旺盛なテナント需要に支えられ、空室率は4%台にまで低下。
大型・築浅物件不足が深刻に
広島市中心部の2015年6月期の空室率は4.9%で、対前期(同年3月期)比0.2ポイント低下した。これは4年近く連続で低下していることとなり、引き続きテナント需要が旺盛であることがうかがえる。しかしながら新規供給がないことから、需給バランスはタイトになりつつある。
テナント需要は、引き続き新規出店や面積拡張、ビルグレードアップ、環境改善等の前向きな動きが多い。しかし、大型ニーズになると、希望条件に合致する物件が少なくなり、計画の見直しや移転時期を延期するケースが増えつつある。また、築浅物件では満室稼働が増え、館内増床もできないなど、動きが取りにくいマーケットになってきている。
空室の減少により、賃料水準は上昇傾向に転じている。競争力の高いビルでは、継続賃料の増額改定を行う事例も増えており、今後も増額改定の動きが活発化しそうである。
一方、供給面では、2012年竣工の「広島トランヴェールビルディング」以降、新規供給がなく、2016年の「(仮称)広島ピースタワー」「広島駅南口Bブロック市街地再開発事業」の竣工まで待たなければならない。ただし、その供給量はマーケット全体の約2%程度と、需給バランスの緩和には不足感がある。その後のさらなる新規供給による、マーケットの活性化に期待したいところだ。
地理的優位性が注目される岡山
岡山市の空室率は7期連続で低下し、5%台前半を更新した。一部のビルで、テナントの撤退が見受けられたが、それを上回る新規開設、増床移転等、前向きな移転が空室率の低下を牽引した。回復基調のマーケット下で、新規賃料に加え継続賃料を値上げするビルが見られ始めている。今後も、賃料の上昇傾向は続くと考えられる。
岡山は、中四国の鉄道、高速道路の結節点である。その利点を活かし中四国支店を構える企業が増えているが、物流網も注目されている。2013年、総社IC至近に、倉庫開発業大手のGLPグループ(シンガポール)が、中四国最大級の物流倉庫を稼働。さらに今秋、同規模倉庫を増築する。中四国の結節点であると同時に、災害が少ない地理的優位性に注目したためだ。景気回復基調で「モノ」の動きが活発化するなか、岡山でのさらなる物流網の構築が注目される。
広島支店 山上政文・越智昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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広島駅北 | 8,000~10,000 円/坪 | 製造業を中心に新規出店ニーズが多く、空室は減少が続く。数年 先にはなるが、二葉の里エリアの開発に注目が集まっている。 | |
広島駅南 | 8,000~10,000 円/坪 | 新規出店や郊外からの移転ニーズを吸引し、空室は減少傾向。広 島駅南口Bブロックの業務床の動向が注目される。 | |
八丁堀・紙屋町 | 8,000~12,000 円/坪 | 人材派遣等の来客型テナントの需要が多い。築浅ビルでは空室が ほとんどなく、既存ビルの空室も減少傾向。 | |
大手町 | 7,000~9,000 円/坪 | 八丁堀、紙屋町エリアの空室減少を受けて、テナントの引き合い が増加中。 | |
岡山桃太郎大通り | 8,500~11,000 円/坪 | 市役所筋主要ビルの満室稼働にともない、需要が桃太郎大通りに流 れ込んでいる。空室率は、前期7%後半から、6%後半まで低下した。 | |
岡山市役所筋 | 9,000~12,500 円/坪 | 空室率は4%前半だが、若干上昇した。ただし、要因は、売却に より貸し止めだったビルが新たに募集を始めたためである。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500~4,500 円/坪 | 引き合いはあるものの物件不足が深刻化しており、ニーズに対応 できていない。新規供給も期待できない。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,000~4,000 円/坪 | 賃貸事業として大型倉庫の建築を予定している企業があり、数年 後の竣工が見込まれる。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2,500~3,500 円/坪 | 相変わらず大型既存空き物件がない状況が続いているが、10月に大型新 規供給が予定されており、その動向から二次空室が発生する可能性がある。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。