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クラウドで中小規模ビルの節電・省エネを推進

出展:NTTデータカスタマサービス株式会社

1.はじめに

オフィスビルや倉庫・工場、商業施設といった事業用不動産のエネルギー使用を管理するBEMS(Building and EnergyManagement System→ベムス)とは、IT技術による自動制御で、建物全体のエネルギー使用と屋内環境を最適化するシステムである。省電力が喫緊の課題となった東日本大震災以降、その電力需要抑制における導入効果に、一層注目が集まっている。しかし、BEMSを活用しているのは大規模な建物が中心で、中小規模のオフィスビル等においては、コスト等が課題となり導入が遅れているのが現状だ。

本稿は、NTTデータカスタマサービス㈱に取材し、BEMS導入を促進するための官民協働のエネルギー施策や、省電力のための最新のITソリューション、その導入事例によって、環境ビジネスの最前線を紹介する。

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2.中小規模ビルにもBEMS導入を

NTTデータグループの一員であるNTTデータカスタマサービス㈱は、コンピュータシステムの工事・保守を主たる業務として、1998年に設立された。近年は工事・保守で培ったノウハウを核として、ネットワーク設計、アウトソーシングなどソリューションビジネスのウエイトも高くなっている。全国約200以上に及ぶ拠点網・営業網を駆使し、全国均質サービスの提供を軸に事業展開している。

同社のエネルギー関連ビジネスの歴史は古く、1990年代にはLonWorks※1を中心としたBEMSの導入事業を手掛け、オフィスビルや商業施設、大学施設等で中央監視・自動制御システムの構築にも取り組んできた。

その実績を背景に、同社は2012年、経済産業省「エネルギー管理システム導入促進事業費補助金(平成23年度第三次補正予算)」における、エネルギー利用情報管理運営者“BEMSアグリゲータ”として採択された。

BEMSアグリゲータ(エネルギー利用情報管理運営者)とは、節電対策が遅れている中小規模ビル等にBEMSを導入するとともに、自らが提供するクラウドサービス型の集中管理システムを組み合わせ、事業者に対してエネルギー管理支援サービス(エネルギーの見える化・デマンド制御)などにより、電力消費量を把握し節電を支援するコンサルティングサービスを行う企業。21の事業体(コンソーシアム)が採択され、「一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)」から登録を受けている〔図表1〕。

図表1:ピーク時電力不足への対応
図表2:BEMSアグリゲータの主なターゲット層

BEMSアグリゲータは、中小規模ビル等の高圧小口(50kW~500kW)の電力需要家におけるBEMSの導入を促進し、エネルギー使用の効率化および電力需要の抑制を図ることにより、無理のない節電をサポートする役割を担う。対象施設は6万5千棟、コンソーシアム毎の総量で10%以上の電力消費量の削減を図ることを目標としており、電力需給の安定へ大きな切り札となることが期待されている〔図表2〕。

図表3:BEMS導入の補助率および補助上限

BEMSアグリゲータによるBEMS導入時においては、対象となる事業者※2は最大で費用の2分の1を補助する制度が活用できる。なお、当該補助事業期間は、2014年3月31日までとなっている〔図表3〕。

図表4:事業スキーム

NTTデータカスタマサービスを幹事会社とし、㈱ビル代行、㈱NTTデータビジネスシステムズ、㈱NTTデータの4社で構成されるコンソーシアムでは、M2M※3クラウド技術を活用したBEMSを提供することで、エネルギーデータをアグリゲート(=集約)し、また補助金を活用しながらユーザーの省エネに貢献することを目的としている〔図表4〕。

なお、中小規模ビルのBEMS導入については、上記の国による施策のほか、自治体においても補助を利用できるケースが増えてきた。東京都では、「平成25年度予算におけるスマートエネルギー都市推進事業」の中で、「中小テナントビルのエネルギー管理支援サービス普及促進事業」として、自社ビルと比較して省エネ・節電対策が進んでいない中小規模のテナントビルを対象にBEMS導入を補助する。また神奈川県でも、県内中小規模事業者が自らの事業の用に供する建築物のBEMS設置経費の一部を補助するとしている※4。

