プラス要因の需要が増加し、空室率は8期連続で低下。
既存の大型物件にも注目
シービーアールイー(株)の調査によると、2014月9月期の仙台市の平均空室率は、前期(同年6月期)から0.3ポイント低下の8.7%となり、8期連続して低下した。
引き続き、プラス要因での動きが非常に多く、館内増床や拡張移転の事案が見られたことが、空室率の低下につながったものと考えられる。加えて、オフィス運用の効率化を図り、集約・ 拠点統合等の動きが散見されるようになったことも、今期の仙台マーケットの特徴として挙げられる。
東日本大震災から3年半が経ち、築浅物件への需要が落ち着いてきた中、改めて既存のランドマーク物件が注目されている。その理由としては、築浅物件と比較すると、面積のバリエーションが豊富なことや、賃貸条件についても検討がしやすいことが考えられる。加えて駅に近く、新耐震基準を満たす既存物件に対し、企業のニーズは少なくない。一部の築浅物件については、募集賃料が上昇傾向となってきたため、企業も移転のタイミングをうかがっているといった状況である。
また、仙台は、建設・土木関連業の企業を中心に動いているマーケットではあるものの、それ以外の業種についても偏りなくオフィス需要が出てきている。
久々の新規供給
築浅物件の需要が増加し、空室率が低下する中、今年唯一の新規供給となるオフィスビルが竣工を迎えた。同ビルは、県庁や市役所等、公共機関が集結するエリアに立地しており、既にテナントが決まっているフロアもあり、今後のマーケットに与える影響にも注目したい。
さらに、仙台駅東口の駅ビル再開発計画や、地下鉄東西線の開通による、将来的なマーケットの変動にも期待が寄せられる。
宮城県以外の東北主要都市は、各エリアともに、動きが少なく落ち着いた状況である。各都市ともに、ランドマークビル、および駅に近い新耐震基準の物件を中心に、稼働率が高い状況が 続いている。潜在的な移転ニーズはあると思われるが、どのエリアにも新規供給が見られず、引き続きまとまった面積の確保が難しい状況である。そのため、フロアを分散、もしくは近隣で他物件へ分室を構えるケースが見受けられる。
仙台支店 相原健二
- 現在募集中の仙台市の賃貸オフィス
- 現在募集中の郡山市の賃貸オフィス
- 現在募集中の盛岡市の賃貸オフィス
相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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仙台市中心部 | 12,000~15,000 円/坪 | 築浅物件の空室率は引き続き低下しており、大型空室が減少。それに伴い、大型空室のある既存物件は、柔軟な条件提示を行うことで空室を消化し始めている。 | |
郡山市 | 9,000~13,000 円/坪 | 各物件ともに稼働率は引き続き高い状況。企業の潜在的ニーズはあるものの、その受け皿としての空室が枯渇しており、マーケットは鈍化している。 | - |
盛岡市 | 9,000~11,000 円/坪 | 大型ランドマークビルは引き続き高水準で稼働している。拠点集約・グループの統合の動きが散見され、大型空室も消化されつつある。 | - |
倉庫・配送センター 注文建築 |
3,500~4,500 円/坪 | 中・小型倉庫に新規空室の動きが多少出てきたものの、即時に入居が決定、引き続き空室は枯渇している。また、大型物件についても、長期化していた空室の消化が進んだ。 | - |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー㈱社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。