需要は全体として回復傾向だが、物件規模や立地による二極化が継続。
大宮駅周辺大型ビルは高稼働
シービーアールイー(株)の調査によると、2014年12月期の「さいたま」エリアの空室率は4.8%と、対前期(同年9月期)比0.1ポイント低下した。同エリアでは、数年ぶりの大型供給となる「大宮JPビルディング」が昨秋竣工。竣工時から高稼働であることに加え、大宮駅周辺の他の大型物件でも高稼働が続いており、大型の空室在庫は少ない。一方、中小規模物件では空室が増加しており、今後の市況全体の動向に注意する必要がある。また浦和駅周辺では、空室が非常に少ない状況が続いている。
「千葉」エリアでは、空室が減少傾向にあり、大型空室は確保しづらくなってきている。一方、中小規模の面積には引き続き選択肢が多く、空室在庫の面積に偏りが見られる。同じ千葉県内の「柏・船橋」エリアでも空室消化が進んでおり、テナントにとって選択肢が少ない状況となっている。
北関東・信越主要都市の市況
「水戸」エリアでは、前期に比べ企業の動きがやや増加したが、駐車場台数を十分に提供できる物件が少なく、テナント誘致のネックになるケースが見られる。
「宇都宮」エリアでは、小規模の面積帯での成約が比較的目立った。ただし、設備更新が行われていない物件では、空室の長期化傾向が強くなっている。
「高崎」エリアは、中・大型案件の成約がいくつかあり、高崎駅周辺の物件で空室消化が進んだが、駅から離れた物件は、引き続き空室が長期化している。「前橋」エリアでは動きがなく、空室率が高止まりしている。
「長野」エリアは、3月に北陸新幹線の金沢延伸開業が控えているが、それを前提とした新規需要の動きはほとんど見られなかった。一方、新規解約も見られず、新幹線の延伸が、短期的に同エリアの賃貸オフィス市況に与える影響は大きくなさそうである。
「新潟」エリアでは、今期は企業の動きが停滞。築年数の浅い物件や大型物件では比較的稼働率が高い一方で、古町周辺は空室が長期化している。
以上のように、関東・信越では、多くのエリアで前向きな動きが見られる一方、エリアごとにそれぞれ課題を抱えており、楽観視できる状況にはない。今後の動向が注目される。
ビル営業本部 佐藤琢哉
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相場表
種別 | 賃料(共益費込) | 需給の動向 | 空室率 推移 |
---|---|---|---|
千葉市 | 8,500~13,000 円/坪 | 千葉駅周辺で100坪超のまとまった空室が確保しづらい状況が続いているが、それ以下の小規模な空室は在庫が多く、需要に偏りが見られる。 | |
茨城 | 7,500~11,000 円/坪 | 水戸駅周辺のみ、少ないながらも継続して需要が見受けられるが、その他のエリアは低迷しており厳しい市況が続いている。 | |
さいたま市 | 14,000~19,000 円/坪 | 大宮駅周辺では、昨年9月に竣工した大宮JPビルディングの二次空室が一部顕在化し、空室率が微増した。大型空室は引き続き品薄だが、旺盛だった需要は今期一服した。浦和駅周辺は、空室がほとんどない。 | |
栃木 | 8,000~10,000 円/坪 | 今期は、宇都宮駅周辺で、小規模の需要が多く見受けられた。一方、大型需要はほとんどなく、エリア内の大型空室は長期化してきている。 | |
群馬 | 7,000~10,000 円/坪 | 高崎駅周辺で大型の成約が散見され、空室率が低下。駅から離れた空室は長期化しており、市内で一層二極化が進んでいる。前橋エリアは依然低迷しており厳しい市況が続いている。 | |
長野 | 8,000~11,000 円/坪 | 長野駅周辺では小規模の動きが多少はあるものの、全体としては停滞。北陸新幹線の延伸に関連する企業の動きも、ほとんど見受けられない。 | |
新潟 | 8,000~10,000 円/坪 | 新潟駅周辺で、小規模な需要が多少見られたが、今期は特にテナントの動きが少なかった。特に古町は需要がほとんどない状態が継続、市況が低迷している。 |
空室率推移凡例: | 上昇 | やや上昇 | 横ばい | やや低下 | 低下 |
※物件検討時の予算の目安です。詳しくはシービーアールイー㈱社員におたずねください。
文中の空室率については、2014年3月期より、データ算出の対象となるオフィスビルを、原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した物件に変更しました。