これら自治体の補助金は、国のBEMSアグリゲータ事業の補助金と併せて交付を受けることができる場合もあるので、導入コストの大幅な低減も可能となる。ただし、いずれも事業期間が限られているので、詳細は各自治体へ早めに問い合わせいただきたい。

※1 LonWorks:主に設備制御等のシステムに用いられるネットワーク技術

※2 補助対象となる事業者:契約電力が50kW以上、500kW未満の高圧小口需要家であり、以下の条件を満たす企業
1.BEMSアグリゲータの間で、1年以上のエネルギー管理支援サービス契約が締結されていること。
2.BEMSサービス開始後、1年間の電力消費の実績報告を含む国への情報提供などがBEMSアグリゲータを通じて行われること。
(詳細についてはHP参照:一般社団法人環境共創イニシアチブ http://sii.or.jp/bems)

※3 M2M:ネットワークで接続された機器同士が、相互に情報交換を行うこと

※4 東京都環境局HP スマートエネルギー都市推進事業 http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/energy/tochi_energy_suishin/smart_energy_city/index.html
神奈川県HP 神奈川県中小規模事業者BEMS導入費補助金について http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p645487.html

3.RemoteOne® ~節電・省エネサービス~

さて、前項で紹介したBEMSアグリゲータ事業において補助対象事業者に導入される節電・省エネサービスとは、具体的にどのような内容なのだろうか。NTTデータカスタマサービスが提供する“RemoteOne®~節電・省エネサービス”(リモート型節電・省エネソリューション)を例に説明しよう。

本サービスは、中小規模の建物にスポットを当て、施設や設備のエネルギー管理をトータルサポートするソリューションである。事業所単位で「節電コントローラ」と電力・温度・流量センサなどを設置し、エネルギーの「見える化・見せる化」を行う。

節電コントローラは自動制御を司る頭脳の役割を果たし、照明や空調を自動制御、遠隔制御する。また、各センサから集められたエネルギー利用状況データは、節電コントローラに集約され、セキュリティが確保された閉域モバイル網を経由し、同社のクラウドに送信される。クラウド上に蓄積されたデータによってエネルギーの利用状況が「見える化・見せる化」され、エネルギーの無駄を見つけながら、省エネを図っていくことが可能となる。また、クラウド上から設備の利用状況などがモニタリングできるため、空調や照明の制御(ON/OFFや温度設定など)が遠隔から行えるようになる〔図表5〕。

図表5:RemoteOne®導入イメージ

従来のように、月毎にメータを確認するだけでは、電力削減に取り組もうとしても、何から手をつければよいか分からない。いつどのように電力を使用しているかを「見える化」することで、下記のようなコスト削減効果が期待できる〔図表6、7〕。

図表6:RemoteOne®導入メリット 1
図表7:RemoteOne®導入メリット 2

●ピーク時の傾向を分析しオフピーク対策を講じる
→契約電力(30分毎の最大需要電力:デマンド値で決定)の見直しによる、基本料金の低減
●削減可能な電力使用を発見して使用量を削減する
→電力量料金(電気の使用量で決定)の低減

実際、多くの企業のオフィスでは、ワーカーが手動で空調をオフにしたり照明を落としたりすることで節電への取り組みを行うのが一般的だが、無理な温度設定やON/OFF作業の手間によって、業務にマイナス影響を及ぼすことも少なくない。ITツールによる節電ソリューションを活用すれば、「いつ、どこで無駄が発生している
か」が明白になるため、必要以上の手間や我慢を減らし、快適な室内環境を維持しながら無理なく長く続けられる効率的な省エネが可能となる。

4.IEEE1888を活用したプラットフォーム

RemoteOne®の最大の特徴は、IEEE1888というプロトコルを採用し、ビルなど建物のエネルギーデータはもちろん、太陽光や蓄電池などさまざまなエネルギー媒体が“オープンなプラットフォーム”上で管理できる点にある。

