都内からの需要受け入れもあり、空室率は低下基調で推移。
市内各エリアで空室率低下
シービーアールイー(株)の調査による2016年6月期の横浜市オールグレードの空室率は4.4%で、対前期(同年3月期)比マイナス0.3ポイントと2期連続の低下となった。東京都内に割安感のあるまとまった面積の空室の確保が難しくなっている状況下で、大型空室を抱える横浜のビルを検討する企業ニーズが市場を喚起していることが、空室率低下要因として挙げられる。また2014年以降、横浜に大型ビルの新規供給がない点も、オフィスマーケット改善を下支えしていると言える。
エリア別に見ると、「横浜駅周辺」の空室率は、前期から0.1ポイント上昇し、4.3%となった。大型空室の発生はなかったものの、前期に大幅に空室消化したことにより、マーケットに一服感が出たものとみられる。「みなとみらい」の空室率は、前期から0.6ポイント低下して4.5%となった。今期は、自社施設への集約移転や他エリアへの移転等の動きもあり、大型空室が発生したものの、2014年竣工の「横浜アイマークプレイス」が、その特長を活かして大型移転ニーズを吸収したことで、空室率の低下に大きく貢献した。
「新横浜」の空室率は、緩やかな低下傾向で推移。ワンフロア200坪以上のまとまった空室の確保は難しい状況である。しかし、それ以下の面積帯については、空室区画を抱えているビルも多く、マーケット全体の底上げには時間を要するだろう。
今後の新規供給計画
今後の開発・新規供給動向を見ると、「横浜駅周辺」で、「(仮称)横浜駅西口開発ビル計画」が2020年の開業を予定。「みなとみらい」では、2017年竣工予定のオフィスビルを皮切りとし、横浜市が開発事業者公募を実施していた街区において、54街区に大規模オフィスビル(カンファレンススペース、展示・イベントホール設置予定)、56-1街区に「京浜急行電鉄㈱本社ビル」、また61街区の一部に「横浜アンパンマンこどもミュージアム&モール」(みなとみらいエリア内移転)が、2019~20年にかけて相次いで竣工を予定している。
横浜市では、今後もビジネス並びに観光による地域活性化が見込まれており、一層注目を集めるエリアとなることに期待したい。
横浜支店 坂田元
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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横浜大規模ビル | 16,000~22,000 円/坪 |
新規供給がなく、大型優良物件を中心に空室消化傾向。賃料は緩やかな上昇傾向にある。
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横浜中小規模ビル | 10,000~15,000 円/坪 |
マーケットにおける競争力有無による二極化傾向が継続。横浜駅から距離がある物件、築年数経過物件は空室長期化傾向。
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関内大規模ビル | 8,000~13,000 円/坪 |
築浅物件を中心に、館内増床や郊外からの移転需要による空室消化も散見されるが、新規供給が無くマーケットの停滞感が継続。
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関内中小規模ビル | 8,000~9,000 円/坪 |
テナントニーズ(拡張、ビルグレード等)に応える物件は空室消化傾向にあるも限定的。築年数経過物件は空室長期化傾向。
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新横浜大規模ビル | 10,000~13,000 円/坪 |
築浅、ハイグレードビルは高稼働で推移。まとまった空室面積の確保、検討が難しいマーケットが継続。
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新横浜中小規模ビル | 8,000~10,000 円/坪 |
割安感があり、小分割に対応する物件は空室消化傾向にあるも限定的。新横浜駅から距離がある物件、築年数経過物件は空室長期化傾向。
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川崎大規模ビル | 14,000~17,000 円/坪 |
川崎駅至便エリアを中心として高稼働が継続。まとまった空室面積の確保、検討が難しいマーケットが継続。
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川崎中小規模ビル | 10,000~15,000 円/坪 |
全体的に空室は消化傾向にあるものの、マーケット競争力が低い物件は空室長期化傾向。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。