移転傾向は、よりハイグレードに、より好立地へのニーズが主流に。
いよいよ賃料上昇傾向か?
シービーアールイー(株)の調査によると、大阪における2015年6月期の空室率は、グレードAビルが前期(同年3月期)の7.2%から6.1%へ、ALLグレードでも6.3%から6.1%へと、低下基調を維持している。特にグレードAビルはマイナス1.1ポイント、ALLグレードも梅田エリアなどでは10.5%から8.3%のマイナス2.2ポイントと大幅な低下が見受けられた。ただし、グレードBビルの大阪エリア全体の空室率は、4.8%から4.9%へと若干の上昇となっている。この背景には、よりグレードの高いビルへの移転の増加、そしてエリアで見た場合、他エリアから大阪の中心部である梅田へ需要が集まってきていることが挙げられよう。
想定成約賃料を見ると、グレードAビルが19,650円/坪と、前期から150円/坪の上昇、グレードBビルも10,950円/坪と、同150円の上昇となっている。実際にマーケットを見ても、新規契約賃料が以前より上がっているケースが散見されるようになった。特に梅田エリアは、空室率の低下で面積帯によっては品薄感が強まっており、他エリアに比べて上昇幅が大きいビルも見受けられる。少しずつではあるが、賃料上昇の流れは確実なものとなりつつある。
注目される築浅二次空室の発生
供給の動向としては、北区で竣工した「新ダイビル」(総貸室面積約12,700坪)と「清和梅田ビル」(総貸室面積約4,053坪)の2棟が順調に需要を集めている。また、今夏から秋にかけて、淀屋橋エリアで発生する大型空室にも注目が集まっており、テナント誘致活動も本格化しつつある。
大型ビルの新規供給が2017年まで見られないため、既存優良物件における大型空室・二次空室の発生は、2015年のみならず2016年のマーケットに対しても好材料となると思われる。また、今後賃料が上昇基調になるとする市況感も後押しし、さらなる需要喚起につながることも想定される。
引き続き、拡張や新規開設、ビルのグレードアップ、耐震やBCP対応、営業強化、採用強化といった前向きな要因による需要が見込まれ、空室率はさらに低下していくものと思われる。一方で、いまだに需要の弱いエリアも見受けられるため、テナント誘致競争が激化していくことも予想される。
関西支社 髙戸優一
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
梅田 大規模ビル |
18,000~25,000 円/坪 | 引き続き大型新築ビルや既存ハイグレードビルは空室消化の傾向にある。少しづつではあるが賃料の上昇が見受けられる。 | |
梅田 中小規模ビル |
12,000~16,000 円/坪 | 利便性やグレードにより空室率に差はあるが、全体的に空室は減少傾向にある。引き続き小規模区画における動きが顕著。 | |
淀屋橋・本町 大規模ビル |
14,000~17,000 円/坪 | グレードがあり値ごろ感のあるビルは空室消化の傾向。賃料はビルにより若干上昇しているものもあるが、全体的な動きには至っていない。 | |
淀屋橋・本町 中小規模ビル |
9,000~11,000 円/坪 | 動きは活発だが競合物件も多いため、市況は横ばい状態。 | |
難波・心斎橋 大規模ビル |
9,000~13,000 円/坪 | 商業色が強いエリアのため、事務所需要については活発な動きが見受けられず、空室率低下には至っていない。 | |
難波・心斎橋 中小規模ビル |
7,000~9,000 円/坪 | 商業色が強いエリアのため、立地がよく視認性の高いビルは来店型事務所としての需要があり、空室を消化しているビルもある。 | |
周辺都市 大規模ビル |
8,000~10,000 円/坪 | 立地特性の見直し需要により都市部の需要が高まっているエリアも見られるが、空室を解消するまでには至っていない。 | |
周辺都市 中小規模ビル |
6,000~8,000 円/坪 | 需要は少なく、依然として空室を解消するには至っていない。 | |
事務所兼倉庫 市内・北摂・東大 |
4,000~6,000 円/坪 | 大阪市内は引き続き物件不足が続く。北摂・東大阪市エリアは、汎用性の高い物件については引き合いが多数あるという状況。 | |
倉庫・配送センター 郊外 |
3,400~4,000 円/坪 | 堅調な需要に支えられ、優良物件については複数の引き合いがあり、引き続き品薄状態が続いている。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。