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株式会社電通デジタル・ホールディングス

日々、変貌を遂げるネット広告ビジネス。
変化への迅速な対応のためコミュニケーションを高め、
“One Company”化を目指した本社機能集約を実現。

エントランス

日本が世界に誇る広告会社・電通。その電通のデジタル系関連企業5社が、2014年11月、分散していたオフィスを電通ゆかりの地である中央区築地の、「築地松竹ビル」に一斉に統合・移転させた。デジタル・ビジネスにおけるクライアントや媒体といったすべてのステークホルダーが抱える課題を、ワンストップで解決するプラットフォームを目指した企業集合体の、オフィス構築のプロセスを取材した。

日々変化するデジタル・ビジネス。時代の要請に応じで集約する企業群

エントランス

1901年の創業以来、百有余年の時を経て、今や単独では世界No.1の広告会社として、ワールドワイドにビジネスを展開する電通。新聞、雑誌、テレビ、ラジオといった4大メディアはもとより、1996年以降はWebサイト上の広告にも事業を拡大し、時代の要請に応じて次々と各分野の専業企業を立ち上げてきた。現在、これらグループ企業全体が、デジタル・ビジネスで業界をリードしている。

これら企業群のうち5社が、昨年11月、東京築地の「築地松竹ビル」にオフィスを移転させた。今回、移転を実施したのは、電通のデジタル・ビジネスの先駆けとして、Yahoo!、Googleやマイクロソフトをはじめ、Web上に無数に存在する媒体を束ねて広告代理店と繋ぐ、いわゆるレップの機能を果たす「サイバー・コミュニケーションズ(以下CCI)」、広告主に対し地域密着型の提案営業を展開する「電通デジタル・ネットワークス」、検索やディスプレイ、動画を用いた運用型広告を主体とする「DAサーチ&リンク(以下DASL)」、Webサイト構築、ソーシャルメディア運用などオンラインでのコミュニケーション施策を提案する「電通レイザーフィッシュ(以下DRF)、そして、グループ内のデジタル関連企業を統括管理する「電通デジタル・ホールディングス(以下DDH)の5社である。

移転前は、各社とも汐留にある電通本社ビルから徒歩15分圏内に点在。今回のオフィス移転は、それを集約させた総勢800名近い大移動である。

「ネットの世界は日進月歩で技術が進化し、それに伴い次々と新たな広告手法が生まれています。電通では、その商材の多様化に合わせてデジタル系関連会社を設立してきたのですが、近年ではその境目がなくなってきています。ビジネスをより進化させるためには各社の連携を深める必要があり、その一環としてコミュニケーションを活発化させたい。今回の移転はグループ全体の競争優位性を向上させ、世界No.1のデジタル・エージェンシーになることを狙いとしています」。今回のプロジェクトを手がけたDDHの取締役最高財務責任者・阿部満氏は、統合移転の目的をこう説明する。この構想がDDHの社長から阿部氏に語られたのは2012年11月のこと。オフィス集約への第一歩は、この時にスタートした。

電通のDNAが求めた創業地・築地への回帰

打ち合わせスペース

移転に向け具体的な動きをスタートさせた阿部氏は、まずグループの不動産関連会社に依頼し移転候補ビル探しを開始した。選定のポイントは、電通本社ビルがある汐留から徒歩圏内で、その時点では移転する企業が決定していないため最大1,000名位が使用できる規模があり、賃料が各社の現状コストの近似値で収まり、そして安全性を考えて築年数を経たビルでないこと、の4点だった。

当時はアベノミクス以前で、不動産市況もそれほど活発ではない時期であり、ほどなく、いくつもの物件が候補として挙がってきた。その中でもっとも興味を持ったのが、最終的に入居を決めた築地松竹ビルであった。当時は某企業が1棟借りしていたが移転が決定しており、必要ならば全館を借りることができる。賃料コストもほぼ希望通り。そして、なにより注目したのは築地という立地であった。築地は電通が世界トップレベルの広告会社に上った思い出の地であり、今日の繁栄の礎となったエリアとしてグループ社員にとっても思い入れが強い特別な場所だ。立地も条件も、そしてタイミングも、これ以上はないという物件である。内覧するために最初に同物件を訪れたのは2013年3月。そして6月には、同ビルを最終候補物件に決定した。

