神戸:物件確保には素早い決断が不可欠に。
神戸のオフィス市場
神戸における2016年9月期の空室率は、対前期(2016年6月期)比0.1ポイントとわずかに上昇して6.0%となった。これまでの空室率低下により、大型の動きは限られてきているものの、新規供給がなく需要が堅調というマーケットの状況は引き続き継続している。優良ビルを中心に、テナント退去から空室消化までの期間が短くなっており、移転時、テナント側には、より一層素早い意思決定と物件確保が必要となってきている。
想定成約賃料は対前期比0.6%上昇の10,740円/坪。全体の底上げまでは至っていないものの、空室率低下や引き合いの重なりを受け、一部のビルでは、長らく下落してきた成約賃料を戻してきていると思われる。
堅調なマーケットの一方で、他都市と比較して2000年以降竣工の築浅物件が限られ、ビルグレードを改善したいテナントニーズと既存物件のグレードやスペックに乖離が広がりつつある。既存ビルのリニューアルに加え、2021年竣工予定の「神戸阪急ビル東館」の建て替えや、神戸市による三宮駅周辺の再開発事業などの具体化が待たれる。
- 現在募集中の神戸市の賃貸オフィス
- 現在募集中の京都市の賃貸オフィス
京都:立地によっては分室確保さえ困難に。
京都のオフィス市場
京都における2016年9月期の空室率は、対前期比0.7ポイント低下の2.3%となった。調査開始以来、初めて3%を下回る水準となっている。
テナント需要は活況であり、移転理由には今期も「面積拡張」「立地改善」「新設」「館内増床」「立ち退き」などが目立った。好立地物件では、満室の物件も増えてきている。面積の大小を問わず床の確保が難しくなってきており、解約予告期間中に後継テナントが決定するケースも散見される。立地によっては、現入居ビル内の館内増床だけでなく、すでに周辺に分室を確保することさえ困難になってきている。
平均想定成約賃料は、対前期比0.6%上昇して11,660円/坪であった。逼迫した市場は今後も継続し、成約賃料は上昇していくと予測される。また、リーマンショックの影響を大きく受けた低廉な賃料の物件については、増額改定を実施するオーナーが増えてくるものと思われる。
オフィスビルの開発計画のない京都において、移転先確保には、二次空室情報をいち早く入手することが重要となる。
関西支社 松田 梓・今福 健一
- 現在募集中の神戸市の賃貸オフィス
- 現在募集中の京都市の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
三宮~神戸 大規模ビル |
12,000~18,000 円/坪 | 引き続きマーケットは安定している。 | |
三宮~神戸 中小規模ビル |
8,000~13,000 円/坪 | ビルにより需要の強弱はあるものの、徐々に空室は消化してきている。 | |
姫路 | 7,500~13,000 円/坪 | 上半期に大型空室が顕在化するも、徐々に消化してきている。 | |
明石・加古川 | 6,000~8,000 円/坪 |
需給ともに、オフィス市場は動きが少ない。 |
|
阪神間 | 8,000~11,000 円/坪 | 新規供給もなく、優良物件の品薄状態が続いている。 | |
四条烏丸 大規模ビル |
15,000~18,000 円/坪 |
満室の物件が増え、需給バランスは逼迫してきている。まとまった面積の確保は非常に難しい。成約賃料は上昇傾向にある。
|
|
四条烏丸 中小規模ビル |
10,000~14,000 円/坪 |
空室消化が進んでおり、優良立地の物件は空室確保が難しい。割安感のあった物件では、募集賃料の上昇も見受けられる。
|
|
京都駅前 | 12,000~18,000 円/坪 |
依然として空室がほとんどない状態が続いている。成約賃料は上昇傾向にある。
|
|
倉庫・配送センター・工場 兵庫 |
3,000~4,000 円/坪 |
中大型の物件は空室が少なく、動きが鈍化している。また、汎用性の高い倉庫兼事務所物件も、空室の少ない状況が続いている。
|
|
倉庫・配送センター・工場 京都 |
3,000~4,000 円/坪 |
今年前半と比較して、100坪前後の小規模テナントの需要が高まっている。また、慎重に物件選択する企業が増加している。
|
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。