市内の空室率は再び低下し、過去最低値の3.2%に。
需要は増加傾向
当社の調査によると、広島市内中心部の2016年3月期の空室率は3.2%で、対前期(2015年12月期)比0.7ポイント低下と、大幅な市況改善となった。
今期の空室率低下の要因としては、県外からの新規出店や館内増床等のプラス要因や、昨年から移転理由として増加している広島市内中心部のビルの建替等に伴う移転により、周辺ビルの空室が消化されたことが挙げられる。また、自社ビルの老朽化により、郊外から中心部の新耐震基準のビルへ移転する事例も見受けられた。
空室率の低下に伴い、想定成約賃料は前期に2009年第4四半期以来6年ぶりに共益費込み10,000円/坪を超えたが、継続賃料についても、一部の競争力のあるビルでは、増額改定の動きが引き続き見られるようになってきている。
需要が増加している中での受け皿として、オフィス部分は一部のフロアだがJR広島駅至近に立地する「ビッグフロント広島タワービル」(旧広島駅南口Bブロック市街地再開発事業)と、原爆ドームに隣接し環境に配慮した特色のあるビルである「おりづるタワー」の2棟が、今年夏から秋にかけてオープン予定となっている。今後のテナントの動向が注目される。
岡山の空室率は大幅に低下
岡山市の今期の空室率は大幅に低下した。これは年末年始を挟んで、面積は中~小型であるものの新規事務所開設や郊外からの移転、館内増床の動きが見られたことによるものである。ただし、年度末に合わせて、撤退や館内減床による解約予告が出ているビルも複数あり、小型の面積帯の需要は少し落ち着いた感がある。一方、まとまった面積の取れるビルは選択肢が少なく、ニーズは潜在化する傾向にある。
賃料水準は、空室率の低下と相まって高値傾向が継続している。ビルの立地・グレードにもよるが、交渉幅はかなり限定的であるといえる。
岡山市産業政策課は、岡山市に新たに本社、中四国支店を立地する、もしくは拡張する場合の補助金の交付要件を引き下げた。賃貸ビルに入居する場合の面積要件を廃止。常用雇用者の住民票移動を問わず、居住を要件とした。単身赴任することが多い責任者を考慮してのことである。詳細は、岡山市のHPを参照してもらいたい。
広島支店 山上政文・越智昭博
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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広島駅北 | 9,000~10,000 円/坪 | 新幹線口に近いことから、県外エリアをカバーする企業の人気が集中。 | |
広島駅南 | 9,000~11,000 円/坪 | 空室は順調に消化傾向にあるが、潜在的な空室発生も懸念され、今後の動向に注目。 | |
八丁堀・紙屋町 | 8,500~12,000 円/坪 | 築浅・大型物件以外でも、大通り沿いの物件の空室はあまりない。 | |
大手町 | 7,500~9,000 円/坪 | 中心部の空室が少ないことから、平和大通り付近の一部のビルは空室が消化傾向にある。 | |
岡山桃太郎大通り | 8,500~12,000 円/坪 | 大型の館内増床や新規開設等により、空室率は大幅に低下した。 | |
岡山市役所筋 | 9,000~13,000 円/坪 | 駅近のグレードAビルはほぼ満床。解約予告が出ても、間を空けず後継テナントが決定する状況。 | |
広島倉庫・配送センター 市内 |
3,500~4,500 円/坪 | 物件不足でテナントの動きがなく、二次空室にも期待がもてない状態が続いている。 | |
広島倉庫・配送センター 郊外 |
3,000~4,000 円/坪 | 物件不足の影響で注文建築も視野に入れるテナントもあるが、建築用地も少ない状態。 | |
岡山倉庫・配送センター | 2,500~3,500 円/坪 | 中・大型供給は相変わらず低調である。昨年後半に竣工した大型マルチ物件に空室がある状況。顕在化する需要が少ない。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。