IEEE1888プロトコルとは、スマートグリッド向けに策定されたIP上で動作するアプリケーションプロトコルである。それぞれのビルや施設内には、フィールドバスと呼ばれる物理ネットワークが存在し、その特性に応じて異なる通信方式が採用されているが、IEEE1888によってこれらの通信方式の違いをゲートウェイ(GW)によって吸収(変換)しながら、統合化されたオープンプラットフォームを構築する。クローズドなシステムから脱却し、さまざまなビル・施設・設備などが相互につながっていくことを可能としているのである〔図表8〕。

図表8:IEEE1888(FIAP)を利用したエネルギー管理

従来はその独自性のために高額なシステムであったBEMSであるが、IEEE1888によって、メーカーやベンダー毎に異なるビル設備システムを接続して管理できるようになり、中小規模ビル等におけるコスト面のハードルを下げることで、導入を促進する一助となることが予想される。

参考:RemoteOne®価格表 ●規模別(機能別)に2種類のラインナップ

5.CASE STUDY「アクセスフレッシュ加工株式会社」

アクセスフレッシュ加工株式会社は、水産・畜産・青果、生鮮三品の輸入販売を取り扱う「加工機能」を備えた低温食品問屋である。その中でも、世界各国から輸入された刺身用冷凍マグロを扱う静岡センターは、年間取り扱い量が3万トンにも上る冷凍保管倉庫、加工センターを運転している。マイナス60度の超低温冷凍設備を8基使用しているため、エネルギー使用量の削減は恒久的な経営課題である。

同社は、超低温冷凍庫をはじめとした冷凍設備の契約電力の節減、さらには静岡センター全体の省エネを図る必要があると判断、そのためのエネルギー管理を行うエネルギー監視ソリューションの「RemoteOne®」を2009年6月に導入した。

アクセスフレッシュ加工株式会社HP
http://www.access-fresh.co.jp

導入前の課題

  • 電力会社との契約電力を削減したい
  • エネルギー使用量そのものを削減したい
  • 効果的デマンドコントロールができず省エネ対策ができない

導入後の効果

  • 契約電力・エネルギー使用量の削減に成功。
    その結果、導入費用は当初予定の4年から2年の短期間で回収できる見込み
  • 冷凍設備だけではなく静岡センター全体でのエネルギーの“見える化”を実施。
    効果的なデマンドコントロールでエネルギー使用量が削減できた
  • 社員一人ひとりの省エネに対する意識が変わった

原油高騰で自家発電が停止、それまでの省エネ対策が暗礁に

エネルギー使用量の大半を占める冷凍設備の節電対策は以前から進められており、以前は自家発電設備によって、電力会社との契約電力を380kWに抑えていた。しかし、原油価格高騰により自家発電が中止となり、冷凍設備は夜間電力での運転、昼間の運転はデマンドコントロールでの対策を実施していた。しかし、デマンド値は1,100kWを超え、その抑制は急務となっていた。

常務取締役の白石博史氏は、「現状のデマンドコントロールの調整で対応を試みましたが前室の温度上昇等の問題で調整が難しく、節電対策が暗礁に乗り上げていました」と振り返る。

デマンド制御だけでなく、エネルギー使用量の削減に関する提案が決め手

その状況でNTTデータカスタマサービスから提案されたのが、「RemoteOne®」による静岡センター全体の“エネルギーの見える化”と、“デマンド制御”による夏場のピーク電力抑制案だった。「最初の現場診断で、作業場のエアコンをデマンド制御すべきといきなり指摘されたのには驚きました」と白石氏は振り返る。そして「単にデマンドコントロールをする提案ではなく、具体的なエネルギー使用量の削減方法や、省エネ法改正も踏まえた将来的なビジョンが明確だったことがNTTデータカスタマサービスさんのシステムを導入した理由です」とその決め手を話す。

導入したのは、静岡センター全体のエネルギー使用量を計測し、各施設の運転状態を把握、操作・制御を自動化する設備一式。さらに、個別センサ毎のエネルギー使用量や機器の監視情報など細かなデータが分かる定期報告書である。

「今まで見えなかった各機器のエネルギー使用状況が数値として顕在化できたことで、省エネ策の何が本当に成果を上げたのかが分かり、より効果的な施策を打てるようになりました」と白石氏は語る。

定期報告書の「見える化」でムダを見つけ、静岡センター全体のエネルギー使用量削減に成功!

