの拠点づくり
この度、私どもが大阪府泉大津市に完成させた泉北第2PD(フィジカル・ディストリビューション=物的流通)センターは、大阪地区でのさらなる物流事業の拡充に向け、開発したものです。4月に竣工を迎え、順次、お客様の物流業務運営を開始しています。現在は、稼働し始めたばかりで施設全体がフル稼働というわけではありませんが、今後の営業活動を通じ、稼働を高めていくことになります。 当センターの機能面ですが、輸出入貨物、流通関連貨物の取り扱いを主体とするため、両サイドに高床ホームを設置し入出荷のスピードと小口荷捌機能を重視した設計となっています。また、大きな特徴として事業所内に託児施設を設け、パートさん達が安心して働ける職場環境の整備も行いました。最寄り駅からのバスも当社が運行しており、要員の確保に留意しています。
今回の開発に当たって、まず考慮したのがコストメリットです。候補地選定の際から、様々な地域を検討したのですが、スケールメリットを出すため、既存の泉北PDセンターの隣接地に建設を決定しました。物流施設は集約すればするほど、要員・配送効率などの面でコストメリットが生まれます。昨今のお客様からの厳しいコスト要求にお応えするためには、既存施設の集約及び大規模なセンターの新設が重要になります。当センターは、近畿圏で当社が所有する最大規模の物流拠点となります。
企業が事業コストの削減を実施する場合、まず着目するのが物流コストだといわれています。確かに物流で圧縮できるコストは多々あるのですが、部分部分を個別に対応していくことには限界があります。コストダウンは、幅広い物流の範囲でトータルシステムの中で創出していく必要があります。
当社はお客様からのコストダウンニーズに対し、現在のサービスレベルを考慮する中で、コンサルティングを行い、IT化を含めた最適システムをご提案します。その際、複合一貫物流システム構築のベースとなる大規模高機能物流拠点を有していることは、大きな武器となります。お客様のサプライチェーン全般の効率化に、貢献していけると自負しています。
様変わりする物流と拠点のありかた集約してヒト、車を効率的に配置
物流経路や拠点の持ち方も、昨今は変わってきています。
一つには"川下物流"が増えたこと。メーカー直送が増えているため、チェーンストアなどの川下物流が増加しています。物流は川下へ行くほど、作業単位が細く複雑になり人手を要します。従って、川下物流を指向する物流拠点の立地に際しては、労働力確保をしやすいことが大きなポイントになってきます。しかも、川下物流は波動性が大きく、業務の平準化が難しい面があります。例えば、1日の中で出荷が多い時間帯が午後2時から6時として、パートさんは朝出勤して4時には帰宅したいという希望があります。そのギャップをいかに埋めるか。また季節変動もありますから、これらを含めて人員をフレキシブルに運用するためにも、大型拠点が望ましいのです。トラックにしても、空車をいかに効率的に使うかとなれば、より複数のクライアントを持ち、フレキシブルに運用できる方がいいわけです。
一方、地理的な要素では、中四国から大阪地区への拠点集約が進んでいます。大阪を中心に和歌山、京都、大阪、姫路、神戸は域内配送ネットで、北陸も大阪からカバーできますから、大阪に主要拠点機能を持てば、各地域に拠点を持つ必要がありません。
ヒトとモノの集約による効率化、そして企業ニーズである在庫レス。この二つを満たすためには大阪の拠点が重要ですし、より大型の拠点である必要があります。グローバルな展開もにらみ、複合一貫物流システムの拠点として、大阪につくり上げた当センターのポテンシャルには、大きな期待を寄せています。
当社は2006年度中に、海外も含めて8拠点のセンター立ち上げを計画していますが、この泉北第2PDセンターが皮切りであったことでも、その重要さが、お分かりいただけるのではないでしょうか。