コミュニケーションスペース

移転先を決めた後に待っているのは予算取り。同グループでは移転に際して電通本社への説明・承認が必要となる。阿部氏は物件探しの間に、もう1人のキーマンであるプランニング・スーパーバイザーの相馬健太郎氏をプロジェクトのパートナーに引き入れ、この2人で予算承認を得るための資料を作成。6月の候補決定後には、より具体的なオフィスのイメージを基にコストを検討し、移転の目的やビジネスプランと合わせたプレゼン資料を3ヶ月かけて作成した。「電通本社の承認にあたっては、予算の金額はもとより、移転計画そのものが承認されない可能性もあったため、納得を得るための詳細な資料が必要でした。時間はかかりましたが9月に承認された時には、正直、ほっとしました。ここが、当プロジェクトの最初の山でしたね」(阿部氏)。

目指せNo.1デジタル・エージェンシー。本格的なプロジェクトがスタート

オフィス

ちょうど同じ頃、移転を希望する企業が決まる。もともと今回の移転は強制ではなく、各社の判断に任せていたのだ。その結果が、前述の5社であり、最終的に当該ビルの3階から8階までの6フロアを借りることに決定した。

実は、阿部・相馬両氏には思惑があった。「どうせ移転するなら、各自がただ、椅子や机を持ってきて終わりではつまらない。人に語れるストーリーがあり、働く社員のことが一番に考えられ、それがきちんと表現されたオフィスをつくろうと思っていました」(相馬氏)。

そこで、まずは各社の管理担当役員とそれぞれ数名の総務担当で、計10名の移転プロジェクトチームを結成。同時に、移転やオフィスの作り込みのノウハウ不足を補うために、外部の専門家をプロジェクト・マネージャー(PM)としてアサインすることを決めており、こちらは数社でコンペを行いCBREに決定。これにより、スケジュール管理やコスト管理、外部との折衝はCBRE、電通本社や関連各社との調整、及びチーム運営は阿部氏、相馬氏を中心としたメンバー、他のメンバーは各社社員の意見の吸い上げや広報、コンセンサスの調整、及び各人のノウハウの提供といった役割分担が確立された。

実際の打ち合わせは、二重構成で進められた。まずは移転の中心メンバーと PMのCBREによって、毎週月曜に2時間かけてプロジェクトコントロールミーティングを開催。そこで個々の検討項目に対する方針を決定し、これを全体ミーティングに落として具体的に細部を決めていくという手法がとられた。「最初から全体で話し合っても、収拾がつかない恐れがありました。ですから、今やるべきことを明確にして、それを決めていく方が、効率が良かったのです」(阿部氏)。

プロジェクトチームが最初に取り組んだのは、コンセプトづくりだった。DDHグループが世界一のデジタル・エージェンシーになる上での、移転の意味とオフィスがあるべき姿を明確にするためだ。幸い、9月に提出したプレゼン資料に、そのベースとなる、

  • One Company:ひとつの会社であるかのように働く
  • Flexibility:各社の枠を超えて変化に対応する
  • Innovative Work Style:新しい働き方を実現する

というキーワードがあり、これらを実現するための具体的な細部の詰めが話し合われた。以降は、このコンセプトをもとにすべてが決められていくこととなる。

オフィス

まず5社のフロア割りだが、5階をエントランスを含めた全社の共有スペースとし、他階を執務室に充てることにした。各社3年後の人数の増員を念頭にシミュレーションしたところ、幸いにも過不足なく振り分けられたという。また、各社の管理部門、IT系の部門が一緒に執務できるスペースを8階に確保し、ここをビジネス・サポート・センターとすることでワンストップな社内サービスを可能なものとした。また、フレキシビリティを確立するために、執務室全体のゾーニングやデスクなどの什器の標準化、ネットワークインフラの共通化も推進。こうしておけば、会社毎のフロア割り変更はもとより、仮に新たに会社を設立してレイアウト変更の必要性が生じたとしても、柔軟に対応することができる。加えて新しい働き方を実現するために、全館無線LANの導入や多数のオープンミーティングスペースを導入することで、個人の業務効率はもちろん、チームでの作業もストレスなくこなせるように配慮している。

プロジェクトチームのこうしたアイディアのすべては、決してすんなりと受け入れられたわけではない。これまで別の会社として独自の風土を育んできた5社が、組織上はそのままでありながら標準化のために制約を受けるのだから、納得できないことが多いのも事実だろう。そうした不満は、共有部分よりも、各社のレイアウト等に現れた。

