大量供給と二次空室で選択肢は増加、移転検討企業には好機到来。
グレードA空室率2期連続低下
2017年の初め頃は新築物件の動きが鈍いように思われたが、「赤坂インターシティAIR」のオフィスが8月末の竣工を満室で迎えるなど、2018年の竣工物件を含め、新築物件のテナント確保がここにきて順調に進んでいると感じられる。
実際、2017年9月期は、前期(同年6月期)に続き、東京グレードAビルの空室率は低下傾向が続いている。とはいえ、2019~20年に竣工予定ビルの募集営業が始まるなど、大量供給の足音はすでに聞こえてきており、グレードAビルの賃料水準は、今後やや弱含むという見通しに傾いている。
一方で、グレードAマイナスおよびグレードBの空室率は、1%台まで低下しており、テナントにとっては検討の選択肢が極めて限られる状況である。新築物件のテナント確保が進んでいる現状からすると、もっと二次空室が出てきてもおかしくないが、二次空室がマーケットに出るまでにタイムラグが生じ、そのインパクトが顕在化していないケースが多いものと思われる。具体的には、大型本社移転では、移転の意思決定から実際の移転まで1~2年かかる場合も多く、解約予告がしばらくの間出ないケース、また大規模リニューアル等で検討に時間を要するケースでは、本格的なリーシング開始まで時間がかかる。ただし、こうした大型二次空室も、条件を整えて実際のリーシングが始まることで、そのインパクトが次第にマーケットに広まっていくものと思われる。
オフィス大量供給スタート
3年にわたる大量供給の幕開けとなる2018年。そのマーケットを占ううえでは、テナントの企業業績およびニーズの変化が鍵となるであろう。働き方改革を目的に、よりグレードが高く、交通利便性に優れるオフィスへの移転が増える一方で、人手不足が進めば、人件費の高騰が業績に影を落とすことも想定される。そうした状況で、テナントにとっては、大型二次空室やグレードAビルの大量供給は、より良いオフィスの選択肢が増えることを意味する。オフィスを戦略的に活用する好機であると捉えることもできよう。
オーナーサイドには競合が増えることになるが、変わりゆくテナントニーズにいかに応えるか、ハード面はもとより、ソフト面でも差別化を図り、競争力を高めるチャンスとできるかが試されていると言えそうだ。
ビル営業本部 桂 憲一
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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主要3区 大規模ビル |
25,000~46,000 円/坪 | 高価格帯の大型物件にも徐々に内定が増えている。 | |
主要3区 中小規模ビル |
17,000~28,000 円/坪 |
交通利便性が良い物件中心に引き合いが強く、物件選定にスピード感が必要なマーケット。
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周辺7区 大規模ビル |
20,000~37,000 円/坪 |
解約が少なく、募集床も徐々に決まり、空室は減少傾向にある。
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周辺7区 中小規模ビル |
16,000~25,000 円/坪 |
新規供給が少なく、解約も少ないため品薄感が強い。
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23区内 大規模ビル |
16,000~22,000 円/坪 |
交通利便性が良い物件、築浅物件には引き合いが強いが、それら条件が整わないと空室が長期化する傾向にある。
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23区内 中小規模ビル |
11,000~14,000 円/坪 |
ビル・エリア間で、優勝劣敗がよりはっきりしてきている。
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立川 | 10,000~19,000 円/坪 |
エリア内での拡張移転や館内増床など、前向きなケースが多く見られる。空室率は低水準で推移、賃料水準も高止まりしている。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
(注)主要3区=千代田、中央、港 周辺7区=新宿、渋谷、文京、豊島、品川、台東、目黒 23区内=左記10区を除く東京都内
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。