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杉孝グループホールディングス(SUGIKO)

ケーススタディ

2018年3月26日

業務拡大によるスペース拡張に伴い、
居心地よく働けるワークプレイス構築を目指した
本社と営業拠点の統合移転プロジェクト。

杉孝グループホールディングス

SUGIKOは昨年10月、本社と複数の営業拠点を集約する統合移転を実施した。それに伴い、従来型オフィスの典型である親席(部長席)を廃止し、ユニバーサルデザインを導入することで、全く新しいワークプレイスの構築に成功した。価値観を180°転換させるオフィス大改革はどのようにして成し遂げられたのか。移転まで半年という超過密スケジュールで進められたスピード移転の裏側を取材した。

業務拡大による人員増強の結果 深刻なスペース不足に

杉孝グループホールディングス

SUGIKOは、建設現場で使われる足場などの仮設機材のレンタル・設計・コンサルティングを行う会社である。横浜に本社を構えるほか、首都圏を中心に、16の営業拠点と20の機材センターを配置している。近年は、業務拡大および残業時間削減など働き方の見直しに伴い、積極的に人員増強を図ってきた結果、スペース拡張のための移転が全国の拠点で発生している。そうした中、昨年10月には、本社と併設の横浜営業所、さらに川崎の自社ビルに入居していた川崎営業所を含む6事業所を、1ヶ所に統合移転した。

移転を検討するに至った各拠点の事情を見ていくと、まず本社だが、本社は管理部門と本部(営業本部や機材管理本部など)で構成されており、横浜営業所と一緒に横浜駅東口のオフィスビルに入居していた。事業拡大・管理機能強化を背景に人員増強を推し進めてきており、事務所は相当手狭になってきていた。総務部長亀井一成氏によると、「これまでの人員増に打ち合わせスペースを潰して席を増やしてきたため、応接室までもが会議や打ち合わせに使われてしまい、急な来客時、外の会議室を借りて対応しなければならないこともあった」というほど、深刻なスペース不足に陥っていた。

一方、川崎の自社ビルを拠点とする6事業所は、スペース不足がより切実で逼迫した問題だった。ここは同社創業の地であり、営業の中核拠点でもあったが、駅から徒歩20分と遠く、また土地と建物の形状が三角形で使いづらいことが難点でもあった。そこで、横浜営業所と統合した拡張移転を検討し始めたのである。横浜営業所を本社から切り離すことで、本社部分のスペース拡張を図ることもできる。これが2017年1月のことである。

タイミングよく隣のビルに空き 本社と営業拠点の統合移転を決行

杉孝グループホールディングス

事態が急展開したのは同年3月。営業拠点集約のための移転先候補が見つかり、契約寸前という段階で、本社の隣に立つ横浜ダイヤビルディングにタイミングよく上下階のフロア続きで空きが出るという情報を入手。「コミュニケーション効率を考えると、本社と営業拠点が一緒のほうがいいのはもちろんです」(亀井氏)との判断から、一転して、本社と営業所機能を統合移転することが決まったのである。

こうして、図らずも本社移転を含む大規模移転プロジェクトがスタート。移転先が急遽決まったため、半年後の引っ越しに向けて急ピッチで進めることになった。移転対象者は、本社と横浜、川崎の各営業拠点を合わせて約160名。短期間でのプロジェクト遂行を目指し、プロジェクトメンバーは総務4名を含む7名の少数精鋭で構成し、プロジェクトリーダーには次世代を担う若手役員・取締役上席執行役員杉山亮氏が就いた。約10年前に行った前回の本社移転は、社員が自分たちの手で行ったが、「かなり大変だったと聞いています。今回の移転はそれよりも大規模でしかも短期間。自社内のリソースでは対応できない」(杉山取締役)と判断し、プロジェクトマネジメント会社へ依頼することになった。複数のマネジメント会社を検討した結果、CBREをパートナーに選定した。

CBREのオフィス見学を4回実施! “百聞は一見にしかず”で合意形成

まず取り組んだのが、新本社オフィスのコンセプトづくりである。移転の直接の発端はスペース不足の解消だが、それだけにとどまらず、社員の要望を取り入れながら、時代に即したワークプレイスの構築を目指すことにした。「どんなオフィスで働きたいか」「どんな働き方がしたいか」をメンバーで議論するにあたり、CBREが提供する最新のオフィス事情やオフィス事例に関する情報を参考にした。中でも、東京・丸の内にあるCBREの本社オフィス見学は、「先進的な働き方をイメージする上で役に立った」と杉山取締役は話す。

同社はこのオフィス見学を、プロジェクトメンバーのみならず、移転対象部門の管理職向けも含めて、合計4回も実施したのである。その理由を移転プロジェクトメンバーである首都圏営業部部長中西恵介氏はこう話す。「新しいオフィスを言葉で説明しても、自分たちが知らないことは想像できません。逆に『どんなオフィスにされてしまうんだろう』と漠然とした不安を与えてしまいます。価値観の転換を図るには“百聞は一見にしかず”。できるだけ多くの管理職に実際に見てもらうように努めました」。例えば、これまであった「壁一面に並ぶキャビネットをなくす」ことに対して、「働きにくくなるのでは」と不安に感じる社員もいたようだが、キャビネットを隠しても便利に機能するCBREのオフィスを見学して納得した様子だったという。

