需給の逼迫状況が続き、優良物件では賃料見直しも。
みなとみらいで大型成約
シービーアールイー(株)の調査によると、2014年12月期の横浜市中心部の平均空室率は6.8%となり、前期(同年9月期)に比べ1.3ポイント低下した。
サブマーケット別に見ると、「横浜駅周辺」は、対前期比0.7ポイント低下し5.0%となった。特に駅前立地の物件に関しては堅調な動きを見せた。ワンフロアをまとまって確保できる物件も限られてきており、本社移転やフロア集約ニーズの受け皿となるような大型空室がほとんどない状況である。
「みなとみらい」は、対前期比1.9ポイント低下し8.2%となった。館内増床ニーズが旺盛な中で、外部の企業による大型面積の成約が複数見られたためと思われる。
「新横浜」では空室率が大幅に低下。これは、オフィスの新規供給が5年近く見られない中、半導体・自動車関連業種の事業拡大、新規進出といった需要が伸びていることが影響している。
「川崎」の今期の空室率はやや上昇したものの、需給は極めて逼迫した状況が継続している。川崎駅西口の大型ビルにおいては、比較的まとまった面積を確保することが難しくなりつつある。大手メーカーの関連会社が川崎へ集積する動きや、行政機関の庁舎建て替えによる一時移転先等の需要が重なっており、タイトな市況が続いている。
大型供給は2年先
以上を振り返ると、数字上に明確なオフィスマーケット改善が表れ、オーナーサイドにとって不安要因は少ないように見受けられる。しかし、テナント誘致の現場の声を聞くと、「内覧件数が非常に少ない」「内部増床ばかりで、1年を通して新規入居テナントが少なかった」という声もある。消費税の増税もあり、企業間で景況感に差が出ていることや、企業の賃料負担力が一様に上がっているわけではないという事情も背景にあると考えられる。
このように強気一辺倒になり切れない横浜マーケットではあるが、主要エリアでは、「みなとみらい」における2017年の新規供給まで大型物件の供給が予定されていない。需給がタイトな見通しである中、一定水準以上の設備・規模を備えるビルのオーナーは、慎重かつ確実に、新規賃料見直しや増額改定に臨んでいくものと思われる。
横浜支店 三田智一
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
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横浜大規模ビル | 14,000~21,000 円/坪 | 駅前物件を中心に堅調に推移。解約が少なく空室減少が顕著である。 | |
横浜中小規模ビル | 9,000~13,000 円/坪 | 中規模で比較的グレードの高い物件が減少。駅からの距離や築年数で劣る物件は引き続き苦戦。 | |
関内大規模ビル | 8,000~12,000 円/坪 | 引き合い件数が少なく全体的に苦戦している。 | |
関内中小規模ビル | 8,000~9,000 円/坪 | エリア内の移転が増えず、マーケットに停滞感が強い。 | |
新横浜大規模ビル | 9,000~13,000 円/坪 | ワンフロアで300坪とれる物件が枯渇し、集約ニーズの受け皿不足が続く。 | |
新横浜中小規模ビル | 8,000~10,000 円/坪 | 賃料の下落に歯止めがかかり、底打ち傾向が表れている。 | |
川崎大規模ビル | 12,000~17,000 円/坪 | 満室目前の大型ビルもあり、賃料は上昇傾向にある。 | |
川崎中小規模ビル | 8,000~15,000 円/坪 | 大型物件の空室消化が追い風となり、特に駅前が好調。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー㈱社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。