需要の増加は衰えを見せず、空室率は首都圏と同程度の4%台に。
市況は堅調に推移
シービーアールイー(株)の調査によると、2014年9月期の札幌市中心部の空室率は、対前期(同年6月期)比で1.1ポイント低下の4.6%となり、ついに5%を下回った。他都市と比較しても、首都圏と同程度の低い水準となっている。
テナント動向は、特に今年に入ってから前向きな理由での需要が目立つ。新規開設、拡張移転、館内増床といった面積を確実に増やす、あるいは面積を増やさなくとも、立地改善によって優秀な人材確保や従業員のモチベーションアップを狙うケースである。業種としては、コールセンターに代表されるような他企業から一定の業務を受託するアウトソーシング系企業の動きが目立つものの、それらに限定されることなく、全般に堅調な動きを見せている。
札幌では、2年ぶりの大型新規供給として注目された「札幌三井JPビルディング」がほぼ満室稼働で竣工した結果、二次空室が募集に出たことで、空室消化のスピードが鈍くなることが心 配されていた。しかし、今のところテナント需要が上回り、多くの引き合いを集めているようである。
懸念される供給不足
「札幌中心部」以外のエリアを見ると、「創成川東」は、テナント需要に対応できる基本スペックを備えたオフィスビルの空室が概ね消化されたため、動きは少なかった。「札幌駅北口」では、依然、築浅ビルを中心に引き合い状況が良好である。「西11丁目」は相対的に需要が少なく、唯一苦戦しているエリアと言えるが、全般的にテナント需要が引き続き堅調であることから、徐々に空室消化が進むものと予想される。
このように札幌のオフィス市場全体は堅調であるが、2015年1月に「明治安田生命札幌大通ビル」が竣工後、2年以上新規供給の予定はない。今後は、さらにオフィス床が不足する可能性 が高く、テナントが必要なスペースを思うように確保できなくなる状況が懸念される。
また、オーナー側からすれば今後は賃料の上昇を期待できるものの、新築・建て替えを行おうにも建設費の高騰傾向が続いているため、収支が読みづらく、事業化の決断が難しい状況にあ る。これからは、テナント側もオーナー側も、冷静な市況予測と素早い判断が求められそうである。
札幌支店 西川洋正
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
札幌中心部 | 10,000~13,000 円/坪 | テナント需要は引き続き堅調、前期以上に大幅な空室率低下となった。まとまった面積を確保することが難しい。 | |
地下鉄西11丁目 | 7,500~9,000 円/坪 | 一旦空室化するとなかなかテナントが決まらず、中心部との差は拡大傾向。テナント需要はより中心部へシフトか。 | |
創成川東 | 7,500~8,500 円/坪 | テナントニーズを満たす空室の消化が進んだ結果、消化スピードは鈍化傾向。 | |
札幌駅北口 | 9,000~12,000 円/坪 | 引き合い多数により、空室消化はさらに進むことが予想される。 | |
琴似 | 7,000~8,500 円/坪 | エリアとしての動きが非常に少なく、空室消化に苦戦している。 | |
白石 | 7,000~8,500 円/坪 | エリアとしての動きが非常に少なく、空室消化に苦戦している。 | |
倉庫・配送センター 既存 |
2,000~3,000 円/坪 | 引き続き既存倉庫物件が非常に少ない状況の中、一部空室の消化が進み、空室率はさらに低下傾向。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー㈱社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。