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賃貸オフィス・事務所の記事

北海道 - 賃貸不動産市場 2016年3月期

わずかとなった大型空室も消化、空室率は過去最低値の2%台へ。

賃料水準見直しが加速

シービーアールイー(株)の調査によると、2016年3月期の札幌市中心部の空室率は、対前期(2015年12月期)比で1.0ポイント低下し、2.3%となった。空室率が3%台に突入した2015年3月期以降、下降ペースは緩やかになっていたが、今期は大幅に低下し、調査開始以来、初めて2%台を記録した。これは、中小規模の空室の顕在化が一部のビルで見られたものの、館内増床も含めた大型空室の消化が相次ぎ、即入居可能な200坪以上の大型空室がなくなったことが大きな要因である。

テナント需要の動向を見ると、わずかに残っていた大型空室に対して、コールセンター企業やIT系企業等の業務受託に伴うオフィス拡張による成約が相次いだ。開設時期が決定しているため、ビルの選択肢が非常に限られた中で、残っていた大型空室を押さえた形となった。引き続き、新規開設やビルスペックの向上等、前向きな理由による動きはあるものの、大型空室がない現状では、中小規模の面積帯による動きが中心となってきている。

一方、オーナー側の動向を見ると、品薄な空室状況を背景に、賃料水準を見直す動きが加速している。これまでは大型ハイグレードビルが牽引してきた新規契約の成約賃料水準の引き上げがそれ以外のビルでも行われ、またリーマンショック以降に入居、もしくは減額対応した現行賃料が低水準のテナントに対して、増額改定交渉が見られた。中規模ビルでも同様の対応が増えており、オーナー側に優位なマーケットが続いている。

新規供給に需要集中

今後は来年1月竣工予定 の「札幌フコク生命越山ビル」まで供給がない状況であり、さらなる空室率の低下が予想される。すでに同ビルに対しては内定も複数出ており、順調に空室消化 が進んでいる。また、一部テナントは、2018年3月竣工予定の「札幌創世1.1.1区北1西1地区第一種市街地再開発事業」のオフィス床の検討もスター トさせており、移転や新規開設を計画するテナントには、これまで以上に素早い判断が求められている。

一方で、オーナー側に対しては、潜在化している大型面積需要の受け皿となるべく、好調な市況を追い風に、建て替えや開発等の取り組みを具体化することに期待したい。

札幌支店 金子拓史

相場表

種別 賃料(共益費込) 需給の動向 空室率
推移
札幌中心部 12,000~15,000 円/坪 館内増床も含めた大型成約が相次ぎ、大型空室がなくなりつつある状況の中、大型需要は今後の開発案件に集中している。 低下
地下鉄西11丁目 8,000~10,000 円/坪 一部のビルで、館内増床による大型空室の消化が見られた。大型空室が少ない状況が続いており、マーケットの動きは限定的である。 やや低下
創成川東 8,500~9,500 円/坪 一部のビルで、空室の顕在化が見られた。大型空室がないため、中小規模の面積での動きに限定されている。 やや上昇
札幌駅北口 11,000~14,000 円/坪 解約の動きはほとんど見られず、一部のビルでは空室が消化されたことから、引き続き札幌の中で最も空室率の低いエリアとなっている。 やや低下
琴似 7,000~8,000 円/坪 新規需要は少なく、マーケットとして大きな動きは見られない。 上昇
白石 7,000~8,000 円/坪 新規需要は少なく、マーケットとして大きな動きは見られない。 横ばい
倉庫・配送センター
既存
2,000~3,000 円/坪 大型物件に対する需要は堅調だが、汎用性のある物件の供給は限定的。 横ばい
空室率推移凡例:  上昇 上昇 やや上昇 やや上昇 横ばい 横ばい やや低下 やや低下 低下 低下

※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー(株)社員におたずねください。

文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。

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上記内容は BZ空間誌 2016年夏季号 掲載記事 です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。

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