異なる企業文化の2社統合により誕生。社員の愛着を生む“進化するオフィス”で真の経営統合を目指す。
株式会社CARTA HOLDINGS
本社オフィス
デジタルマーケティング事業等を展開する株式会社CARTA HOLDINGSは、2019年にサイバー・コミュニケーションズとVOYAGE GROUPが統合して誕生した会社である。経営統合の最終段階として、2023年12月、これまで2拠点に分散していた本社機能を統合し、虎ノ門ヒルズステーションタワーに移転した。もともと異なるカルチャーを持つ2社だけに、新天地の立地選びや、社内における拠点統合への理解促進には難しさもあった。経営統合の総仕上げに位置づけられた移転プロジェクトの一部始終を取材した。
企業文化の異なる2社が経営統合「拠点統合の予定はなかった」
デジタルマーケティング事業等を手がける株式会社CARTA HOLDINGS(カルタホールディングス、以下CARTA HD)は、2023年12月、虎ノ門ヒルズステーションタワーへ本社オフィスを移転した。CARTA HDは、サイバー・コミュニケーションズ(以下、旧CCI)とVOYAGE GROUP(以下、VOYAGE)が2019年に統合して誕生した会社であり、これまで旧CCIは東銀座、VOYAGEは渋谷にそれぞれオフィスを構えていたが、「経営統合プロセスの最終段階として、分散していた本社オフィスの機能を統合させました」とCARTA HD執行役員の岩崎理氏(ファイナンス本部担当兼コーポレート本部担当兼内部監査室担当)は話す。
実は経営統合した当初は、オフィス統合の予定はなかったという。統合前の2社の成り立ちやカルチャーが大きく異なることが理由の一つだ。ネット系広告代理店の旧CCI(社員数約1,000人)は、電通グループの一員として、かつて電通も本社を置いていた東銀座にオフィスを構えていた。一方、ネット広告配信プラットフォーム事業を展開するVOYAGE(社員数約400人)は、現在CARTA HD代表取締役 社長執行役員を務める宇佐美進典氏が1999年に渋谷で創業したベンチャー企業。当時、渋谷は「ビットバレー」と呼ばれ、インターネット系のベンチャーや起業家が集積していた土地。「宇佐美もそこに引き寄せられて創業した一人です。会社には渋谷のベンチャー企業で働きたいという人が集まってきました」と岩崎氏。渋谷という土地への強い思い入れがうかがえる。
電通グループ企業とベンチャー企業という出自の違いに加えて、両拠点ともオフィスを新しくしたばかり。それも2拠点制が続いていた理由だった。VOYAGEは2019年5月、渋谷で3ヶ所に分散していた拠点を渋谷ソラスタに統合。旧CCIはコロナ禍の2020年に8フロアから3フロアに減床し、アフターコロナを見据えたリノベーションも実施済みだった。「コロナ前、両拠点にまたがる会議では移動が大変でしたが、それでも2拠点のままでいいという雰囲気でした」と岩崎氏は振り返る。
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