短期決戦を重視し、プロジェクトメンバーが中心となって推進する一方で、「プロジェクトメンバーだけで移転を進めようとしている」との印象を与えないよう、社内コンセンサスの統一にも苦心した。移転対象部門の社員全員に“移転ですよ”というタイトルのメールマガジンを定期的に計36回配信し、移転の進捗を報告。CBREのオフィスを同社の杉山信夫社長が見学した時の様子も写真付きで配信した。また、社員の声を拾う場として、移転対象部門の管理職を集めた説明会を2回実施したほか、ユニークな取り組みとしては、社員が使う椅子の選定に社員投票を採用した。このように社員への情報発信や社員参加型の取り組みによって、「みんなで移転をする」という空気の醸成も忘れなかった。

親席の廃止で居心地の良いオフィスを作る

杉孝グループホールディングス

新本社が目指したのは、オープンで居心地の良いオフィス空間。新本社は2フロアで構成され、14階に本社機能とゲストエリアを配置し、13階に営業拠点を集約した。

従来から最も大きく変わったのは、親席(部長席)を廃止したことである。それまでは、窓を背に配置された親席の前に、部下席が島型に配置されていて、部署によってはかなり長い島を形成していた。親席があることで様々な弊害が生まれていたと杉山取締役は話す。ひとつは、動線が確保しにくく、スペース効率が悪いという問題だ。「例えば、別の島の2人がちょっと打ち合わせをする場合でも、上席の背中の窓側を通らず、島の端をぐるっと回って行き来していました。いくら上席が『後ろを通ってもいいよ』と言っても、通りにくいものです。また、窓際には打ち合わせスペースもありましたが、そこは上席が部下への伝達に使う場所として認識されていて、部下同士で使用されることはなく、デッドスペースと化していました」。

もうひとつの弊害は、上席が部屋全体に目を光らせているかのような緊張感が漂い、社員にストレスを与えていたことだ。「特に社内来訪者(他部署の社員)がオフィスに入る時、オフィスへの出入り口は窓とは反対側に1ヶ所しかないため、上席全員がそちらに目を向けることになります。とても入りづらい雰囲気だったと思います」。

これらの問題を解決するため、新本社オフィスでは親席を廃止し、ユニバーサルデザインの導入を決めた。ただし、これには管理職からの抵抗が予想されたため、親席を廃止して生産性を高めた他社事例を紹介しながら、丁寧な説明に努め、了承を得ていった。島を短くすることで動線を確保するとともに、機密性が必要な場合もレイアウトの工夫で対応することで、オープンなワークスペースを構築。フリーアドレスは時期尚早との判断から導入が見送られたが、将来的には検討していくという。

杉孝グループホールディングス
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杉孝グループホールディングス

大小様々な会議室の設置で打ち合わせスペースの効率が大幅アップ

杉孝グループホールディングス

打ち合わせスペースの確保も大きな課題だった。従来は、来訪者との打ち合わせエリアで社内会議を行っていたため、セキュリティやコンプライアンスの面で問題があった。新本社オフィスでは、14階のゲストエリアの窓際に会議室や応接室を設け、社内と社外の打ち合わせスペースを分離。また、執務エリア内には、大小様々な大きさの会議室のほか、少人数で使えるマルチルームを至る所に設置し、人数に応じた打ち合わせスペースの活用を可能にした。フロア中央にはマルチパーパススペースを設置し、社内来訪者の居場所として使ってもらうほか、ちょっとしたコミュニケーションや昼食にも活用できるようにした。

13階と14階ではフロアのトーンも変えている。営業拠点が集約された13階には若手社員も多いため、若々しく明るいトーンに。また、本社機能と受付のある14階は落ち着いたトーンを採用した。受付は重厚感を意識したトーンの中に、あえて無骨な単管(建築現場でよく見る丸いパイプ)や足場を使用した。対面には子会社である杉孝メトログリーンがデザイン・施工した壁面緑化を設置し、来訪者に事業内容が分かるようオリジナリティを出した。

ゲストエリアの応接室の壁や机にも、自社取扱商材がアクセントとして活用されており、来訪客へのブランディング効果に一役買っている。

新本社オフィスで執務を始めておよそ3ヶ月が経つが、新しいワークプレイスの使い勝手はどうだろうか。中西氏は、「親席を廃止したことで、部下から上司への報告がしやすくなったようで、職場でのコミュニケーションが増えました」と早速、ユニバーサルデザインの現場でのメリットを感じている様子だ。また、以前はリクルートのために外部の貸会議室を利用していたが、今は社内の大会議室を使えるようになり、訪れた学生にきれいなオフィスを見学してもらえるようになった。営業拠点の集約、さらには本社と同じビルに統合されたことで、部署間のコミュニケーション効率も高まっている。「これから、情報の共有や協働の機会が増えることで、生産性の向上や付加価値の創造につながっていけば」と杉山亮取締役は期待を込めて語る。社員一人ひとりが生き生きと仕事ができ、社員同士が交流しやすい、居心地の良いワークプレイスを手に入れたSUGIKO。この器を最大限に活かして、どのような新たな価値を生み出していくのか、今後が楽しみである。

プロジェクト概要

企業名 株式会社 杉孝グループホールディングス
施設 本社オフィス
所在地 神奈川県横浜市神奈川区金港町1-7 横浜ダイヤビルディング14階
人員 約160名
開設時期 2017年10月
CBRE業務 プロジェクトマネジメント

上記の記事の内容は BZ空間誌 2018年春季号 掲載記事 掲載当時のものです。

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