プラス動機の旺盛な需要により、
既存ビルの空室消化が進む。
空室率は再び2%台へ低下
2023年9月期の仙台市内の空室率は2.9%と、前期(同年6月期)より0.1ポイント低下した。今期は、8月竣工の「M.BALAN-CE仙台一番町」、9月竣工の「仙台中央ビル」の新築ビル2棟が、統計に算入された。この2棟は、今年および来年竣工を予定しているビルの中で、貸室総面積はそれほど大きくはない。しかし、「M.BA-LANCE仙台一番町」は、空室を多く抱えたままでの竣工が予想されていたため、空室率への影響が危惧されていた。今期、この空室が算入されても、空室率は低下したことから、既存ビルの空室消化が好調なことが見てとれる。
空室率低下の大きな要因としては、前期に竣工した「T-PLUS仙台広瀬通」が、大きく空室を消化したことが挙げられる。また、既存ビルにおいても、大型面積ではないものの、20~30坪の小規模面積帯において、非常に多くの空室が消化されている。それらは、新規開設や、エリア内でのビルグレード改善を目的とした移転、館内での増床、立地改善を目的としたエリア外から中心部への移転など、様々である。テレワークの浸透による事務所面積縮小の傾向は、落ち着きつつある。
今後も続く新築ビル供給
新築ビルは「アーバンネット仙台中央ビル」「ウッドライズ仙台」「T-PLUS仙台」「仙台KSビル」に続き、まだまだ竣工を控えている。特に、「アーバンネット仙台中央ビル」は規模が大きく、竣工時の入居率によって、マーケットへの影響も懸念されていたが、好調にテナントの引き合いを集めている。これほど大きなワンフロア面積を有するビルの竣工は久しいため、テナントが長らく抱えていた課題を解決する貴重なビルとして、需要を集めているものと考えられる。
また、昨今は、市内のビルの立ち退き需要も、空室率低下の要因として挙げられる。4月に、「電力ビル」から「明治安田生命仙台一番町ビル」までの一体開発「(仮称)一番町三丁目七番地区第一種市街地再開発事業」が発表され、早々に移転先を決める企業もあった。立ち退き需要は、今後も注目を集めそうである。このような再開発は、仙台市内の発展にとって重要な動きである。そのため、さらに活性化し、ビルの建替循環が生まれていくことを期待したい。
仙台支店 後藤 拓己
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