旺盛な需要に支えられ、空室消化は順調。
空室率は横ばい
2021年9月期の仙台市内の空室率は2.8%と、前期(同年6月期)から変化はなかった。仙台では、リモートワーク導入による館内減床や縮小移転などの動きが引き続き見られた一方、BPO事業やIT関連企業の新規開設といった需要が旺盛である。企業の増員などを理由とした館内増床や、拡張移転の事例も引き続き多いため、発生した空室は比較的順調に消化されている。
特に、200坪を超える空室は非常に貴重なため、引き合いが絶えない。これらの動きには、グループ統合、拠点集約、立地改善といった、様々な要因が推測される。その背景として、今年は1月末に「JR仙台イーストゲートビル」、7月末に「ミレーネT仙台ビル」が竣工したが、2022年は目玉になるような開発計画がないため、今のうちに希少性の高い物件を確保したいという心理が働いているのではないかと考えられる。
今後は、上記の2棟へ移転した企業の解約区画(二次空室)や、JR仙台支社竣工による、JRグループの仮移転先からの移転に関連する解約が、発生する見込みとなっている。しかし、大型の解約区画は既に内定しているものもあり、このテナント需要が続けば、発生した空室も、順調に消化されていくことが予想される。
値ごろ感のある物件に人気集中
このように、空室消化においては、好調なマーケットに見える一方で、コロナ禍以降、テナントの予算設定は非常に慎重になっており、値ごろ感のある価格設定の物件に人気が集中している。そのため、市内でも高価格帯の物件においては、コロナ禍以前より柔軟に交渉に応じたり、期間限定ではあるものの、減額キャンペーンを実施したりするなど、早期成約をめざした取り組みが複数見られる。
2023年は、報道されているもので「(仮称)ヨドバシ仙台第1ビル」「(仮称)NTT仙台中央ビル」が竣工予定となっている。2棟を合わせた総貸室面積は、かなりのボリュームと推測されるが、前述の「ミレーネT仙台ビル」は、コロナ禍でのリーシング活動でありながら、高稼働で竣工となったため、新築ビルへの需要は根強く残っていると考えられる。この2棟の募集状況を中心に、大型募集区画の今後の動向が注目される。
仙台支店 後藤 拓己
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