神戸:市況改善ペースは鈍化するも市場は安定。
神戸の最新オフィス市場
神戸における2017年3月期の空室率は、対前期(2016年12月期)比0.1ポイント低下の5.6%となった。今期は大型の動きに乏しい一方、拡張・立地改善といった中小規模の移転ニーズや館内増床によりマーケットは安定。さらに、優良な空き予定物件に対してはすでに商談が重なっている。全体としては、空室率や新規需要の市況改善ペースは鈍化しており、他都市ほどの貸し手優位市場には至っていない。ただし、現時点で2021年まで新規供給が予定されていないことから、空室率は一進一退しつつも低下していくだろう。
想定成約賃料も動きが少なく、前期と変わらず10,780円/坪であった。駅前立地のビルでは、少ない空室に商談が重なり、賃料水準はほぼリーマンショック前にまで戻っている。そのため、これ以上の賃料上昇余地は少ないと思われる。
昨年発表された「神戸阪急ビル東館」の建替に加え、「三宮ターミナルビル」建替再開発や、三宮駅舎、バスターミナルなど駅まわりの再開発計画が始動してきており、京都・大阪に次ぐ駅前整備の具体化が待たれる。
京都:引き続き空室率は低下し、賃料相場は上昇。
京都の最新オフィス市場
京都における2017年3月期の空室率は、対前期比0.7ポイント低下して1.4%となり、5期連続して過去最低値を更新し続けている。前期同様、最寄り駅から多少遠い立地にもかかわらず、空室消化が相次いで見られた。
面積を問わず、新規開設、拡張移転の動きは活発であり、同じ空室に商談が重なるケースが多い。希望条件に合致する物件の選択肢が少ない中で、テナントはスピード感を持って物件を決定していくことを要求されている。とりわけ100坪を超える面積の大きな空室に関しては、空室予定の段階から引き合いが集まり、早期に次期テナントが決定している。
今期の想定成約賃料は対前期比2.4%上昇して12,140円/坪であった。2008年9月期以来9年ぶりの12,000円台である。需給逼迫を受けて賃料を引き上げるオーナーも増えてきている。
物件の新規供給の計画はなく、今後も逼迫したマーケットが続くものと予想される。
関西支社 松田 梓・今福 健一
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相場表
種別 | 賃料(共益費込み) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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三宮~神戸 大規模ビル |
12,000~18,000 円/坪 | 引き続き優良物件の空室は希少。 | |
三宮~神戸 中小規模ビル |
8,000~13,000 円/坪 | ビルにより需要の強弱はあるものの、空室は徐々に消化されてきている。 | |
姫路 | 7,500~13,000 円/坪 | 動きは限られるものの、空室の消化が若干進んでいる。 | |
明石・加古川 | 6,000~8,000 円/坪 |
オフィスマーケットは需給ともに動きが少ない。 |
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阪神間 | 8,000~11,000 円/坪 | 新規供給もなく、優良物件の品薄状態が続いている。 | |
四条烏丸 大規模ビル |
16,000~20,000 円/坪 |
まとまった面積の確保が難しく、継続して需給バランスは逼迫している。多くの物件が、満室状態となっている。
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四条烏丸 中小規模ビル |
10,000~15,000 円/坪 |
立地や面積にかかわらず空室の消化が進み、満室状態の物件も増えてきている。
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京都駅前 | 12,000~18,000 円/坪 |
空室はほとんどなく、館内増床もままならない状況が続いている。
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倉庫・配送センター・工場 兵庫 |
3,000~4,000 円/坪 |
中大型物流施設の需要はあるものの、既存空室は少ない。全体的に動きは鈍化している。
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倉庫・配送センター・工場 京都 |
3,000~4,000 円/坪 |
100~150坪程度の需要が増え空室消化。1,000坪以上の大型需要は一定量あるが、空室が少なくマッチングが進んでいない。
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空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。