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昨今の賃料改定動向とその背景

株式会社生駒データサービスシステム 専務取締役主席研究員 前沢 威夫

株式会社生駒データサービスシステム
専務取締役主席研究員
前沢 威夫

1986年生駒商事株式会社(現シービー・リチャードエリス株式会社)入社。多岐にわたる不動産業務及びオフィスの仲介営業を担当した後、株式会社生駒データサービスシステムに出向、1999年3月同社取締役に就任。オフィスを中心とした事業用不動産に関するコンサルタントの第一人者として、様々なコンサルティングサービスを提供するかたわら、執筆・講演活動も精力的に行っている。

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大幅な増額改定が目立つ賃料改定

市場には「賃料改定は去年突然、ドラスティックに変化した」との認識があります。
大幅な増額改定のインパクトが強いですが、現状はどのような事態なのでしょうか。

弊社へのコンサルティング依頼やオフィス仲介の現場を見ると、東京の賃料改定では、5割を超えるような大幅な増額改定も確かにあるようです。しかし、それは極端な事例であり、全体的な賃料改定率の分布は、まだばらつきがあるものとなっています。近年、増額改定が増えた要因として挙げられるのは、第一に「オーナーの性格の変化」でしょう。たとえば20年、30年というタームでビルを所有するこれまでのオーナーは、その期間内に収支を合わすという考え方を持ちテナントと長い付き合いをしようとしますが、新興のファンド系オーナーは短期間にIRRをいかに高められるのか、出口戦略をどうするかを考えます。したがって、新規賃料に近づくまで継続賃料を極力上げなければならない、という力が強く働くわけです。また、昨年あたりから、定期借家契約の再契約を迎えるケースが見られるようになってきましたが、再契約となると、オーナー側は新規賃料としての条件を提示できますから、近年の新規賃料の上昇に合わせて、3割、5割アップということも、テナント感情をあまり考慮に入れなければ有り得ることなのです。

センセーショナルな事例のアナウンス効果

賃料改定のマスコミでの取り上げられ方も今までにないと感じますが。

増額改定ブームともいうべき事態は市場にとっても十数年ぶりのことで、アナウンス効果の高い事例がセンセーショナルに取り上げられています。逆に、過去の傾向と比べると、アナウンス効果が進んだ結果、追随するオーナーが増えたともいえます。定期借家契約もなく、ファンド系のプレーヤーも登場していない一昔前なら、賃料上昇の気運が広く市場に浸透するまでには、もっと長い時間を要したでしょう。今回の現象は、その速さに特徴があります。また、06年初頭から3月頃にインパクトのある事例が報道されて以降、多くのビルオーナーが本腰を入れて増額改定に乗り出した際、大都市圏ではテナント側にも「増額改定やむなし」というマインドが形成されていたように思います。結果としてこのことが、現在の賃料改定状況を大きく後押ししているといえます。

現在に至る経緯を振り返ると。

02年から03年にかけ、大型ビルを中心とした新規ビルの賃料調整が行われましたが、昨今の賃料改定はこの影響が大きいです。2003年問題を前に危機感のあったオーナーが、テナントに有利なオファーをしていた反動が、04~05年の新規賃料アップにつながりました。さらに05年以降、市場の逼迫度は04年の比ではなくなり、過去5、6年の水準よりも高い新規賃料での取引が成立する局面を迎えました。そうなってくると02年、03年に入居したテナントに限れば、継続賃料と新規賃料のギャップが一気に拡大。この調整が06年に始まったといえます。加えて定期借家契約では2年よりも3年のほうが契約期間としては多いため、05年から06年に再契約の時期を迎えるテナントが非常に多く、高い改定率での増額改定や再契約が新聞等で一気に取り上げられたアナウンス効果で、Aクラスビル以外のビルにまで加速度的に増額改定が波及したと考えられます。

それにしても、東京の調査結果では全体の65%が増額改定。減額改定はわずか4%ほどです。

アンケート調査では、ある一方に振れた場合、振れた側の勢いが強く出ます。マーケットの全数調査が仮にできたとすると、増額オファーをしているのが4割ぐらいで、妥協したのが3割程度ではないでしょうか。