例えば、CCIやDASLのようなメディア系の企業と、クリエーティビティを重視するDRFとでは、オフィスという空間に求めるものが異なる。それだけに室内のデザインからデスクのレイアウト、什器に至るまで、自分たちの好みがあるのは当然だ。しかし、安易にそれを認めてしまっては、全体の統一感が保てなくなっていく。

「ですからパーテションなどのレイアウトには自由度を持たせましたが、執務デスクやLANなどの基幹部分は譲れない。それぞれの会社の要望を聞きながら、全体としてフレキシビリティが確保できるルールを作ることが、今回、最も苦労した点です」(相馬氏)。

オフィス

こうしたプロジェクトチームの活動は、実際の移転が完了するまで約1年間続いたわけだが、約800名の大規模なものでありながら、阿部氏や相馬氏を含め、専従者は1人もいなかったという。「各社が持っているリソースをうまく利用しあえたことが、効率よく作業が進められた要因と言えます。例えば、IT関連についてはCCIにスペシャリストがいて、彼がチームのヘッドになってくれました。総務などの運用面も同様です。デザインはDRFのスタッフにアートバイヤーがいるとか、彼らがリーダーシップを発揮してくれた。そうした人材に、他のメンバーも積極的に関わってくれたからこそ、移転を成功に導けたのだと思います」(阿部氏)。

築地をイメージ「市場」「舞台」「路地」 “One Company”を象徴する共有フロア

コミュニケーションスペース

実際に、初めてこのオフィスを訪れた人は、不思議な高揚感を覚えるかも知れない。そう思わせるのが、“One Company”というコンセプトを具現化するために用意された5階の共有スペースだ。コンセプトは「築地」そのもの。築地を象徴する市場・舞台・路地をキーワードにしている。オフィスエントランスに入ると、その正面に大型パネルを4枚並べた巨大なスクリーンが目に入る。そこには築地の街の、四季折々の変化をモチーフにした、デジタル加工を施したグラフィックが映し出される。ドアの前からこの空間まで、周囲の壁は黒に統一されており、劇場に来たかのような錯覚にとらわれる。

さらに受付を済ませ奥に進むと、歌舞伎の定式幕を思わせるスライドカーテンに仕切られた、舞台をイメージした空間が現れる。通常は来訪者との面談や打ち合わせなどに利用されているが、カーテンを閉めれば小規模のオープンセミナーなどにも利用できるという。

廊下

その奥には市場をモチーフにしたスペースが設けられており、打ち合わせはもちろん、社員の食事の場としても利用されている。夕方以降は、お酒を飲むのもOKだという。「ここは、社内外の人間が交流を深める場として、あえて市場のような雑多な雰囲気を演出しています。常に人がいて、関わりを持つことで新しいコミュニケーションが生まれる。それが“One Company”という思想につながると思っています」(相馬氏)。

また路地に見立てた廊下を通ると、いくつもの会議室や応接室があり、予約システムを利用して、各社が自由に利用できるようにしている。

PMとの明確な役割分担が独特のプロジェクト成功の鍵

会議室

5つの会社が集まりながら、これだけのオフィスの作り込みをするのは容易なことではないだろう。5社が横並びの状態では難しい。リーダー役となるホールディングカンパニーがあったからこそ、できたことかもしれない。

「当初からPMを導入し、スケジュールやコストの管理、工事の内容確認といったクオリティの確保をすべて任せていたからこそ、我々はオフィスづくりに集中できたと言えます。業者との折衝などがワンストップで非常に効率的にできたため、戦略的なことにより注力でき、クライアントとしてやるべきことに特化できた、というのが正直な感想です。その意味でPMの仕事は、当社のような広告会社の営業の業務に近いと感じました。世間ではエージェンシー不要論なども囁かれていたりしますが、今回のプロジェクトを通じて、実は自身の存在意義を改めて実感させられました」。プロジェクト成功の要因を、阿部氏はこう説明する。

DDHグループの“One Company”化を目指した取り組みで、企業の垣根を越えたコミュニケーションが実現されれば、数年後、本当に築地の地から再度、No.1カンパニーが誕生する日が来るに違いない。

プロジェクト詳細
企業名

株式会社電通デジタル・ホールディングス
株式会社サイバー・コミュニケーションズ
株式会社電通デジタル・ネットワークス
株式会社電通レイザーフィッシュ
株式会社DAサーチ&リンク

拠点部門 本社
所在地 東京都中央区築地1-13-1
施設 築地松竹ビル
移転時期 2014年11月
CBRE業務 本社移転プロジェクトマネジメント

 

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上記内容は オフィスジャパン誌 2015年春季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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