定期報告書によりエネルギー使用量が“見える化”されたことで、省エネに対する意識が大きく変化したという。「10本ある蛍光灯を1本外せば、1割のエネルギー量を減らせると明確に気付かせてくれました。削減・低減する方法が具体的に見えて積極的に試せます」

例えば、廃水処理設備の貯留タンクは24時間体制でブロワポンプを運転し酸素を送っていたが、定期報告書のデータからムダを発見。そこで、タイマーを取り付けて間欠運転を始めてみたら、1日7時間運転でも機能に影響が出ないことが判明した。また、一部の冷凍設備は報告書のデータから運転方法を細かく調整することで休日に限っては、間欠運転できるようになったのである。「今までは、静岡センター全体での数値を見てしまっているから、何が奏功したのか分からない。それが詳細な数値として見える化されたことで、我々の省エネに対する発想も広がっているのです」と白石氏は未来への展望もイメージする。

目標だった契約電力の削減に成功!予想以上の省エネ効果を元に、次のステップへ

定期報告書には、各機器の30分毎のエネルギー使用量が詳細に記載されている。これにより窮地を救われることもあったという。 「定期報告書の実績データをもとにNTTデータカスタマサービスさんと協力して電力会社に交渉した結果、契約電力を下げることに納得してもらえました」と白石氏。詳細なデータがあったからこそ、無事契約電力の削減にこぎ着けたのである。

これからは、定期報告書を活かし、照明もLEDへと省エネタイプに切り替える予定だという。「今までは、“もったいない、まだ使える”という価値観で交換時期を判断していましたが、これからは省エネ率を計算した上で交換時期を判断していきます。ただし、“安全性の問題から、LED化は少し様子をみるべき”というアドバイスをNTTデータカスタマサービスさんからいただいているように、一つひとつ見定めながら、より戦略的な省エネ対策を一緒に展開していきたいと思っています」と話す。

導入費用は当初の半分の2年で回収。社員一人ひとりの省エネに対する意識も変えた

図表9:契約電力とエネルギー使用量の比較

契約電力が1,022kWに変わったことで、年換算すると140万円ほどの削減になる〔図表9〕。また、使用量でも年換算200万円ほどの削減を達成し、2年以内で導入費用を回収できた。白石氏は、「利益ベースでの200万、300万円の削減は非常に大きく、エネルギー削減は単なる環境活動ではなく攻めの施策にもなる。今後は、静岡センターでの実績をもとに、アクセスフレッシュ加工全体のネットワークをつないで全社的な横展開もNTTデータカスタマサービスさんと一緒に考えていきたいですね」と語る。

 「RemoteOne®」による成果は、これからも広がり続けると白石氏は見ている。最後にこのシステムを導入した結果として、次のような効果があったと話す。

 「現場からは、“エネルギー使用量をタイムリーに見たい”という要望が出ています。今回導入したシステムによってエネルギー量を削減するだけではなく、見える化された情報をもとに一人ひとりがムダに気付きはじめました。導入からわずかな期間ですが、見える化から得たデータを最大限活用する意識が静岡センター全体に芽生えています」

参考:アクセスフレッシュ加工株式会社が導入した「RemoteOne®」システム図

本稿についてのお問い合わせ

NTTデータカスタマサービス株式会社
営業統括本部 営業戦略部 営業戦略担当
TEL:03-3534-6077
http://www.nttdatacs.co.jp

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上記内容は オフィスジャパン誌 2013年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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