テナントの立場から見ると

賃料改定に対するテナントの意識の変化は見られますか。

企業によって大きく異なります。オーナーサイドに聞いた話では、意外な程すんなりと増額を受け入れるテナントが結構あるということです。その一方で、増額を理解しつつも、なかなか条件を呑んでもらえないという声も聞きますので、テナント側も二極化しているといえるでしょう。すんなり受け入れるというテナントにしても、ビルに対して価値を認めている場合と、移転をすれば増額改定後の賃料より割高になるということを下調べしていて、増額改定をしかたなく受け入れるという場合もあるでしょう。それとは別に、増額は覚悟していても、その改定額(改定率)の高さに苦慮するテナントもあります。仮に定期借家契約であった場合、契約時に賃料改定に対する縛りを入れていれば別ですが、大抵はそうしていませんから、新規賃料並みの提示を受けるケースも散見されます。普通借家契約では、5割、7割の増額を提示されればおそらく調停になるでしょう。しかしその場合も、テナント側は対抗要件として「この増額幅は不当である」という根拠を示す必要があります。高額改定を打診してくるファンド系オーナーは、そういった提示をしてくるぐらいですから「調停も辞さず」とのスタンスで、綿密に市場を調査し資料を準備して臨んでいるはずです。

今後も、この増額改定傾向は継続していくのでしょうか。

今の需給バランスが続いていく限り、その流れを止めるのは難しいでしょう。ただ、空室率の上昇が了見されるようになると、すぐさま足踏み状態になります。今、東京では短期間のうちに増額改定が主流になってきていますが、これは、マインドが市場実態以上に先行している状態ともいえます。ということは、マインドが逆に振れると、市況感も実態以上に大きく変化する可能性があるでしょう。その振れ方は、マーケットの動向や企業そのものが、今の成長プロセスを維持できるのかということに影響されると思います。

東京と同じ方向性の大阪、名古屋、福岡

東京以外の都市では、増額改定が散見されるところもあれば、そうでないところもあります。

大阪、名古屋は、基本的に東京と傾向は一緒ですね。出てくる度合いは違っても、増額改定の割合が増えてくる可能性は高い。ただ、タイムラグがある分だけ、マーケットに変化があれば、増額改定の波が来る前に収束するという可能性ももちろんあります。地方都市のなかでは、東京に追随する可能性が高いのは福岡で、実際今年の調査結果に現れています。それ以外の都市は、建物やオーナーの属性によって異なります。

どちらかというと、一斉に増額改定に走っている東京が例外だと。

過去、東京では空室率が5%程度にまで下がった時、質のいいビル以外は目立った動きがないという時期がありました。今の地方都市が同様で、全体の空室率は下がっていますが、駅前一等地のようなビルはよくても、その他は競合が多く市況はまだら模様です。金沢を例にとると、市場が逼迫してきた金沢駅周辺のビルでは増額改定は今後ありえるが、空室率がいまだ20%を超えている南町あたりではちょっと考えられない。このように、同一都市内でもエリア別にギャップがあるわけです。ただ、このような状況では、近隣に移転先の受け皿があるわけですから、ニーズが集中するビルにおいても、大幅な増額改定は難しい状況だといえるでしょう。

地方都市の中では、札幌、仙台の増額改定の割合が多いようですが。

強いて言うなら、東京資本のオーナーが札幌、仙台には多いという影響があるかもしれません。増額改定を実施しているビルを詳しく見ていくと、地元資本ではないケースがかなり多くを占めています。また地方都市の場合、小幅な増額改定ならば、東京よりかえってテナントに受け入れられやすいといった面があります。例えば、支店・営業所立地の地方都市の場合、テナントの主たる使用面積は10~30坪程度。そこで坪当たり500円賃料が上がっても、月当たりのコスト増は5,000円~1万5,000円ほどです。駐車場の値段を上げられる方が、よほど影響があるといえるでしょう。

加えて、現在の東京の市場逼迫度合いが、地方の増額改定を手助けする面もあるかもしれませんね。

東京本社決済の稟議が、通りやすいということはありますね。ちょうど本社統合移転がブームだった時に、「本社がここまでオフィスコスト削減に取り組んでいるのに、地方がコスト増なんてとんでもない」というのと逆の状態です。ただ、やはり根本的に影響を及ぼすのは、景気の動向です。マインド的に景気がいいという印象をもしテナントが持っていなかったら、現実に空室率が下がろうが、どれほど市場が逼迫しようが、定期借家契約を別にすれば、絶対に増額改定は一般化しないと断言できるでしょう。

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上記内容は オフィスジャパン誌 2007年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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